うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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哀れなガイド役に救済を!

 前回示された答え──恥も外聞もなくTASさんに頼る、というそれになんとか気付くことに成功したCHEATちゃん。

 そんな彼女が現在どうしているのか、というと。

 

 

「……よもやMOD様が、別の仕事で離脱することになってしまうとは……とはいえ、CHEAT様のお力があるのであれば、その穴埋めも十分に行えることでしょう」<カワラズオメメキラキラ

……ソ,ソウデスネー

 

 

 彼女は引き続き、王女様からの熱視線に晒され、羞恥で死にそうになっていたのであった。

 

 なおMODさんは自宅が近付いてきたため、適当な言い訳をして逃げました。

 ……まぁ、変なお面をして遠くからこっちを見てるんですけどね。

 なんでも『変装(MOD)状態でも下手をすると見破られかねないから、私は離れて見てるね!』とのこと。……なんだろう、今から会う人への期待と不安が酷いんだけど?

 

 ともあれ、王女様の目的を達成しないことには進まないので、意を決して歩を進める俺達である。

 

 

「ところで、目的地はここからどれくらい掛かる感じ?」

ちょ、ちょっとお待ちなさい……今(TASからの指示を)見ています……

(どっから用意したんだろうなこの水晶玉……)

 

 

 まぁ、現状目的地への道を知っているのはCHEATちゃん(に、指示を出しているTASさん)だけなので、みんなで彼女の後ろをぞろぞろと付いていく形になっているのだが。

 ……ここが田舎で良かったな、他の人の目があったら絶対ギョッとされてたぞ……。

 

 なにせ先導するCHEATちゃんは、現在占い師っぽさを演出するためにローブと水晶玉装備。

 ……手に持っている水晶玉も大概だが、なによりこの炎天下の中で見た目クソ暑そうなローブを羽織っている、という事実がとても目を引くわけであるし。

 実際のところは、中に暑さ対策を仕込みまくってるらしく、滅茶苦茶快適……ってよりは寧ろ寒いくらいらしいが。

 

 

「なんでそんなに冷房ガンガンなん?」

「え?近寄ったら冷気が漂ってくるとか、滅茶苦茶神秘的じゃね?特に今夏だし」

「ああ……確かに」

 

 

 中になにかを仕込むスペースも無いように見える(実際にはダミ子さんの時のあれこれから生み出された空間操作技術によって、別所のクーラーと繋がっている)ローブの奥から、ひんやりと漂ってくる空気は確かに、彼女という占い師の神秘性を演出するにはもってこい、と言えなくもない。

 ……それで寒すぎてホッカイロを持ち込んでいるのでは、正直本末転倒では?……って気もしなくはないのだが。

 

 とはいえ、王女様の目をごまかす……という点においてはこれ以上無いのも確かな事実。

 それゆえ彼女は、この炎天下の中寒さに震える、というなんとも言えない状態に耐えていたのであった。

 

 

「ウケる」<ドッ

(……いつか絶対泣きべそかかしてやる……)

 

 

 なおTASさんは相変わらずのドSであった。

 ……自分がやりたいところを他人にやらせてるんだから仕方ないね()

 

 

 

・A・

 

 

 

 はてさて、歩き続けておよそ十分ほど。

 ……あまりに一直線に到着するとそれはそれで疑われる、ということでほどほどに寄り道しながら目的地に向かっていた俺達は、ようやくその場所にたどり着いたのであった。

 

 

「……ここは?」

汝の求むるモノはここにありましょう……我等の案内はここまでなれば

(なにその口調ウケる<ドッ)

(頭の中でまでウケてんじゃねぇよテメェ!?)

 

 

 うーむ、DMさん経由で眺め……もとい聞いている脳内思考が酷い。

 見た目上は躊躇う王女様にお行きなさい、って諭す占い師って感じなのにね?

 

 ともあれ、たどり着いたのは平屋のごく一般的な田舎の家、って感じの場所。

 庭が広めなのが都会組からすると珍しいくらいで、あとはまぁ至って平凡な家、といった風情の場所である。

 

 ……本来MODさんのところの家はいわゆる出戻りであり、その際に祖父母の家とは別に新居を建てていたのだという。

 なので、そちらの家はわりと真新しい、都会でも見掛けるような作りの二階建てだったらしいのだけれど……。

 

 

(ご存じの通り、中にいた妹ごと()()()()()()()()()()()からね。私達は最初から、田舎の祖父母達の家に住んでいた……ってことになっていたのさ)

(へー)

 

 

 目的地があの空き地ではなく、この家だったのはそういうこと。

 ……探していたのは彼女の親ではなく祖父母の方であり、ゆえに本来ならば両親に見咎められる可能性はなかったはずなのだが。

 妹の消失と共に、彼女の育った本当の生家は影も形もなく消え去り、覚えのない思い出の詰まった祖父母の家こそが彼女の住まいとなったことで、同時に日中家に居る母に見咎められる可能性が出てきてしまった、ということになるらしい。

 

 

「……それ、前の周回(ループ)の時も同じだったんじゃ?」

「日付的な問題でね。丁度母の居ない時間帯だったのさ」

 

 

 ……前回もどうにか親の目を掻い潜っていたのだろうから、今回もそうすれば良かったのでは?

 というこちらの問いに、彼女は曖昧な笑みを浮かべている。

 どうにも胡散臭いその笑みに、一体なにを隠しているのかと問い掛けようとしたその時。

 

 

「──あら?うちになにか用かしら?」

「はい?」

 

 

 背後からの声に、思わず振り返る俺達。

 そこにあったのは──普段MODさんの取っている姿をそのまま大人にしたような、そんな女性の姿なのであった。

 

 

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