うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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君TASけたもうことなかれ

「まぁ、そんな感じであれこれとやった結果、暫くしてTASさん(本体)が迎えに来てくれたってわけ」

「写真の私と今の私が一つになることにより、私の存在はさらに先のステップへと進化した。ぶい」

「まさか、今回の騒動はそれが狙いだったのかい……?」

 

 

 異世界の生活をそれなりに満喫しつつ、TASさんの到来を待つこと暫し。

 次元の壁をこじ開けて現れたTASさんは、それはもう頼れる人物としての風格を威風に変えるほどの登場を見せたのであった。

 具体的には、空に空いた亀裂から黒い光と共に降りてくる……という。

 

 ……どう考えてもラスボスですね、本当にありがとうございました()。

 

 まぁうん、傅きたくなるような迫力があったのは本当なんだけども。

 でもあれ、どっちかというと『圧倒的な強者に自ずから膝を付く』みたいなノリだったというか。

 ……ともかく、そんなラスボス(TASさん)に連れられて、俺はこちらの世界へと帰還を果たしたのであった。

 

 

「向こうの部長さんに『お兄ちゃぁあんっ!絶対助けに行くからねぇええっ!!』とお決まりの台詞を貰っちゃったんだぜ」

「……変なフラグを落としていくのはお止めなさいな」

 

 

 まぁ、その際の動きがあんまりにもラスボスムーヴだったため、向こうの部長さんからは(ある意味お決まりの)仲間がラスボスに連れ去られるムーヴを返されたりもしたのだが。

 ……え?変なフラグ?多分二人してアイコンタクトしてた(わかっててやってた)から、ねーんじゃねーかなそういうの。

 

 ともあれ、都合一月ほど続いた異世界ライフも、こうして無事に終わりを告げたわけで。

 なので、そろそろ次のイベントが発生してもおかしくないんじゃないかなー、なんて思っていたのだけれど。

 

 

「……よもやこっちでは、あの日からまだ三日しか経過してないとは思わなんだ」

「こっちとそっちで時間の流れが違う、ってのは本当だったんだなー」

 

 

 うん、なんか知らんがまだゴールデンウィークだったわ!

 具体的には(帰る際の移動分を除いた)最終日。突然太陽がいなくなる、なんてトラブルを間に挟んだせいで、お上は休みどころじゃねぇ!……と右に左に忙しそうにしているものの、その辺りの混乱は庶民にまでは波及しておらず、『なんか暫く真っ暗な日があったねー』くらいのゆるーいテンションで迎えられており、結果として普段とあまり変わらない休みの日が展開されていたのであった。

 

 ……うん、一つツッコミを入れさせて貰いたい。

 いや、もうちょっと慌てろや!!

 

 

「忘れたのかい、君。この世界ってわりと変な奴が多いから、世界の危機なんて日常茶飯事みたいなものなんだよ?」

「くそぅ!!最近は出会さないから失念していた!!」

 

 

 とはいえ、MODさんの言うことももっともな話。

 最近はどちらかというとうちの面々が起こすトラブルに巻き込まれる、という形のイベント()が多かったので忘れていたが、そもそもこの世界ってば変な能力者とかがそこらからポップしてくる魔境である。

 そりゃまぁ、そこに住まう人々もちょっとやそっとのことじゃ動じなくなるわけだよ。

 

 ……いや、それにしたって許容範囲広すぎだろ、というツッコミを贈りたくなるわけなのだが。

 流石に天体に影響を与えるような奴はごく稀、のはずなんだがねぇ……?

 

 

「それはほら、その……」

「ああ……」

「……なに、皆して私の方を見て。言いたいことがあるのならちゃんと口にして言えば?」

 

 

 そんな俺の疑問は、DMさんの指差す先──キャンピングカーを見上げて何事かを呟いているTASさんを見たことにより、あっさりと氷解したわけなのだが。

 ……うん!この人があれこれしてるのがいつものことなのだから、そりゃまぁ皆も慣れるって話だよね!

 

 

 

;・A・

 

 

 

 そのあとのことに、特筆するようなトラブルはない。

 休みの最後、ということもあってMODさんの田舎を飛び出した俺達は、帰り道の途中で寄ることのできる様々な施設に突撃し、それを満喫していった。

 

 

「見て見てお兄さん。ペンギン大行進~」

「ハーメルンの笛吹きかよ……」

 

 

 とある水族館では、館内のペンギン達を全て引き連れて練り歩く、TASさんなペンギン大名行列的なモノを見ることができたり。

 

 

「……やってみればできるものですわね」

「うーん、できて当然なのかもだけれど、実際にやられると驚きの方が勝る……」

 

 

 ボーリングでもしようか、と寄ったアミューズメント施設では、あらゆる競技で理想的なスコアを出し続けるAUTOさん(と、投げるもの全ての軌道を無茶苦茶に曲げるTASさん)の姿を見ることができたし。

 

 

「牛はいいねぇ。見てるとむずかしいことなんもかんがえなくてよくなる……

そうですねぇ~……

「お二方、溶けてます溶けてます」

 

 

 山の上の牧場に寄った時には、現代社会のストレスから解放されたMODさんとダミ子さんが溶け始め、慌ててDMさんが冷やし固める役割を背負わされたり……と、まぁ微笑ましいトラブルばかりに遭遇していたわけである。

 ……え?溶けるのは微笑ましくない?

 

 まぁともかく、そうして大したトラブルもないままに最後の休日も終了し、移動を終え我が家に戻ってきた俺達。

 

 

「……なんて、少しでも平穏な日々を過ごしてしまったバチが当たった、ということなのかねぇ……」

む、思いがけず負担を掛けすぎてしまったか(す、すみません。ご迷惑でしたよね)あい済まぬ(ですけど)とは言え頼れるものなどそう多くはなくてな(私には貴方以外に頼れる人も居なくて)……」

「お兄さんが白目を剥いた!」

「これはひどい!」

 

 

 そうして玄関を開けた俺達を待っていたのは、新たなトラブルの火種なのであった。

 ……一番会いたくなかったやつ!!(白目)

 

 

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