うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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天高く、陽は昇るといいなぁ(願望)

 はてさて、太陽&TASさん救出プロジェクトが始動したわけだけれど、その滑り出しはなんとも微妙なものとなっていた。

 

 

「……変換器(カメラ)が手元にあるんだから、普通はそれの逆手順になるようにするのが早いはずなんだけど……」

「なんだけど?」

「排出口に写真が入らない……(涙目)」

「oh……」

 

 

 取っ掛かりが掴めていないのは相変わらず。

 というわけで、片っ端からあれこれと試してみることになったのだが、その初っぱなの時点で躓いていたのであった。

 

 ポラロイドカメラは、撮ったその場で写真が現像されるタイプのカメラである。

 基本的にその写真は撮り切りであり、再利用することはできない。……つまり、排出口側から写真を中に突っ込めるようにはなっていないのである。

 

 そのため、とりあえず動作を逆にしてみよう……という試みは最初の段階で頓挫した、と。

 ……いやまぁ、対処としてはあからさまに失敗するタイプのやつなので、こっちとしては端から期待していなかったのだが……。

 

 

「いや待つんだ!そんな時こそチートコードだ!」

「貴方は……MOD仮面様!」

「誰だそれは?!……え、悩める少女に手助けをする謎の存在?……ああうん、私の属性的にはわりと合ってるのか……では改めて。待つんだ、CHEAT君!」

(なんで茶番を始めてますのこの方達……?)

 

 

 そんな時、俺達に待ったを掛けたのはMODさん。

 ……細かいことを抜きにして彼女の言葉を要約すると、正道(正規プレイ)的には無理でも邪道(チート)を使えばどうにかなるのでは?……ということになる。

 要するに、一方通行の道を逆走できるように改造してしまおう、ということになるのだが……。

 

 

「できそう?CHEATちゃん」

「あー……うん、弄る数値はなんとなく見えたから、出来なくはない……かも?」

「おおっ、さっきとは違って希望が見えた!」

「一言多いわっ!……いやでも、単純に逆走させただけでどうにかなるかな……?」

「何事も試してみるのが先決さ!もしダメだったら祈ろう!TAS君とかに!」

「流石にあいつに祈るのは嫌だなぁ……」

 

 

 むぅ、とても失礼──。

 そんなフリップを写真内で振りかざすTASさんが見えたが、俺達はそれを華麗にスルー。

 一先ず、太陽の写った写真を逆走させてみることに。

 その結果……。

 

 

「なにこれ」

「ええと……ミニマム太陽……?」

「色々とおかしいでしょこれは!?」

 

 

 印紙の入ってる場所から飛び出したのは、大分小さくなってしまった太陽なのであった。

 ……いや、本当になにこれ……?

 

 

 

・A・

 

 

 

「ええとつまり、写真に納められた時に圧縮された太陽がこれ、ということなんです……?」

「物理法則もあったもんじゃねぇな……」

「それは今さら過ぎやしないかい……?」

 

 

 どうやら、カメラを通して写真に現像される際、物理的とはとても言えないような圧縮作業が執り行われていたらしく、その部分の解明をしないことにはこの太陽のように、何故かミニチュアサイズで出力されることになるらしい。

 ……言ってる意味がわからないと思うが、俺にもわからん。

 このポラロイドカメラに使われてる技術が、この世界のモノでは絶対にない……ってことくらいしかわからん。

 

 そもそもこのミニチュア太陽、写真の中に封じ込められていたさっきまでと、大して光量が変わらないのもよくわからんというか。

 ……いや、そこは本来の輝きになるんと違うんかいっ。

 

 

「……いえ、これは恐らく正常な動作なのでは?」

「AUTOさん?なにかわかったので?」

 

 

 そうして困惑し続ける俺達に対し、ミニチュア太陽を見た瞬間から何事かを考え込んでいたAUTOさんが、言うべきことが纏まったらしく口を開いた。

 曰く、この状態は寧ろ逆アセンブルに成功しているのではないか、と。

 

 

「そもそもの話、です。太陽の光量がそのまま地上に現れてしまったら、私達は干からびるどころの話ではありませんわ」

「……言われてみれば、確かに」

「そも、太陽級の超質量が突然地球の近くに現れたりしたら、それこそこの星は滅んでいたことでしょう。──太陽に呑まれて一貫の終わり、ですわ」

 

 

 彼女の言うところによれば、太陽などという巨大質量かつ超高温・超光源である天体が地球の大気上に突然現れた場合、それこそ星そのものの終わりでしかないだろうと。

 ……言われてみれば確かにその通り。

 見方を変えれば『自分から太陽に突っ込んでいくようなもの』なのだから、そりゃ地球最後の日と言い換えてもなんら問題ないだろう。

 

 そしてこれは、太陽を写真に納めた、という形で地上に引き摺り下ろす過程で、その辺りの物理現象を無視する作用が働いた、ということでもある。

 なにを当たり前のことを、と思うかもしれないが、これは中々重要な情報である。

 つまり、『写真に撮る』という過程の中に、物理的な質量をどこかに折り畳む処理が混じっているということなのだから。

 

 

「写真に太陽を無理やり詰め込んだんじゃなく、なにかしらの技術で質量をデータに変換し、それを写真に焼いた……ということかな?」

「つまり、私達が解明しなきゃいけないのはその『質量⇔データ』の相互移行手段……ってことか」

 

 

 まぁ、普通ならそれがレンズの役割、ということになりそうなのだが。

 ……ってことは、このミニチュア太陽にレンズを翳せば元に戻る……?

 

 外れる構造になってなさそうなレンズを眺めながら、どうしたものかと首を捻る俺達なのであった……。

 

 

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