うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

229 / 728
嵐が来て喜ぶのは何方様?

 はてさて、引き続き梅雨シーズンというわけなのだが……。

 

 

「……困った。ちょっと前に台風の話をしていたのが、多分フラグになってたみたい」

「この時期に来る台風は珍しいですものね……」

 

 

 噂をすれば影、ということなのか。六月には珍しい直撃コースの台風到来、である。

 

 台風の旬……というと言い方が変な感じだが、ともかく日本において台風が取り沙汰されるようになるのは、主に九月頃。

 直撃コースになるのは基本的にこの時期のモノのみであり、それ以外の月に来るものは大抵本土を逸れる、というのが一般的である。

 

 

「……そういえば、なんで台風って九月頃に来るのが多いんだろうな?」

「基本的に理由は二つありますわね。一つは赤道直下における海面水温が高い時期であること。それからもう一つは、その時期に日本を覆う高気圧がないこと……ですわね」

「……???」

「別にそこまで難しいことは言っていないはずなのですが……」

 

 

 そんな中、ふとCHEATちゃんが疑問を溢し、それにAUTOさんが答える……という一幕があったのだが、CHEATちゃんはよくわからなかったのか首を傾げていたのだった。

 ……恐らく、海面水温が高いというだけならば八月でも良いのでは?……と思ったからだと推測されるが、それに関しては続けて述べた二つ目の理由が既に補足している。

 

 

「ええと……?」

「台風は要するに風と雨の複合体だから、温度の高い海水が蒸発する場所が発生源になるわけだ。……これが一つ目。二つ目は……前もちょっと触れたかも知れんが、気象現象の持つ力は見た目以上に強いってことだな」

「……強い?」

「台風は熱帯()気圧が規模を拡大したもの。要するに、()()()()()()()()()()()()()()()()んだよ」

「……あー、なるほど?」

 

 

 要するに、日本を覆う高気圧や偏西風などの、台風よりも()()()()()力を持つ気象現象が台風の進路を左右している、というわけである。

 そのため、それらの影響を受けにくい九月に本土へ上陸してくることが多い……というわけだ。

 

 で、話を戻して今回の台風について。

 まず今年の五月は、なにやら例年より暑い日が多かった。

 ともすれば真夏日を観測する場所もあったというのだから、台風の発生条件の一つ──高い海水温をクリアしている、と言えるだろう。

 

 そして、六月の台風はその大多数が日本に掠りもしない、フィリピンの方へと逸れていくルートを通ることが多いのだが……それと同じくらい、本土の太平洋側を掠めていく進路を通ることも多い。

 

 要するに、今回の台風は珍しくもあるが、全体的な頻度で見るとそうでもない……みたいな感じに落ち着くモノになるのであった。……勢力以外。

 

 

「まぁ、この時期にあれほどの暑さを記録した、ということ自体がおかしなはなしですものね。……ですから、この台風も本来のそれと比べると趣を異にしている……と」

「そういうこったですねー」

 

 

 普通、この時期にやって来る台風というのは、規模も勢力もそこまで大きくない……というのが常識である。

 なにせ、海水温が高くないので、台風が育ち切らない。

 そのため、接近の途中で勢力が弱まり熱帯低気圧になる……なんてことも珍しくないのだ。

 

 そういう意味で、この時期の台風としては驚くほど強い勢力を持つ台風がやって来た、ということに人々は対策に追われている……というわけなのだ。

 なにせ、今は梅雨である。……梅雨の解説までしてると長くなるので省くが、雨が降りやすくなっているところに雨と風を引き連れた台風がやって来たらどうなるのか、というのは想像だに難くあるまい。

 

 

「記録的豪雨の可能性大、というわけですわね。……一応尋ねておきますが、なにか変なフラグを踏んだと言うわけでは有りませんわね?」

「さっきも言った通り、会話で触れたくらい(大したことはしてない)

「……貴方の場合、その程度でもあれこれと事態を引っ掻き回せることはわかっていますから、余り証言としてはあてになりませんが……」

 

 

 まぁ、わざわざ『雨が降ってるとラグる』などと文句を言っていた人間が、雨雲を引き寄せることも無いでしょう……とAUTOさんが一先ずの納得を見せたことで、ほっと胸を撫で下ろしているTASさんである。

 ……いやまぁ、相も変わらず傍目には無言で突っ立ってるようにしか見えないんだけどもね?でもほら、眉がハの字だったのがなだらかになってるから、安心しているのは確定的に明らか。

 

 そんなわけで、台風接近のため休みになった面々のため、早めの昼食を準備しに掛かる俺とDMさんなのでしたとさ。

 

 ……なお、休みは休みでも自然災害による休みなんだから、素直に自分の家で休むべきなんじゃないかね?……というこちらのツッコミは、

 

 

「え、こっちのが安全だし」

「TASさんが居ますものね。下手に家にいるよりは安全ですわ」

「まぁ、彼女自身が危険物である、ということを念頭に置いておかないといけないけどね」

「……むぅ、避難所扱い……」

 

 

 などとすげなく斬って捨てられましたとさ。

 ……いや、いいけどね?

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。