うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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紐と波と乙女心()

「……そういえば、ふと気になったのだけれど」

「なに?」

「いや今回の私達って、前回と違ってみんな女性だけ……だろう?だから一人か二人くらいは、ナンパをしようと近付いてくる男性がいてもおかしくないかなー、と密かに警戒していたのだけれど……」

「それに関しては面倒くさいからオート撃退中。具体的にはそういうつもりの人には、ダミ子を見た人よりも酷めの視界災害が発生するようになってる」

「……参考までに聞きたいんだけど、一体どんなものが見えるんだい?」

「視界いっぱいに力士のどアップが映る」

「oh……」

 

 

 

・∀・

 

 

 

 はてさて、無事に昼食を終えた私達は、再び海へ。

 折角水着回なのだから、思う存分泳ぐなり遊ぶなりしよう、というわけである。

 

 

「……でも正直、絵のない文字の世界で水着回とかしても、大してサービスにはならないのでは……?」

「お兄さんはどうして時々、見なくてもいいところに視界を飛ばしてしまうの?」

「おおっと」

 

 

 いやまぁ、それ以外にも私が女性陣に完全に混じってしまったせいで、そういう回特有の嬉はずかしハプニングも吹っ飛んでるような気がするのも理由の一つなのだが。

 ……はっ!もしかして()が女だと死なないのって、そういうハプニングを起こした結果の『いやーん!エッチぃ~!!』的な報復が飛んでこなくなるからなのでは……?

 

 

「報復って……一体私達がなにをすると思っているんですの……?」

「え?ええっと……つい出たビンタで俺の首が三千六百度(およそ十)回転する……とか?」

「君の首は地球儀かなにかなのかい……?」

 

 

 などと言うことを述べたところ、他の女性陣からは大層不評であった。

 いやまぁ、確かにこの面々にはいわゆる暴力系ヒロインに該当しそうな人物が(一部を除いて)いないため、この物言いは失礼であることも間違いではないわけなのだが。

 

 

「……む、お兄さん的には欲しい人材?なら探しておこうか?」

「CHEATちゃんで間に合ってます」<チョットォー!?ナニカッテニヒトノコトボウリョクケイニシテンノオマエー!?

「むぅ、残念。一応あてはなくもなかったのに」<オイコラー!ムシスンナー!

「……参考までに伺っておきたいのですが、仮に受諾されていた場合はどのような方が加わっていたので……?」<アレー!?オートマデムシー!?

「ええと……暴力系、ということは戦える人ということ。つまりここから導き出される人物像はただ一つ。その名もいちふれさん」<ナンナンダヨモー!! <オ,オチツイテクダサイチートサンッ

「……可愛らしい響きなのに、なんでだろうね?心から呼ばれなくて良かった、と思ってしまうのは」<……コレ,タンニムズカシイハナシカラハブラレテルダケナンジャネ? <ソ,ソンナコトハ……ナイハズ,デスヨ?

 

 

 ……ひたすら後ろがうるさかったが、ともかく。

 危うく本気で死にそうだったことに気付いた私は、ほっと胸を撫で下ろしていたのでした。

 ……いちふれって、どう考えても『一フレーム』の略やんけ。

 

 

「……あれ?単にフレーム単位の行動ってだけなら、TASさんもできることないか?」

「できるってだけで、習熟が足りてるとは言い辛い。ここらでその辺りの専門家を招けたら都合が良かった」

「……私のためと言いつつ、結局TASさんのためじゃんか!?」

「……てへ」

(TASさんが、)

(可愛くごまかした!?)

 

 

 なおその辺りをせっつかれた形になったTASさんは、本当に珍しいことに本気のごまかしを繰り出してきたのであった。

 ……あ、わりと本気で呼びたかったのね、その人。

 

 

 

・A・⊃)д')

 

 

 

 はてさて、TASさんには悪いが暴力系、という触れ込みでやってくる格闘家(いちふれさん)とか、危ないどころの話ではないので諦めて貰うとして。(そんなー、と残念そうにTASさんは鳴いていた)

 

 再び海での遊びに戻った私達だが、早々にやることがなくなってしまっていた。何故なら……。

 

 

「夏の日差しに私達の姿は眩しすぎる!ゆえに、数少ない客達が酷いことに……っ!!」

「ばるんばるんしますからね、ばるんばるん」

「な、なんでこっちを見ながら言うんですかぁDMさん!?」

「それはもう、ご自身が良くご存知なのでは?」

 

 

 そう、ダミ子さんを引き連れる限り、必ず周囲に視界災害が発生するからである。……歩く汚染物かなにか?

 

 とはいえそれがないとろくに外を歩けない、というのも確かな話。だって今回彼女の()()は封印解放状態だからね!

 だからといって一人だけ封印状態でいろ、というのも中々酷な話である。

 

 ゆえに、できる限り姿が見えなくなるような遊びを、ということになるわけなのだが……。

 

 

「まぁ、バテるよね、普通は」

「危うく沈むかと思いましたぁ……」

「水の抵抗をもろに受けますからね、ダミ子様は」

「だからなんでDMさんはやけに突っ込んでくるんですかぁ!?」

「前回の水着回には生憎と参加できませんでしたので。ここで一つ印象に残っておこうかと」

「……いやまぁ、確かに記憶には残るだろうけどね?」

 

 

 でもそれ、常にダミ子さんの()()とセットなんだけど、それはいいのかなぁ……いいんだろうなぁ……なんか楽しそうだし……。

 たまには邪神らしいことを……ということなのか、はたまたたまには悪いことをしないと属性が鈍る、的な意味で問題無さそうなことに手を付けたのか……。

 どっちかわからない暗黒微笑()に困惑しつつ、私達は小さくため息を吐いたのでした。

 

 

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