うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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氷を削っただけなのに

 はてさて、試験も終わりましてそろそろ夏季休暇、といった感じの時期になったわけなのですが。

 

 

「今日の私はかき氷の気分」

「かき氷!いいですねぇ~、メロンとかイチゴとかのシロップを掛けてぇ、だばーっと練乳を投入すると最高ですよねぇ~」

「え?」

「いつの間に舌の色が七色にぃ!?」

 

 

 ここの面々には、そこら辺の話はあまり関係はなく。

 

 ……いやまぁ、一応学生であるTASさんに関しては、関係してないとおかしい気もするのだが。

 この子については、先のMODさんより遥かに特別扱いされてる身であるので、正直ツッコむだけ無駄というか。

 

 なんだよ『登校のタイミングで特定の操作をすると判定が分裂するから、向こうには「学校に常にいる私」が常駐してる』って。

 学校の怪談かよ、『教室のTAS子さん』かよ。別に実体があってもなくても怖いわ。

 いやまぁ、それを口にした途端『?お兄さんの後ろにも付けてあげようか?』とか言われるのが目に見えているわけだが。

 無論そんなのはお断りなので、決して口にはしない俺なのであぐぇ。

 

 

「……よくわからないけど、お兄さんから失礼な気配を感じた。感じたからには成敗しなくてはならない。えいえい」

「あででで、止めて普通に痛いいててて」

 

 

 効果音は『ぽかぽか』だが、ダメージ的には『どかどか』なTASさんのパンチを受けつつ、相変わらずこの子は人の思考を読むなぁ、とため息を吐く俺である。

 ……ダミ子さんがジト目で見てきている?気にすんな、ありゃ『読みやすい顔をしてるのが悪いんだと思いますよぉ~』とかいう顔だ。その言葉、そっくりそのままお返しするぜ。

 

 

「はいはい。低レベルな争いをしていると、お二人のかき氷はなしになりますよー」

「それは勘弁ですぅ~!」

「許してくれ母ちゃん、俺は悪くないんだダミ子が悪いんだっ」

「誰が母ちゃんですか、誰が」

 

 

 いやつい、母性を感じて……。

 意外と世話焼きなDMさんからかき氷を貰いつつ、俺達はこれからやってくる暑い夏に思いを馳せるのであった……。

 

 

 

-A-

 

 

 

「なるほど、だから今日はみんなしてかき氷を食べてるんだね……」<ナァーミテミテーゲーミングジター

「まぁ、日中暑かったからねぇ。んで、真っ先に戻ってきたCHEATちゃんが、俺らがこれ食ってるの見て『私もー』って言ってきて……」<ウワァ!?ナナイロニカガヤイテマスゥ?!

「なるほど、そのままなし崩し的にかき氷パーティ開催の運びとなった、と」<コンナトコロデCHEATツカワナクテモヨカッタノデハ……?

「その通りでございます」<ダッテTASニカツニハコウスルシカ……

 

 

 時は移り変わって午後のこと。

 終業式が終わりぞろぞろと戻ってきた学生組は、大人達(?)がかき氷に舌鼓を打っている姿に『ずるい』と大騒ぎ。

 ……いやまぁ、実質騒いでいたのはCHEATちゃん一人だったわけだが、他の二人も出されたものを無下にする……みたいなタイプではないので、結局みんなでかき氷を食べていることに変わりはなかったり。

 

 あとはまぁ、午後になったとは言うものの、こっちもかき氷を食べ始めたのは正午前くらいであり、そこまで食べ始めた時間に差はなかった……ということも合わせて記しておくべきだろうか。

 ……え?なんでそんなことを記しておく必要があるのかって?

 そりゃもちろん、さっきから後ろでわちゃわちゃしている面々のせい、というやつである。

 

 

「……なるほど。単なる七色なら、すでに私の通った道。そこに独自のアレンジをすることにより、私の先に行こうとしたその努力はあっぱれ」

「……へへっ」

「だけど無意味。我が舌はその先を行く。受けるがよい、光輝く黄金の舌(ごーるでんたーん)

「ウワーッ!?眩しいーっ!!?」

 

「……なにやってるんだい、あの子達」

「かき氷のシロップって、舌が染まるじゃん?……最初はTASさんが節操なしに色んな味を食べることで、舌を七色にしてたんだけど……」

「ああなるほど、そこに何故か競争要素を見出だしたCHEATさんが、自身のチートを活かして新たなる舌の地平に漕ぎ出したのですね」

「(新たなる舌の地平ってなに……?)な、なるほど。……ところで、舌の色での競争とは、一体なにを競うものなんだい?」

「シロップの色に存在しない新たな色を創造するとか、今のTASさんみたいに光輝くとか、そういう奇抜さを競うものって認識で良いと思うよ?」

「……誰がそれを比べるんだい……?」

 

 

 食べ始めた時間が比較的近いと言うことは、すなわちCHEATちゃんがTASさんが舌の色をあれこれ染めている姿に遭遇する可能性が高かった、ということ。

 そこで変な化学反応が起こり、CHEATちゃんはかき氷を暴飲暴食し始めた、というわけである。かき氷頭痛はチートでシャットアウトだ!……いや贅沢過ぎんか?その使い方。

 

 まぁともかく、久方ぶりの謎対決を迎えた我が家では、とりあえず『どうにでもなーれ』の感覚で二人の対決を観戦することとなったわけで。

 冷蔵庫の氷がなくなるまで、この不毛な対決は連鎖していくのであった……。

 

 ……え?オチ?無いよそんなもの。

 

 

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