うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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ようでるヨーデルヨーロレイヒー♪

「ダミ子さんのダミー部分が悪さをしている……となると、例の代入式云々が……ということですの?」

「恐らくは。……十の物語を一つに圧縮したせいで、データ密度が高まってたのも誤作動の原因だと思う」

「なるほど……?」

 

 

 とりあえず首を伸ばして横着するのは止めなさい、とダミ子さんを嗜めたのち、改めてこれからどうしようか、と話をすることになった俺達。

 流石にこの状態で放っておくのはどうなんだ?……みたいな感じから発生した対策会議なわけだが、とはいえどうすればいいのかと問われると、微妙に首を傾げざるを得ない感じだったりもする。

 

 なにせ、今の彼女の状態自体、なにがどうなってそうなっているのか、という根本部分からわからないのだから。

 ……ダミーデータはブラックボックスでもある、というわけである。

 

 

「とりあえず、AUTOにはこれ」

「……これは?」

「妖怪変化.exe。覚えると妖怪に変身できるようになる」

「…………これは覚えてもいいものなのですか?」

 

 

 そんな中、TASさんにデータチップを渡されたAUTOさんが、困惑したような視線をこちらに向けてくる一幕が挟まったりもしたが……こちらに助けを求められても困る、としか言いようがない。

 

 大方、そもそも覚えられるのだろうか?とか、使ったあと元に戻れるのだろうか?とかの疑念から来る行動なのだろうが……単なる人間が思い込みの力で変化する、ということについては寧ろ過去からある技術の一つだと言える。

 ならば、やってやれないなどということはないだろう。

 

 ……あと、AUTOさんが使う場合はどこまで行っても外付けのシステムでしかないので、根幹部分から投げ捨てれば多分戻れるんじゃないかなーというか。……その辺りの機微は、俺にはまったくわからんが。

 

 

「……できましたわね、雪女」

「なんでよりによって、今この場でその姿を選んだし!?」

「え?ええとその……見た目の変化がほとんどなさそうだったから……?」

「クーラー二重は流石に凍える……」

「あ゛っ」

 

 

 なお、その言葉を聞いて半信半疑に例のチップを使ってみたAUTOさんは、見事に雪女への変身に成功。

 ……部屋の中の雪女人数が二人に増えたことにより、室内の気温がゴリっと下がって危うく遭難しかけたことをここに記す。

 

 

 

;・A・

 

 

 

「まぁそういうわけで、妖怪変化のやり方を覚えたAUTOさんを解析班に回し、なにを弄ればそうなるのか?……という根幹部分を探って貰うこととなったわけなのですが……」

「それが終わるまで、しばらく暇。そういうわけだから、続けて百物語をやろうと思う」

「現状を謳歌している私が言うのもなんですけどぉ、なんでそこでお二方は留まろうという思考が出てこないんですかぁ~?」

「……?言って止まるとお思いで?」

「……?言われて止めると思ってるの?」

「似たようなことを左右から言わないでくださいぃ~……」

 

 

 私、妖怪関連は専門外なんですけどねぇ……。

 などと眉をハの字にするDMさんをなんとかその気にさせ、CHEATちゃんと送り出した俺達。

 AUTOさんの状態を研究することにより、上手いこと解決策を見付けてくれればいいのだが……流石に一朝一夕でできるようなものでも無さそうなので、しばらくはこのままでの生活である。

 

 なので、だったら今この状態でしかできないことをやるしかねぇ!……的なテンションのTASさんに相乗りすることに決めた俺なのだが……ダミ子さん的には疑問が先立った模様。

 

 とはいえ、これに関してはTASさんと長く付き合っていれば、『そりゃそうするだろう』みたいな予測は立てられて然るべき、としか言いようがないというか。

 ……みたいなことを述べたところ、ダミ子さんは諦めたようにため息を吐いたのであった。

 

 

「まぁ、いいですぅ。ところで、なんで私じゃなくてAUTOさんが連れていかれたんですかぁ?私を元に戻すのなら、普通に私を研究した方がいいと思うんですが」

「……忘れてるかも知れないけれど、貴方はまだ未登場判定。ゆえに、状態を調べようにもデータに信憑性がない」

「はい?」

「この時期のダミ子さんって一応顔は戻ってるはずだけど、それをこっちの人間が確認したこともなければ、実際に確認することもできない。……いわばシュレディンガーのダミ子さんだから、データを取る場合も暫定的に初期状態のダミ子さん(ダミ子になる前)になるらしいよ」

「私の設定、ややこしすぎではありませんかぁ~……?」

 

 

 いやまぁ、ややこしいのは今の時期だけ、なんだけども。

 とにかく、変に触ると変な状態で固定される可能性もあるため、できればあんまり触りたくないのが今のダミ子さんなのである。

 ……既に今の状態が変?それはそう。

 

 

「ただ、妖怪に変化したのは今回が初めて。初めてのことは、貴方のデータに深刻な被害をもたらさないから大丈夫」

「それは誰が大丈夫だと太鼓判を押してくださっているんですかぁ……?」

「私」<エッヘン

「つよい……」

 

 

 まぁ、今の変さは後を引かない、みたいなのはTASさんの未来視でわかっているようなので、そこまで大袈裟に怖がる必要はない、というのも間違いないらしいのだが。

 ……未来は変わらないってわけでもないので、程度はあるようだが。

 

 

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