うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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世界の危機でも大して変わらず

「太陽と岩……はっ!つまりアステカ神話!?」

『もしかして私、奇声を挙げながら跳び跳ねれば良かったりする?』

「最終的にパーフェクトソルジャーに進化しないのなら、許可しても宜しいですけれど?」

『むぅ……それだとやる意味あんまりないから、今回は止めとく』

「お二人とも、一体なんの話をしてるんですかぁ……?」

 

 

 怖いんですけどぉ、と涙目になるダミ子さんに『別にこの二人のことは気にせんでいいよ』とだけ返し、改めて全員集合した俺達は会議を始めることに。

 ……なお、議題の中心となる太陽を納めた写真だが、丁度良いのでTASさんと一緒に中空から辺りを照らして貰うことにした。……ここだけとっても明るいですぅ、とはダミ子さんの言。

 

 はてさて、結果として問題が倍増・かつ時間制限まで設けられてしまったわけなのだが、こうなるとつべこべ文句も言っていられない。

 

 

「ゆえにDMさん!()()タブレットの使用を許可します!」

「なっ!本気ですかお兄さん!?……いえ、皆まで言わずともわかりました。その目はマジと書いて本気──すなわち、私が邪神として返り咲く可能性すら考慮した上でのもの。ならば私はその期待と信頼に応え、決して悪心に堕ちぬとここに誓いましょう!」

『なんだかやけに熱い展開。少年漫画だったりする?』

「……一々茶化さないで下さいまし、TASさん」

 

 

 今回の失敗、やはりCHEATちゃんが専用アイテムを持っていなかった、ということが大きいだろう。

 コードの打てないCHEATなど、もはやスクラップ以下というわけである。<スクラップ?!スクラップッテイッタヨコノヒト!?

 

 されど、流石に例の黒板を取りに帰るような余裕はない。

 ……というか、仮に今から取りに帰るとしても、ここから数十キロ離れた自宅に・明かりのない真っ暗闇の中・障害物を避けるために空を『TASさん直伝空中踏破』で飛ばしながら帰る……などという危険行為を望まれる形となるため、最初から考慮する範囲にないというか。

 

 じゃあどうするの?……ということになると、この場で専用アイテム(黒板)の代用になるものを作るしかない、って話になるのだ。

 丁度この場には、家に置きっぱにしておくのが微妙に怖いので旅行鞄の底に詰めておいた、例のAUTOさんが手を加えた最適化タブレットが転がっている。<ナンダカワタクシガワルイミタイナハナシニ……?

 

 これにDMさんを憑依させればあら不思議、例の黒板に負けず劣らずの曰く付き(っぽい)アイテムへと変貌完了、というわけである。

 ……まぁ、『ぽい』などと言いつつ、あんまり長時間憑依させっぱにすると最悪DMさんが真の邪神に覚醒する……なんて、ある種のゲームオーバー展開に巻き込まれる可能性もあるわけなのだが。

 

 とはいえ、今回はそもそもが時間制限のある状態でのミッションである。

 迅速な事態の解決が必要である以上、今さら制限のある物事が一つや二つ増えたところで変わらない……というか、そもそも事態を解決できさえすればそっちの問題も(憑依解除という形で)全部解決するパターンなのだから、気にしている暇があるなら突っ込んだ方が早いというか。

 

 

(……一応、仮に太陽が突然消えたとしても、致命的な地球の終わり(全球凍結)までは一月くらいの余裕がある……とも言われていますが……)

『……しー、折角やる気なんだから、ここでわざわざ水を掛ける必要はない』

(うーん、これでいいのでしょうか……?他に手段とか……というか、TASさん今の状況を楽しんでいませんか?)

『黙秘権を行使するー』

(それはほぼ答えを言っているようなものでしょうに……)

 

 

 視線を上に向けているAUTOさんの顔が、ほんのりと歪んでいるが……その気持ちはわかる。

 

 今回、彼女に手伝えることはない。

 もし未来の世界で『写真から人を取り出す技術』なんてものが出来上がっていれば、話は別だっただろうが……生憎、そんなものはなかった。

 

 無論、検索する範囲をさらに広げられれば、もしかしたらということもあるかもしれないが……恐らく、それが存在するのはどこかの並行世界、ということになるだろう。

 流石に、並行世界案件までこの問題の上に積み上げるわけにも行くまい。

 そうなると、彼女ができることは祈ることくらい、ということになってしまうのだった。……無力感に顔が歪むこともあるだろう。

 ……え?なんかAUTOさんのこっちを見つめる視線が、呆れたようなもの(また変なことを考えて)に変わった気がする(いらっしゃいますわねこの方)?いやいや、気のせい気のせい。

 

 ともかく。

 この場において唯一の解決手段を持っているとおぼしきCHEATちゃんに総力を結集し、今こそTASさんの想像を越える時が来たのだ!

 

 

「そういうわけで、へいお待ち!DMさん入りタブレットだ!直ちに装備したまえ(タダチニ ソウビ シタマエ)!」

「……なんか既視感のある台詞だけど……つべこべ言ってらんねぇ!CHEAT、行きまーす!」

(これは色々と突っ込んだ方がいいんでしょうかぁ……?)

(ちくわがいっぱい(止めておいた方がいい))

(私の頭の中にゴミのような(ちくわの)情報がぁっ!?)

 

 

 なお、なんか周囲が騒がしかったけど、張り切っているCHEATちゃんの視界には入っていなかった。

 ……ちょっと女子ー、真面目にやんなよもー。世界の危機なんだぞー?

 

 

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