うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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一人だけ実は別世界の人じゃないです?

「ところで、いい加減お聞きしたいんですけど」

「あー……何故彼女が私の妹とそっくりなのか、だろう?あれだよあれ、世界には自分と同じ顔の人間が三人いる……」

「じーっ……」

「……って言っても、誤魔化されてくれたりはしなさそうだね」

 

 

 はてさて、一先ず今日のところはうちで休んでください、と王女様に提案し、それに頷いてくれた彼女をTASさんが部屋へと案内しにいったわけなのだが。

 その間に、俺はさっきから気になっていたことを、MODさんへと問い掛けていたのであった。

 

 ……本人がスパイだからか知らないが、この人色々と裏設定ありすぎでは?

 作品が作品なら、後ろから刺されることを警戒しないといけない類いの人なのでは?

 ……とかなんとか、諸々の疑問や疑念・不満を込めた視線を向ければ、彼女は根負けしたように両手を上に挙げたのであった。

 

 

「……とりあえず、別に生き別れの妹とかではないよ。そもそも私も妹も、両親共に日本人の純日本人だからね」

「じゃあ、本当に他人の空似だと?」

「まぁ、そういうわけでもないのは、さっきの反応でわかるだろう?……まぁ、遠縁の親戚なんだよ。多分彼女は気付いていないだろうけどね」

 

 

 なんでも彼女の話によると、彼女の母方の家系を遡ると異国の血が混ざっていることが判明するのだという。

 ……といっても、曾祖母の祖母という、かなり離れた位置になるそうだが。

 

 ともあれ、その異国出身の曾祖母の祖母が、どうにも彼女──王女様にとっての曾祖母の祖母に当たるようで。

 

 

「なんでまぁ、彼女が日本にきた目的は、恐らくそこに関係するもの……ってことになるんだよね」

「恐らくって……前回ループでその辺り聞かなかったんで?」

「迂闊に聞けば、私と彼女が血縁だってことがわかってしまうだろう?……ただでさえ資源算出国の姫君なんだ、その上で噂のスパイ・MODの縁者だなんて知れてしまったら酷いことにしかならないよ」

「……なるほど?」

 

 

 つまり、彼女が無茶をして日本に留まっているのは、ほぼ確実にその曾祖母の祖母に関係すること、ということになるみたいで。

 ……いやまぁ、そこまで離れている続柄の人のなにを探しているのか、みたいなところはなくもないのだが。

 ともあれ、現状類推できる理由はそれくらい、というのも間違いではないようだ。

 

 で、こうなると疑問になってくるのが、前回のループでしっかりと仕事を終えているにも関わらず、王女様がなにを探していたのかを知らないMODさん、ということになるわけで。

 なのでその辺りを突っつけば、本人からは『知りすぎるのはよくない』と敢えて知ろうとしなかった、みたいな話が返ってくるのであった。

 

 ……彼女の両親の話はあまり聞いたことがないが、異世界に飛ばされた(こっちでは存在抹消状態)妹さんとは違い、生きていることは確かなはず。

 王女様が血縁を辿っているのであれば、彼らに話を聞きに行くこともあるだろうから……顔を合わせるわけにはいかなかった、みたいな部分もあるのかもしれない。

 

 なにせ、彼女ってば現状(存在が消されてしまった妹さんに代わるかのように)行方不明者になっているのだから。

 

 

「……まぁ、若気の至りというやつだよ。姿も変えられるわけだし、幾らでもごまかしは効くわけだし……」

「それでも決して家には近寄らない、って辺り気配でバレそうとかなんとか考えてらっしゃる?」

「……君はエスパーかなにかかい?」

「思いっきり顔に書いてありますがな」

 

 

 まぁ、つまりはそういうこと。

 目の前で消えてしまった妹のことを知るのは、今や世界に彼女だけ。

 その悲劇的な境遇が、ほんの少し彼女の背を押してしまった……というだけの話なのである。

 ……それで親御さんを心配させてるんだから、なんともアレな話だが。

 

 ともあれ。

 最終的に王女様が向かうのは、恐らく彼女の生家だろう。

 そこで娘が居なくなってしまった夫婦に出会い、なにかの答え(成果)を得て──王女様は満足し、自国へと帰っていったと。

 

 すなわち、俺達がこれからやるべきことは、ゴールデンウィークの時の焼き直し。

 再びの小旅行、ということになるのであった。

 

 

「だったら簡易トラベル使う?」<ニュッ

「いやー、流石にそれは王女様には刺激的すぎやしないか?」

「むぅ、残念。折角ゲートを設置したんだから、試運転とかしたかった」

「王女様が飛行機に乗って自国に帰るとこまでいけば、あとは自由行動なんだからその時にしときなさい」

「はーい」<シュッ

「……いきなり横から顔だけ出てきたTAS君と、普通に会話するの止めないかい?」

「え?なんで?」

 

 

 なお、こっちの話をどこからか聞き付けていた(現在部屋案内中の)TASさんが、近くの棚の隙間からにゅるりと顔を出して話し掛けてきたりもしたが、些細なことである。

 

 ……妖怪変化できるようになったから、最近マイブームみたいなんだよね、あれ。

 さっきのは隙間女かなー。隙間があればどこにでもワープできるから便利とか言ってたなー。

 でも使ってる間は属性に『妖怪』がくっつくので、対妖特攻に引っ掛かるようになるからあんまり使いたくない……とも溢してたなー。

 

 ……え?MODさんが微妙な顔してる?こっちとしてはいい加減慣れてほしいんですが?

 

 

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