「雨が降っていて外に出られない、となると必然やれることというのは少なくなるもの」
「だからってぇ、なんで唐突に私の部屋で百物語をやろう……なんて話になるんですかぁ!?」
「おかしなことを疑問に思うんだね?夏と言えばホラー、ホラーと言えば夏。今はまだ梅雨だから、あくまでも予行練習みたいなものだけど……今年はホラーが熱い(キリッ」
「私からすれば、貴方の存在そのものが既にホラーみたいなものですよぅ!!?」
はてさて、ダミ子さんの現在使っている部屋が、本来二部屋分のところを片側を締め切り物置扱いにしている……みたいなことを以前言っていたと思う。
それはつまり、そこの部分の仕切りを取り払ってしまえば、結構広めのスペースが確保できる……ということになるわけで。
こうして今回、そうしてできたスペースにろうそくを大量設置することと相成ったわけなのであった。……え?話の前半と後半に繋がりが見えてこないって?
まぁ、TASさんがホラー話をし始める……というのが、半ばギャグ的なもののように聞こえるのは確かだが。
そもそもTASさんと言えば『チャレンジするジャンルに節操がない』のも重要な特徴の一つ。
……嫌がるダミ子さんにはひっじょーに悪いのだが、大人しくいけに……げふんげふん。TASさんの遊びに付き合ってあげて欲しい次第である。
「今お兄さん、生け贄とかなんとか言いそうになっていませんでしたかぁ!?」
「言ってない言ってない。俺とお前を生け贄に、TASさんのホラー話を
「それ、実質的に言ってるようなモノじゃないですかぁっ!!?」
──むぅ、なんとわがままな。
本来百の怪談を語らないといけないところを、その十分の一である十個の怪談で終わるようにしてあるのだから、寧ろ突発的なトラブルとしては楽な部類のはずなのだが。
……え?話が短くなったのは別にこちらを慮った結果ではなく、単にTASさんが短縮を図った結果、十の物語を一つに圧縮してしまえば実質百物語扱いできることに気付いただけ?……それはそう。
ただでさえこの間、他所の世界出身の寡黙さんから同時発声などという、チート以外の何物でもない技を伝授されたばかりなのである。
そりゃまぁ、それを十二分に活用したプレイングを試してみたい、とTASさんが考えてしまうのも仕方のない話だろう。
……それで出力されるのが百物語、というのはどうなのかとかいうツッコミについては、こちらでは受け付けておりません。
ともかく、今回はあくまでも前哨戦。
本番は夏の暑さ深まる頃・こちらが忘れた頃にやってくること受け合いなので、今回はサクッと流して終わりにしたいわけで。
「つまり、君がこうして駄々をこねていると、どんどん長引いてしまうんだよ!話が終わるのが!!」
「……うう~、わかりましたよぅ~、やればいいんでしょうやればぁ~……」
そういうわけで、嫌だ嫌だと駄々を捏ねるダミ子さんを宥め賺し、ミニマム百物語開幕のお知らせなのであった。
……あ、トップバッターはダミ子さんからでよろしく。<ナンデソンナコトニナルンデスカァ!?
「……ええと、その話の結果、お三方で百物語をしていた……ということなのですよね?」
「それがなんでこんなことに……」
「話をしている内に興が乗ってしまった。反省はしているけど後悔はしていない」
そんな感じで始まったミニ百物語……もとい十物語なわけだが。
何故かこう、思いもよらぬ結果を導きだしてしまった……というのは、他の面々の反応からもわかって貰えると思う。
いやね?最初はいやいや語ってたダミ子さんも、順番が一巡した頃には、すっかりノリ気になっていたわけなのですよ。
……この辺りの反応を『ノリが良い』と言うべきか『流されやすい』と言うべきなのかは判断の別れるところだが、まぁともかく余計な脇道に逸れる可能性がなくなった、というのはとても重要なことだろう。
──問題があるとすれば、思ったよりも語りに熱が入りすぎてしまった……と言うところだろうか?
猿が有名な作曲家の楽曲を
怪談を語る内に怪談を呼び寄せる方法に
……御託はいいから、早くなにが起きたのかを教えろって?では、細かい背景とかを無視した上で答えを述べると。
「……ダミ子さんの首が伸びるようになって、冷気を放出できるようになって、猫耳が生えました」
「まさかのトリプル怪異合体ダミ子。多分ダミ子のダミー部分が変な噛み合い方してる」
「猫耳だけ微妙ですがぁ、他はわりと便利ですぅ」
「えー……」
ご覧の通り、ろくろ首と雪女と猫娘が混じった、色物以外の何者でもないダミ子さんが誕生していたのでありました。
なお、本人的には部屋から動かず首だけ伸ばしてご飯が食べられるし、これから暑くなるということで自分で涼しくできるのは便利ですぅ、と好評の模様。
……いや、もうちょっと危機感持てし。