「……ええと、梅雨が問題、なんですの?」
「そうだよ、梅雨は大問題なんだ!」
こちらが熱く語る中、他の面々の反応はいまいちであった。
AUTOさんは意味がわからないと首を捻っているし、CHEATちゃんは『なに言ってるんだコイツ』みたいな視線をこっちに向けてきているし、MODさんに至っては『あー、洗濯物が乾かないとか、そういうあれかなー』みたいな顔をしている。
……違う、違う違う違ーうっ!!
いやまぁ、洗濯物が乾かないのは大問題だが、ここで言う問題はそれとはまた別のものなのである。
「別と言いますと……食べ物がカビてしまう、とか?」
「違う!いやまぁそれも問題だけど、それ以外!」
「ええ……?ええっと……モノが湿気でやられる、とか?」
「惜しい!さっきよりは近い!」
「……いや、いつの間にかクイズ番組みたいになってないかいこれ?」
女子達が次々と予想を披露してくれるものの、そのどれもが不正解。
いやまぁ、実際には答えの近くを掠めたりしているので、全くの見当違い……ってほどでもないのだが、結局答えが出てきていないのは変わらず。
そんな三人とは対称的に、「あー」みたいな顔で神妙にしているのが、なにを隠そうダミ子さんとDMさんの二人であった。
「そこでヒントですっ!この二人と君達三人との違いは?」
「えっえっ?……ええと、
「……ある意味間違ってないけど、止めてやれ。ダミ子さんが過呼吸起こしてる」
「えっ。……わぁっ!?ごごごごめんダミ子っ!?」
「はひゅー……い、いいんですよチートさぁん。だって私が……はひゅーっ、役立たずの穀潰しなのはぁ、……はひゅーっっ、紛れもない事実ぅ……なんですからっ……!……ごふっ」
「ひぃーっ!!?滅茶苦茶死にそうになってるっ!!?」
なんて惨いことをするのか。CHEATは悪魔なのかな?
……なんて冗談は置いとくとして、実のところ彼女の目の付け所は決して悪くはない。
自宅警備員……悪い言い方をするとニートというのは、要するに
それはつまるところ、
「そこを考察に加えていけば、自ずと答えは導かれるはず……」
「家に居ることが答えに繋がる……?」
「あー、つまりはこういうことだろう?私達はこの家に外から集まってくるけど、彼女達は最初からこの家に居る。……つまり、件の問題とやらは」
「……この家にずっと居る人間なら、気付けて然るべきもの……ということですの?」
「その通り」
なので、俺も
それらの情報を纏め、尚且つ現在
「……あ、あー!もしかして……」
「その通り。梅雨に起きる問題っていうのは、
「あー……」
そう、梅雨に関わる問題がなんなのか。
その答えは、見える範囲に雨──すなわち無数の水の粒が居座り続けることによる、描画ラグのこと。
……わかりやすく言えば、TASさんの最適化に非常に大きな問題を引き起こす、ということにあるのであった。
「むぅ、大袈裟。流石に私もそこまで子供じゃない」
「……あ、あれ?なぁなぁ、思ったより普通に見えるんだけど……」
ただ、その問題の当人であるTASさんは、心外だという風に鼻を鳴らしていたのであった。
その様子を素直に受け取ったCHEATちゃんは、こちらを振り向いて『問題ないんじゃね?』みたいな顔をしているが……甘い、甘いぞCHEATちゃん。
甘すぎて虫歯が確約されている、と言っても過言ではないくらいに甘いぞぅ。
……
この状態のTASさんの言うことを素直に聞くようでは、まだまだTASさん検定二級は与えられない。
「TAS検定……?」
「AUTO君AUTO君、その言い方だとTASになるための検定みたいに聞こえるから止めるんだ」
「いいかい三人とも。よーくTASさんを見るんだ、さすればいつもの怒り顔よりちょっと眉が寄ってる──すなわちかなり怒っていることに気が付けるはずだ」
「……MODさん、私横になってきても構いませんか?」
「止めてくれこの空間に私とCHEAT君だけを放置しようとするんじゃないっ!!」
……なにをごちゃごちゃ言っているのだろうか、この子達は。
ダミ子さんとDMさんは既にTASさん検定準一級まで取得しているのだから、彼女達にも早くそのラインにまで上がってきて貰いたいのだが。
ともかく、今のTASさんが普段より不機嫌であることは事実。
ゆえに、先ほどの言葉も字面通りに受け取ってはならず……。
「梅雨の大雨程度、行動範囲内の雲を全部吹っ飛ばせばそれで大丈夫」
「なにも大丈夫じゃないのですがっ!?!?」
続いてTASさんが溢した結論に、ようやくAUTOさん達も事の重大さに気付いたのであった。
……全くTASさんの相手は地獄みたいなもんだZE☆(死んだような眼差し)