「あーなるほど、CHEATさんかー……」
「そう、CHEAT。説明はいる?」
「一応お願いしまーす」
と、いうわけで。本人を目の前に解説がスタートです。
コード○リークっていうのは、昔に存在したゲームでチートをするための機械の名称である。
ゲームとはすなわち電子機械であり、プログラムによって動くものである。
そのため、ちょっとやり方を知っていれば、意外とデータの改竄くらいなら簡単にできてしまうのだ。
……まぁ、
それを普通の人にも簡単にできるようにしてしまったのが、コー○フリーク。……一昔前なら、普通にゲームショップでも売っていたという悪魔のアイテムである。
「私は実物を見たことがないのですが……どういう機械なのですか?」
「カートリッジタイプのゲーム機なら、ソフトとゲーム機の間に挟む感じになるかな?」
「挟む、ですか?」
「そうそう」
特に人々がお世話になったのが、携帯ゲーム機対応のタイプだろう。
このタイプの場合、途中でプログラムを弄るためにその機械にソフトを差し、更にその機械をゲーム機に差すという形になっていることがほとんど。
で、その状態でゲーム機の電源を入れると、ソフトの起動前にコー○フリークが起動し、そこで色々と設定をしてソフトを間接起動・内部データを弄る……ということになっていくわけである。
他にも、データそのものを弄るタイプなんかも存在していたが……今では法改正などによって姿を消してしまっている。
そりゃそうだ、今のゲームはネットで遊ぶものが基本。
そこに簡単にズルができてしまうモノがあれば、使ってしまう人だって出てくる。
最終的にはゲーム環境が無茶苦茶になって、まともに遊んでいる人は誰もそのゲームを遊ばなくなるのだから、普通のゲームメーカーなら差し止めに動くのは普通のことだろう。
「……あ、なるほど。だからか」
「ええと、なにをお気付きになられましたの?私さっぱりなのですけれど」
「いや、なんか古臭い理由に気付いたっていうか」
「古臭い理由?」
そこまで解説して、なるほどと頷くことになる俺。
AUTOさんはなんのこっちゃ、と言った感じだが……一つ一つ情報を並べていけば、答えにたどり着くことは困難ではない。
そう、この黒板がCHEATさんによって動かされているものだとして。それが、どことなく古臭くなる理由。それは──、
「次が出ない、すなわち過去の遺物だからだ」
「だぁれが、過去の遺物じゃー!!」
「うわびっくりした」
コード○リークは既に生産が終了しており、最新のゲームには対応していない。
無論、プログラムとチートはいたちごっこ、ゆえにCHEATという存在そのものは廃れていないが……相手の基準がコー○フリークであるのなら、古臭いのも無理はない。
なにせ時代に取り残されているのだ、纏う空気が平成とか昭和に近くなるのも宜なるかな、というやつなのである。
……と、結論を話したところで、突如周囲に響き渡る少女の声。
大人しめなTASさんのものでも、優雅な感じのAUTOさんのものでもないそれは、目の前の黒板……の、裏から響いてきたようだ。
黒板に書かれているものは先ほどと同じく謎の升目で、そこから察するにこちらへの意志疎通手段がなくなったので仕方なく声を出した、とかなのではなかろうか?
「……れ、冷静に分析すんな!なんだお前、もうちょっと驚くとか慌てるとかしろよな!!」
「いやー、TASさんと一緒にいると心臓に毛も生えるというか……」
「ぐ、ぐぬぬぬ……これだからTASは……」
まぁ、そんな風に分析してたら怒られてしまったわけだが。
いやでもだね、こっちの基準はTASさんだから、それを上回らない限り印象には残り辛いというか。
そんなこちらの主張に、ある程度の正当性を感じたのか、相手は渋々といった口調で、黒板の後ろから姿を現してくる。
はたして、そこに立っていたのは……ええと、なんか派手な見た目の子だったわけで。分かりやすく言うとVtuberとか?左右に浮いてるレトロゲーっぽい機械とか、普通じゃあり得ない髪の色とか。とりあえずバズを狙ってそうな見た目、とでも言うか。
「……本体が全然古臭くない……だと……!?」
「さっきからずっと喧嘩売られてるんだが!?言い値で買うんだが!?」
「あ、でもやっぱりなんか古臭いや、空気感が」
「なんなのこいつぅっ!!!?」
「諦めて。お兄さんは大体いつもそう」
「……ええと、黙秘権を行使いたします」
「あれ?なんか途端にアウェーに?」
その見た目だけなら、全然時代に取り残された感じなんてしなかったため、思わずバカな、と呟いてしまったが……ああうん、その反応はどっちかというと平成っ子の反応だなー、と一安心。
……してたら何故かオフェンスとディフェンスが入れ換わってたけど、君たちどっちの味方なんです??
まぁともあれ。
本体がこうして前に出てきた以上、話が進むのは必然。
「まぁいい……TAS!私としりとりで勝負だ!」
「なるほど、受けて立つ」
そのまま二人のやり取りを静観する構えを取った俺は──やっぱりなんか古臭い、と彼女のことを認識することになったのだった。……いやしりとりて。