うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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二人が力を合わせる未来もあるかもしれない(4/1)

「~~~っ、お、覚えてろよー!!!」

「最後の逃げ方まで古典的。流石に憧れてしまう」

「うるせーっ!!」

 

 負けが確定してのち、暫くぷるぷると震えていたCHEATさんはと言えば、最後に捨て台詞的なものをこちらに投げ付けたのち、黒板を押しながら走って逃げ出したのであった。

 ……なお、二人の勝負が終わるまで待っていた警察さん達が追っ掛けていく、というおまけ付きである。──昭和の悪役かな?

 

 まぁともかく、こちらも巻き込まれた側なので……と警察さん達には伝え、ようやく解放された俺たちは、数時間ぶりに駅舎から外に出ることが出来たのだった。

 ……え?しりとりだけで数時間も経過してたのかって?まさかー。

 

 

「負けを認めず何度も向かってくる。そういうところも古典的」

「せめてガッツがある、と言ってあげませんか……?」

「勝ち目がない相手に挑み続けるのは単なる無謀なんよ……」

 

 

 しりとりが終わったあとも、なんかこうレトロ感漂う勝負を挑み続けてきた彼女は、その悉くで返り討ち。

 ……いやまぁ、チートとは言ってもルール──ゲーム的にはプログラムに則ったズル(チート)しか出来てなかったみたいだし、仕方のない話ではあるのだが。

 

 

「しりとりなのにしりとりしていない、とかやってましたものね……」

「理屈はわかるけど、『ぷろやきゅう(プロ野球)』に対して『ぷろさっかー(プロサッカー)』って答えるのはどうなん?」

「ぶい」

「いやぶい、じゃなく」

 

 

 だってほら、お相手役はTASさんである。

 見た目的には絶対正解していないのに正解になる……というルール無視がデフォの相手をするには、彼女はまさに役不足だったのだ。

 ……なお、この問題に関してはまだわかりやすい方で、正確には『ぅろさっかー』、Pが認識されていないのだとか。まぁやられた方は怒りのあまり、認識不明(支離滅裂)な謎言語を使いだしたのだけれど。

 

 

「あれは危なかった。あのままだと私は負けていた」

「負けてたの!?」

「偶然は恐ろしい。『#♂∧∀∇』語と偶然一致していた」

「まずそのなんとか語からわからないのですが?……あ、そういうものがあると認識したせいか、なんだか話せるような気がしてきましたわ」

「君も大概おかしいよね???」

 

 

 よもやTASさんに負け筋があったとは。

 驚きではあるが、結局追記の波に飲まれたとあっては、微かな勝機も藻屑の泡である。

 ……あとやっぱりAUTOさんもおかしいな、って話になった。流石は規範(ルール)の怪物、それが秩序だったモノであればなんでもこなせるらしい。

 

 その分ルール外のことをしてくる人には滅法弱いのだが……なんてことを、謎の言語を習得してちょっとはしゃぎ、すぐ目の前でTASさんが普通に会話して来たことに気付いて意気消沈する……という、浮き沈みの激しいAUTOさんの姿を見ながら考える俺なのであった。

 ……いや、いくらなんでも秒速で負けるのやめない?

 

 

 

・∀・

 

 

 

 そんなことがあった、次の日。

 今日も今日とてバーガーショップにてバイトに精を出す俺は、元気にスマイルを売り出していたのだった。

 いやまぁ、ゼロ円のモノを売り出しても仕方ないってのはわかるのだが、このご時世朝でも昼でも夜でもない中途半端な時間帯に、飯屋が忙しくなるなんてことはほとんどないわけで。……まぁぶっちゃけると暇なのである。

 

 無論、そんな暇な時間帯なので、店員も俺一人のワンオペ状態。

 これがTASさんなら、「わかった、この時間に鬼稼ぎすればいいんだね?」とばかりに、どこからともなく売り上げを捻出し始めるのだろうが……生憎と俺は一般人なのでそういうことは出来ない、あしからず。

 

 

「……いや、そもそもその場合、そのお金はどっから来たもんなんだ……?」

 

 

 なお、そこまで考えたところで、そうして異次元から捻出されたお金って、お札とかの場合番号とかどうなっているんだ?……という、法治国家においてはわりと死活問題な部分に気付いてしまい、ちょっと思考の迷路に放り込まれてしまったが……。

 

 

「あ、あのー……」

「ん?……アッハイラッシャーセーッ!!

ぴっ!?あっ、あわわわわ……

 

 

 背後、具体的にはカウンターの方から微かに聞こえてきた声に振り返り──そこに人影、すなわち客がいたことにより、あっさりと脱出することに成功したのだった。

 ……ふぅ、危ない危ない。危うく客を無視してしまうところだったZE☆……え?向こうから声を掛けられてる時点で、既に遅い?それはそう。

 

 ともあれ、折角暇な時間帯に来てくれた客なのだから、盛大にもてなさねばなるまい。

 いやまぁ、挨拶した途端にびっくりしていたので、あんまり大声出してはいけないタイプのような気もするので、ほどほどの接客にはなるだろうが。

 

 なんてことを思いながら、相手の注文を待つ俺だったのだが……。

 

 

「…………んん?」

ひぇっ

「じー……」

はっ、はわわわ……

「……どこかでお逢いしましたか?」

初対面ですぅ~……!!

「あっ、そうでしたか。ゴチュウモンドウゾー」

は、はいぃ~……

 

 

 その少女の顔に、どことなーく見覚えがあったため、思わず声を掛けてしまったのだが……ああうん。気のせいだったようだ。

 はからずもナンパのようなことをしてしまったので、努めて冷静に仕事に戻りつつ。

 素直に注文をして、席に小走りに駈けていく彼女の背をなんとなく視線で追いながら、俺は内心でこう吐露するのであった。

 

 ──いや、CHEATさんやんけ、と。

 彼女の持っていた鞄、そこにぶら下がるキーホルダー。……()()()()()を見ながら、俺はどうしたものかと小さくため息を吐くのであった。

 

 

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