「なるほど、それで彼女をここまで連れてきた、と」
「まぁ、なんか追われてたし」
そんなわけで、少女お一人様ご案内である。
突然見知らぬ少女を連れてきた俺に対し、みんなの反応はとても酷いものであった。……などということはなく。
「ん、待ってた」
「キサマノシワザダタノカ」
「えっ?えっ!?」
こちらをいの一番に迎えたTASさんにより、そもそもこの出会い自体仕組まれていたことが判明したため、他の面々の反応もそれを前提にしたものになっていたのであった。
……いやまぁ、ロリコンの変態とか言われるよりかはマシだが、それはそれとしてなんとなく釈然としない俺である。
「……?」
「違うよー?AUTOさん違うよー?確かに俺の周りには年下ばっかり居るけど、俺は別にロリコンじゃないよー?」
「……はっ!?ということは私が大本命なんですぅ?!」
「話がややこしくなるから黙ってろテメェ」
なお、その様子を察してか首を捻るAUTOさんがいたりもしたが……あとから『いえ、冗談ですわ』とからかわれたことを明かされたりもした。
……俺のヒエラルキー低すぎじゃね?
連れてきた少女は現在、ちゃぶ台の前に座らされておろおろとしている。
……恐らくだが、知り合いが二人ほどいることが大きいのだろう。で、その知り合いと言うのが、
「どうも。裏で有名な
「同じく、裏で有名な『Man Of Different』ことMODでーす」
「……なんで貴女方がこんな極東の地に……」
裏の方でも顔の売れている二人、というわけで。
……いやまぁ、MODさんの顔を知ってるのはわりと珍しい気がするのだが。
だって彼女、仕事中はこの顔じゃないはずだからね!
「いやまぁ、この前の春の
「春?……ってああ、あのMODさん大騒どむがっ」
「はっはっはっ。みなまで言わなくていいからね?」
だがどうやらMODさん、彼女については今の顔のまま仕事を受けていたようで。
……どういうこっちゃ?と首を捻っていると、返ってきたのは『春』の言葉。
どうやら、MODさんの加入フラグがそもそも立ってない、という問題発覚から急遽差し込まれたイベント『~日刊世界の危機~』における彼女の最後の仕事の相手、だったとのこと。
……確かそれって、彼女の加入イベントのフラグの一つ『とある国の王女様との面識の獲得』のためのやつだったっけ?
ってことは、この目の前で座ってTASさんに煎餅を押し付けられて困惑している少女は、件の王女様……???
「……うわぁっ!!?止めなさいTASさんスゴイシツレイ!?」
「なんで片言なのお兄さん?」
「君が滅茶苦茶不敬なことしてるからだよぉ!?」
……俺が慌ててTASさんを止めたのは言うまでもない。
「えー、この度は色々とご迷惑を……」
「あ、いえ。私の方こそ色々とご迷惑を……」
「お見合いみたい。ウケる」
「ウケてんじゃないよ君はっ」
はてさて、TASさんの失礼な行動を止めさせたあと。
改めてDMさんにお茶を用意して貰った俺は、目の前の彼女──王女様と向かい合って座ることに。
なお、こっちの左右にはTASさんとMODさんが控え、他の面々は部屋から出て周囲の哨戒に向かっている。
……察するに、この話はMODさんの加入イベントの前日譚であると判断したためだ。
彼女の加入は、とある国の王女様の日本観光を無事に成功させ、空港に送り届けたあとたまたま立ち寄った祭の場で行われる。
……で、詳しく聞くところによると、件の王女様のお忍び日本観光は、とある目的を果たすためのものであり……。
「それを果たすまでは帰らないってんで、しばらく引っ張り回されたんだよね」
「なるほど。その仕事の疲れを発散するため、たまたま目についた祭で騒いでいた暴漢に攻撃を仕掛けたと」
「……人聞きが悪いけど、概ねそんな感じだよ」
そしてその日本観光、まったく字面通りのモノではなかったそうで。
……前回説明時は単なるお転婆姫のわがまま、みたいな感じだったが、どうやらそれはカバーストーリー的なものであり、実際の目的はまったく別だったとのこと。
とはいえ、彼女が特殊な資源の産出国の皇族の一人であることに違いはなく、それを狙う者達がいることもまた間違いではない。
──つまり、一足早く一大スペクタクルがやって来た、と言い換えてもいいわけで。
「加入イベントはともかく、その前日譚であるこっちの案件には、関わるフラグが見付からなくて諦めてた。それをお兄さんが引っ張ってきたんだから、これを逃がす手はない」
「……ああうん、また乱数調整してたのね……」
「ラスウ……チョースイ……とは一体?」
「ああごめんごめん、こっちの話なので気にしないでください」
「はぁ……?」
この機会をTASさんが逃すわけもなく。
俺達は、MODさんの加入前夜のイベントにも介入する羽目になっていくのであった……。
……もしかして、今年の夏ってやべーのでは?何本立てになんのこれ?