「ええとつまり?異世界云々の話は一先ず置いておいて、他の観光名所を回ろう……ということになったのは良かったものの。その道中、地面のど真ん中にポツンと鎮座したポラロイドカメラに興味を示したCHEATさんが、『動くのかなこれ』と適当にボタンを押した結果、突然目映い輝きが辺りを照らし。眩しさに目を閉じた私達が、次に目蓋を開いた時──」
「いつの間にかTASさんが居なくなってて、何処にいったのかとみんなで周囲を見渡したあと。……ポラロイドカメラから無造作に出てきた写真にこうしてTASさんが写っていた、と……」
『これは予想外』
「……写真の中のTASさんが元気に動いているのは、一体どういうことなんです……?」
「わからん……なーんもわからん……」
事情を雑に説明すると、『写真の中にTASさんが閉じ込められた』ということになるわけなのだが。
……状況の深刻さに比べ、当事者たるTASさんの様子は至って軽いものであった。
いや、三次元から二次元にされた割に、全然余裕そうというか?
それもそのはず、この
今もほら、迂闊に自分を撮って写真の中に閉じ込めてしまったCHEATちゃんの周りを、ぐーるぐーる回って責め立てている最中だし。
『うかつー。おばかー。かんがえなしー』
「ううううう、うるせぇうるせぇ!っていうか、結局大丈夫そうなんだから問題ねぇじゃねぇか?!」
「あの、CHEATさん?自分でも無理筋だとわかってるだろう自己弁護を、強行するのはお止しになった方が宜しいかと……」
「うるせぇわかってるよぉっ!!」
うーむ、憐れな。
……まぁ確かに?この余裕そうなTASさんを見てると、「まぁ仮になにか変なことが起きても大丈夫だろw」的な軽い気持ちを抱いてしまう、というのもおかしくはない。
おかしくはないが、同時にAUTOさんの言う通り「だからってやっていいことと悪いことがありますわよ?」というお叱りもごもっともなわけで。
結果、涙目で喚くCHEATちゃん、というか弱い生き物が誕生することとなったのだが……
……っていうか、もうちょっと危機感とか焦りとか見せて欲しいんだけど。
仮にも君、封印されてるみたいな状態なんだけど?
『そこら辺は大丈夫。中から破るのは難しそうだけど、外からどうにかするのは問題無さそうだから』
「……それ、遠回しに私達でなんとかしろ、と仰っていますわよね?」
『?できないの?』
「というか、そもそもこのポラロイドカメラがなんなのかもまだわかっていないのですが?」
写真の中で、フリップボード片手にこちらに言葉を投げ掛けてくるTASさんである。
……写真が浮いている原理とかは今は置いとくとして、確かにAUTOさんの言う通り、対処しようにも『なにに?』みたいなところがあるのは間違いないだろう。
いやまぁ、一応そこに鎮座しているポラロイドカメラが犯人、ということにはなるのだろうが。
……人を写真に封じ込める、という技術をどうやって成立させているのかだとか、そこからどうやって元に戻すのかだとか、問題は山積みである。
そもそもの話、これが
知らず、みんなの視線が一点を向く。
こういうよく分からない物品に、一番関わりがありそうな人物……そう、DMさんの方に。
「……え、なんですか皆さん私を見て。……あっ!ち、ちちち違います誤解です無関係です!今回の件には完っ全に無関係!私達無実!そんな技術知らない!」
「テンパり過ぎて途中から片言みたいになってる件」
「普段ならその反応は怪しい……と思うところですが、既に信用が底値の状態であることを認知しながらも反論する辺り、どうやら本当のことを言っているようですわね……」
「嬉しくない信頼……っ」
当然、そんな疑念の眼差しを向けられたDMさんは抗議をするものの……さっきの異世界云々の案件が脳裏を過った皆からの視線は冷ややかなモノであった。
同時に、根が善人の彼女が二度もごまかすはずもない、と主張そのものは受け入れられたりもしていたのだが。
膝を付いて項垂れるDMさんの背中を、ダミ子さんが「元気だしてくださいぃ~」と慰めるのを横目に、じゃあこれはなんなのか?……と改めてカメラに視線を戻す俺達である。
……うーむ、オカルトじゃないのなら、ホラー系の案件か?
「ホラー系……?」
「都市伝説とかでよくあるだろ?写真に撮られたら閉じ込められる、みたいな話」
「あー、ネットとかでたまに話題になってるやつねー。んで、売れない
「ん?どうしたんだいCHEAT君?顔が青いけど」
「あー……」
そんな俺の言葉に、CHEATちゃんは自身の知識から現状の類型を引っ張りだし、説明しようとしたところで……「あ、やべっ」みたいな顔をした。
……その顔を見て、俺に電流走る……!
そう、配信者と言えば、ここにいるCHEATちゃんもその区分に入るということを……そして、今TASさんが写真の中に閉じ込められているのは、彼女が迂闊な行動を起こしたからだということを……!
「つまり!彼女自身が現状がホラーな話になっていることの証左になっているんだよ!」
「「な、なんだってー!!?」」
「うわぁ!!?ヤメロヤメロ責任の所在を明確にしようとすんなぁ!!」
衝撃(?)の事実を伝える俺に皆が唖然とし、当事者であるCHEATちゃんが手をぶんぶん振りながら、こちらに抗議をする姿を見ながら、俺は直後にこう告げるのであった。
「明確もなにも、最初から君が得体の知れないカメラを迂闊に触ったのは事実じゃないか」
「……ぎゃふん」
直後に彼女は真っ白に燃え尽きたが……まぁ、仕方ないね。