「間に合ってますって言ったはずなんだけどなぁ……」
「大丈夫だよお兄さん、とても似合ってる」<グッ!
「そんなの褒められても全然嬉しくないんだよなぁ……」
前回ラストで迂闊なことを口走ったせいで、およそ一年ぶりくらいに自分のあり方を見失うことになった俺……もとい
ゲームの自キャラじゃないんだから、そんなホイホイ性別を変えられても困るんですが……というツッコミは、「そもそも性別をころころ変えられるゲームなんて、そんなにないよ?」という身も蓋もない返しで斬って捨てられました、対戦よろしくお願いいたします(?)。
……ともかく、裏で「死なばもろともですぅ~!」と糸を引いていた人物に
「……まさかの水着回だよ!」
「そうだよ?」
──と。いや、なんでやねん。
「何故こんなことになってしまったのか……」
「お兄さん生存ルートの一つで、もっとも有力かも知れないのがこれ。……まぁ、あんまりおすすめはしないけど」
「俺が私になることにそこまで劇的な効果が!?」
なんでそんな訳のわからないところから生存ルートが生えてくるのか。
……でもルートが生えた代わりに、別のものが枯れてしまってるのはとても宜しくないと思います(最低な発言)。……いやまぁ、流石に口には出さないが。
ともあれ、唐突な常夏の水着回開幕のお知らせと共に、何故か水着へと強制変更された私だが……実はこの状況そのものには、そこまで混乱したりはしていなかったのであった。
「おや意外。もう少し慌てふためくものかと思っていたのですが」
「……個人的には、
「なるほど。……でも、似合ってますでしょう?」
「いやまぁ、似合ってますけどね?」
なんだろう?最近のこの人、私をからかうことに楽しみでも見出だしたのだろうか?
そんなことを思わされてしまうDMさんの格好は、メイド服を水着に改造したようなもの。……とことんメイドであることを全面的に押し出している感じである。
一応、見た目的にはTASさんと瓜二つのはず……なのだが。
どうにも最近、目に見えて彼女の方が歳上である……とわかるようになってきたような気がしないでもない私なのであった。
「それは一体どういう意味?」
「いやいや別にTASさんが子供っぽいとかちんちくりんとかそういうことを言いたいわけではなくてね?何処と無くDMさんの方に艶が見えてきたというかね同じはずなのに微細な差異がと言うかね?っていうか初期に比べて表情豊かになったよねDMさんパーツのアップデートとか結構してる感じだったり?」
「……ふふふ。一応、それに関しては日進月歩……と言ったところですね」
「むぅ……露骨に話を逸らすお兄さん……もといお姉さんにはお仕置きが必要」
「
……まぁ、そんな感じでじゃれること暫し。
「人のいないところを選んだつもりだったけど、やっぱ暑いからかそれなりに人で賑わってるねぇ」
「まぁ、ある程度の人波は仕方ないね。……一部の人達が酷いことになっているのもお約束、ということで」<グワーッメガーッ!?
「……まぁうん、流石に(専用の)水着は用意してないというか、早々できるものでもないからね……」
近くの海の家で昼食を取ることにした私達は、周囲の幾人かに視覚災害を引き起こしながら、やれやれと席に着いたのであった。
──無論、ダミ子さん由来のあれ(を受けてTASさんがやってる視界へのジャック)、である。
「……そういえば、今回兄ちゃん……もとい姉ちゃんはダメージ受けてないのな?」
「こっちの姿でダメージ受ける方が、色々と問題だっての……」
「そういえば意識の変性……みたいなものもあるのでしたか?」
なお今回、私はTASさんによる視界へのダメージを受けていない。
理由としては、女性化した時に精神のあり方が微妙にずれたから、というところが大きい。
そもそもこの女性化、女性同士でないと話し辛いような会話に加わるためのモノであるため、精神の方もある程度女性化しているのである。
まぁ、やり過ぎると男に戻った時苦しむことになるので、あくまで問題にならない程度の誘導……といった感じだが。
なお、一番のツッコミ処である『なんでTASさんそんなことできるの』案件については、今回で二回目という時点で既にスルー推奨の議題である。
「潜入する時とか、簡単に姿を変えられるから便利」
「ああ、私みたいに全取っ替えするのは中々難しいからね、なるほどなるほど」
「それで納得できるのは、恐らく貴方様くらいのものだと思うのですが……」
一応、TASさん的には
裏世界(!?)で有名な彼女の姿は、あくまで今の彼女のそれなので、それ以外の格好なら意外とバレないのだとか。
……勿論、TAS特有の意味不明な動きをし始めなければ、という注釈は付くわけだが。
というか、そんなの察して下さいと言ってるようなものである。
そんなわけで、TASさんが「大丈夫、貴方にも覚えられる」「!?」などというやり取りをAUTOさんとしているのを見ながら、私は運ばれてきた冷やし中華に舌鼓を打つのでした。