うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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なにを探して三千里?

「到着。……結局過程を飛ばすのなら、最初から()()()()も良かったのでは?」

「ダメです」

「むぅー」

 

「……あの、先ほどからあの方は一体なにを……?」

「私達を纏めてジェノサイドしようとしてたんだよ、怖いね」

「ひぃっ!?」

「……人聞きの悪いことを言わないで欲しい、MOD。そりゃまぁ、私は記録のためにはTASけない女だけど」

 

 

 はてさて、道中特に問題になるようなこともなく、本州を南下した俺達である(途中でTASさんにRP……もとい、謎の大きな筒による攻げ……お話をされて吹っ飛んでいく、黒塗りの車達から目を逸らしながら)。

 ……それの登場ってもうちょっと後じゃなかったっけ?

 

 まぁともかく、こちらに欠員になるような被害がもたらされることはなかった、という時点で平和だったと言い換えてもいいだろう、多分。

 そんなわけで、暫くのドライブを楽しんだ俺達は、つい二月ほど前に訪れたばかりのMODさんの故郷に、足を運んでいたのであった。

 

 なお、着いた途端にTASさんから不満が飛んできたが、彼女の要望そのままに進めるのが危険なことは、前回からの流れで既に周知の事実。

 そのため、王女様はすっかりこっちにビビり散らしていたのでありましたとさ。……いやまぁ、裏での彼女の風評も加味されているんだろうなー、とは思うけどね?

 

 

「それはそれとして。こっからどうするんでしたっけ?王女様」

「ええと……この地には私の遠縁となる人物が住んでいる、と聞き及んでいます。その方にお会いしたい、と思っているのですが……」

 

 

 なお、道中の案内についてだが、流石に目的地を説明される前から知っている、というのは疑われるフラグであったため、王女様に目的地を示して貰って、そこまでの経路をCHEATちゃんに提示して貰う……というやり方を取らせて貰った。

 

 ……なんでCHEATちゃんなのかって?

 今回の場合、王女様は地名はともかく地理についてはまったくの無知、という状態であった。

 そのため、地名からそこまでのルートを算出する、という行程を必要としていたわけなのだが……。

 

 

「何度もおっしゃるように、貴女に任せるとやりたい放題し始めるのは目に見えていましたからね」

「むぅー……みんなして人聞きが悪い。ちょっと道路を超電磁にしようと思っただけなのに」

「リニアモーターカー!?」

「それ、周囲の車がただでは済まなくないかい……?」

 

 

 単純に考えると、この場でそれを行う適任者はTASさん、ということになるだろう。

 王女様は自国のSPだけならず、他の国の工作員達にもその身柄を狙われているし。

 騒ぎをできるだけ穏便に収めるためにも、本来の帰国予定の日にはちゃんと元の場所に戻っておく必要がある。

 

 ……つまりは実質的な時間制限を課せられているわけで、ならば時短の鬼・TASさんにお鉢が回ってくるのはごく自然な流れのはず。

 にも関わらず、彼女が選考から外れてしまったのは……偏に、()()()()()()()()()()()()()()()ことが挙げられるだろう。

 

 まぁ確かに?普段居ない人間がゲストとして加わっている、というのはTASさん的に絶好の機会だ、というのはわかるのである。

 もしかしたら通常とは違う処理になる物事があるかもしれないし、それによって大幅に短縮できる箇所も出てくるかもしれない。

 ……だがしかし、忘れているかもしれないがこれは現実。

 例えなんかよく分からないモノが跳梁跋扈しているとしても、そこに住まう人の大半は単なる人、なのである。

 

 つまり、巻き込まれる周囲の人からしてみれば、堪ったものではないのである。TASさんの横暴は。

 

 あとはまぁ、ゲストスロットに王女様がセットされた状態、というところに既視感が浮かばないでもないので、このままTAS的行動を強行させるのは不味すぎる、みたいなところもなくはない。

 ……と、呑気に途中のSAで買った唐揚げ串を頬張っているダミ子さんを見ながら考える俺であった。

 

 

「……な、なんですかぁ皆さん、あげませんよぉ?」

「いいですか王女様。TASさんに好き勝手させるとあの人みたいになってしまいますからね。そんなのは嫌でしょう?」

「い、嫌かどうかは知りませんが……変えられてしまうのは困ります。私は王女ですので」

「…………?なんで私、唐突にディスられたんですぅ?」

「それはほら、君自身の原点を思い出してみればいいんじゃないかな?」

「げん……てん?」

「あっそうだった、この人昔の記憶微妙に飛んでるんだった」

「唐突にお労しい空気にするの止めない???」

 

 

 なお、なんで彼女が突然ディスられたのか、と言うと。

 ……多分、元男性である要素が一切見えてこないから、なんじゃないかなーという話になるのであった。

 いやまぁ、理由のある変化なので、あんまり深掘りするとさらにお労しくなりそうな気もするんだけどね!

 

 

「でもここまであれだと、実は元成人男性ってのも怪しくなるっていうか」

「それはない。この世界を作り出した神は『TSって男の精神から女のそれに変わる過程こそ美味しいものだよね』って派閥の人だから、属性的に美味しいダミ子の過去を変える心配はない」

「なんのはなしをしてらっしゃるんです???」

 

 

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