「えー、俺がどうこうは一先ず置いとくとして。……それでもこう、向こうがこっちを探っている……っていうのは本当のことっぽいので、対策くらいは練るべきなんじゃないかなーと思いまーす」
「なるほど。では司会はお任せする」
「え?……えーと、はい……?」
俺のことはともかく……いやまぁ本当はともかくして欲しくはないんだけど、話が進まないのでともかくとして。
彼女──CHEATちゃんが、もっと前からこちらのことを窺っていた、という可能性があることは事実。
今一危機感の薄い彼女達に変わって、俺が問題提起するしかない……と声をあげたわけなのだが。
その結果として、クラスの決まらない役職を押し付けられるかの如く、俺が議長みたいな立場に納まってしまうのであった。
……いやまぁ、別にいいんだけども。でもこう、もうちょっと積極性を持って欲しいというかだね?
「別に、なんでも。挑んでくる分には寧ろ有難い」
「なんでTASさんは、ちょくちょく武芸者みたいな物言いになるの……?」
「まだまだ成長期。私より強いやつに会いに行く」
「……はっ!何故かはわかりませんが、彼女と一緒に間断なく相手をボコる情景が思い浮かびましたわ!?貴方様、これは一体……?!」
「ドラマチックならぬドメスティックですね、わかります」
まぁ、ドメスティックって家庭内のって意味なんだが。
分かりやすく意味を間違えて使う辺りに、劇的ななにかが隠されているのかもしれない。多分。
なお、AUTOさんはちゃんと元の意味で理解していたため、「……え?Mなんですか貴方様?」と斜め上の回答を返してくるのだった。……そう聞こえなくもないね!
「そういうわけなんだけど、どうすればいいと思う?」
「なんでそれを私に聞いてくるんですか……???」
場面は変わって別の日。
結局建設的な話はこれっぽっちもできなかったため、議題ごとお流れになったわけなのだが……そういえば、と仕事中に思い出してしまったので、どうせならと変わらずそこに居たCHEATちゃんに聞いてみることにした俺である。
……バカ?案ずるより産むが易し、って言葉があってだね?
冗談はともかく、あそこまで適当な態度をTASさんが取ってた辺り、彼女のことをあまり脅威としては受け取っていない、という可能性は大いにある。
「それは、なんかこう……悔しいじゃん?悔しくない?俺は悔しいです!!!……ああ止めて止めて、折角育てた
「怖いよこの人……情緒の浮き沈みが激しすぎるよぉ……」
そうなってくると……なんというかこう、TASさんにゲームで何度となくボコボコにされている俺は、思わず彼女の方に感情移入してしまうわけでして。
いやまぁ、細かく分析するのならば彼女もチート使いなのでわりと大概というか、五十歩百歩・ドングリの背比べ・争いは同じレベルの者同士でしか発生しない……というやつなのだが、それはともかく。
俺達が負け組、という共通点があることは確かな話。例えそれがビルの屋上と地面ほどの差があるとはいえ、互いに負け組なのは確かなのである。
「……もしかして、これは私も怒っていいところだったりしますか……?」
「そうだ怒るんだ!この世の理不尽を認めてはいけない!!持つ者に持たざる者のにくしみを教えてやるのだ!!!」
「……わぁ。ひとのはなしをきいてくれないやー」
なお、こちらの熱い思いが伝わったのか、後半部分の彼女はひたすらにこちらに頷いてくれるのだった。
よおし、こうなったらTASさん撃破大作戦立案だー☆
「ば、バカな……我々の作戦は完璧だったはず……!?」
「完璧だったのが敗因。──それは乱数が無いということ。確かにそれは、普通なら良いこと。でも残念。貴方は外の世界にも目を向けるべきだった。具体的に言うと──
「ぎゃー!!外的要因ー!!!」
「だから言ったのにぃ……」
「貴方も大変ですわね。プリン要ります?」
「アッハイ,オキヅカイアリガトゴザイマス……」
(先日とは本当にキャラが違いますのね……)
なお、そうして地味子さんモードのCHEATさんを連れての襲撃は、TASさんからの綺麗なちゃぶ台返しを受けたことにより、完璧に失敗してしまうのだった。
ぐぬぬ、相手の勝ち筋の全てを封鎖し、最早負け以外に選べる選択肢などない、くらいの必勝の手を用意して挑んだというのに、よもや盤外戦術で後塵を拝する羽目になるとは……!
……いやまぁ、相手に認めさせて
よもや最初に決めた待った無しのルールが、ここに来て響いてくるとは……げに恐ろしきは唐突に七色に光輝く魔技を見せたTASさんの戦略よ……!
……なお、こうなることが読めていたCHEATさんは、AUTOさんにおやつを勧められて借りてきた猫みたいになっていた。
早く慣れて欲しいものだが、中々難しい感じだなぁ。