はてさて、血走った目(※当社比)でDMさんを追っ掛けるTASさんをどうにか宥め、改めてDMさんに天候操作は使えるのかどうかを確かめたところ。
「あー……はい、使えないこともないみたいですね、一応」
「……一応?」
と、なんとも微妙な反応を頂くことになったのであった。
なので、その辺りを詳しく尋ねると。
「ええとですね、そもそもお二方が教えたモノを使えない理由って、『まだその時期ではない』からでしょう?」
「まぁ……恐らくは。それくらいしか原因が思い付きませんし」
「それとほとんど同じです。そもそもの話、
「本来のDMさん?……ええと、確か……って、あ」
「……居ない時期のパラメーターは、基本的に本来のモノを踏襲する……でしたか?まぁそういうわけで、天候操作のような大掛かりなものは、出来てこの周辺半径百メートルくらいなのです。時間もほぼ一瞬、みたいな感じですね」
本来私、封印中のはずなので。
……苦笑いと共に放たれた言葉に、一同はがっくりと肩を落としたのであった。
「……ってことは、仮にDMさんをあてにするとしても、まともに運用できるのは冬頃ってことか……」
「そしてその時期になってしまえば、そもそもこちらの技能の解禁もすぐそこ。……敢えて彼女に負担を投げる必要性も、ありませんわね……」
「お力になれず申し訳ありません、とだけ返しておきますね」
そのわりにはほっとしているような、とは言わない俺である。
……まぁ、杖とかにすげ替えられかけてたんだから、さもありなんというか。
ともあれ、話は振り出しに戻ってしまった。
梅雨の時期のTASさんのイライラをどうにかする、という名目で始まった会議は、文字通り完全に失敗したというわけである。
一応、CHEATちゃんに天候操作アイテムでも作って貰おうか、みたいな案も持ち上がりはしたが……。
「……いや、この前みたいなのはヤだし」
とすげなく断られてしまった。
……あーうん、彼女自身に天候操作の経験が無い以上、この間のカメラの解析の如く、集中力やら気力やら総動員する羽目になりそうなのは間違いなく。
そりゃまぁ、やりたくないと突っぱねられても仕方がない話というべきか。
……あの時に比べれば、やり方を知っている人が他にいたりする分、まだ楽な方ではあると思うのだが。
何分その相手というのがTASさんとAUTOさんという、地味に他人に説明するのが得意ではない二人……というのはマイナスポイントというか。
「……私は説明、下手くそなどではありませんが?」
「自らの技能に任せて、相手の記憶に焼き付けるようなやり方をするのは、決して説明とは言いません」
「……くっ!」
「いや『くっ!』じゃないが?」
なお、AUTOさん説明下手くそ説に関しては、正確には『伝え方までもが最適化されるせいで、覚える過程とかまでもが省略されてしまう』という、なんというか色々おかしなことになるせいである……とだけ付け加えておく。
いやまぁ、そんなことになるのは
……説明書を熟知していなくても、操作自体はできるだろうけど。
CHEATちゃん的には、説明書を隅から隅まで熟知しないとコードを書けないので相性が悪い……みたいな?
まぁともかく、今のところ天候操作技術をどこからか用意する、みたいなあては無さげである。
辛うじて、MODさんに周囲の壁紙を晴天に変えて貰って、気分だけでも晴れにするってくらいはできそうだが……「それって、彼女に喧嘩売ってる扱いにならないかい?」と言われれば強行はできまい。
「そういうわけなので、ここで考え方を変えます」
「考え方?」
「そう。結局のところ、この辺りはTASさんの胸三寸で決まる話なわけで、こっちがあれこれと気を揉んでも意味がない……なんてパターンは寧ろ頻発してしかるべき、くらいのものなわけでね?」
「先程までの会議を全部無駄だったって言い始めたんだけどこいつ」
「そこまでは言ってない言ってない」
仮に無駄だとしても、対処法が無かったって結果を知れたのは間違いないわけだし。
……話がずれたので元に戻すと、結局彼女自身の意思でやれないとどこかで
本人は相変わらず「そんなことないもん」って言っているが、やっぱりコンマ一秒でも短縮の余地を見たのなら、彼女が満足しないのはわかりきった話。
なので、こちらがあれこれ考えるよりも、彼女の意識を切り替える方が幾分楽、というわけなのである。
「はぁ……?」
「まぁ、言葉で説明してもわかりにくいだろうから実例を。──TASさん」
「なに、話を聞かないお兄さんとは話すことなんて「制限TAS」……なに?」
「ラグ有り天候操作縛り梅雨TASだ、やれるね」
「なるほどコントローラー壊れた想定。じゃあ仕方ない、頑張る」
「おー、頑張れー」
ってわけで、こちらがTASさんに告げたのは、使えないのではなく
……そんなんでなにが変わるの?と言われれば、TASさんのやる気が変わるとしか。
「そ、そんな単純な話で終わるのですか……?!」
「いやまぁ、一連の流れで『代替手段がない』ってことを予め確認しておかないと、TASさんの説得成功率が無いに等しいから必要ではあったんだよ?今さっきまでの流れ」
「だとしても、骨折り損的な気分は免れないよ……」
はぁ、と肩を落とす皆とは対称的に、TASさんは腕をぐるぐる回して楽しげに(※当社比)雨雲を見上げていたのでありました、どっとはれ。