うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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親の心は知り辛く、子の心は解り辛く

 その女性の姿が見えると同時、いつの間にかどこかへと消えてしまっていたMODさん。

 ……完全に逃げやがったなどとこちらが思う間に、俺達はあれよあれよと目の前の女性に言いくるめられてしまって……。

 

 

「はー、ほー……」

「え、ええとその……私の顔に、なにか?」

「いや、ホントに似てるなー、と思ってたのよ。……遠縁なのに、ねぇ?」

「ほうじゃのー。偉い別嬪さんじゃのー」

 

 

 ──どうしてこうなった?

 ……と、頭を抱えたくなるような状況に巻き込まれてしまったのであった。

 具体的には、何故か部外者である俺達まで、家に上がらせて貰っている感じである。……なにゆえ?

 

 まぁ、聞けば「だって、さっきまでその子と一緒に居たでしょ?」と、こちらのことを見ていたためだと明かされたわけなのだが。

 ……ああうん、そこを見てるのならそりゃ招くよね、だって最初からお連れ様だってわかってるわけだし。

 

 そういうわけで、本来ならば中でなにが起きているのか?……までは知るつもりのなかった俺達は、なし崩し的に王女様と向こうの一家とのご対面に、同席することとなってしまっていたのであった。

 

 

「それにしても……占い師、占い師ねぇ?なにか種があるー、とかじゃなくて?」

ハハハ,タネモシカケモアリマセンヨ?

 

 

 で、あれこれおばあさんから話を聞く王女様の横では、CHEATちゃんが女性──MODさんの母とおぼしき人に捕まっている。

 

 この場所まで王女様を案内したのが彼女、と王女様本人から聞いたことで、どうやら興味が湧いてしまったらしい。

 CHEATちゃんの周囲をくるくる回りながら、彼女へと矢継ぎ早に質問を投げ掛ける女性の姿は、ともすれば探偵が犯人に尋問をしているかのようにも見えるだろう。

 ……なんとなくだが、CHEATちゃんの能力を疑っているというよりも、別の可能性について確認しようとしている……みたいな感じにも見えるというか。

 

 

「……ふーむ、その顔は嘘を付いている顔ではない……かな。ごめんごめん。ちょっと理由があってね、許して頂戴な」

イエイエワタシデヨケレバヨロコンデー

 

 

 数分後、女性からの尋問めいた会話を乗り切ったCHEATちゃんは、すっかり片言状態になってしまっていたのであった。

 ……この様子だと、暫く使い物にならないなこれは。

 

 そんなCHEATちゃんから離れた女性は、次にこちらへと視線を向けてくる。

 思わずびくり、と体を震わせる俺達に対し、彼女はにっこりと笑って。

 

 

「さて、じゃあ今度はそっちの子達の話を聞かせて貰おうかな?」

 

 

 ……と、声を掛けてくるのであった。

 

 

 

:(´◦A◦):

 

 

 

……流石はMODさんの御母堂、と言ったところでしょうか……

細かいところで気が抜けない。子は親に似るっていうけどまさにそれ

 

 

 MODさんの母親から解放された俺達は、ちょっと用事があると言い置いて家の外へと出てきていた。

 ……文字通りに根掘り葉掘りあれこれ解き明かそうとしてくる彼女の相手に疲れた……というのが一番の理由だが、流石にそこをそのまま伝えるほど馬鹿ではない。

 一応、表向きの理由としては『ここに来るまでに使ったキャンピングカー』の様子を見て来る、というものだったわけだが……。

 

 

「……あんまり長期間は離れられないよなぁ」

「ですねぇ……」

 

 

 向こうとしては、戻ってくること前提だろう。

 そもそも王女様はまだおばあさんとの会話中であり、それの終了を待つ必要性がある以上、俺達は暫くしたらあの家に戻らなければならない。ならないのだけど……。

 

 

「……もう本人突き出した方が早いんじゃないカナ?」

「隠し通す義理もありませんからね」

 

 

 こっちとしては、あの母親相手に隠し事をすることに疲れてきた、というか。

 ……いやまぁ、TASさんはわりと楽しそうに隠し事してるけど。

 なんだっけ、『嗅覚が凄い。世が世ならRTAとして名を馳せたかも』だっけ?……TASさんにそう言わせるとかどんだけー。

 

 まぁともかく、そんな感じでTASさんが面白い、とかいう相手が俺達に荷が重いのは当たり前の話。

 そういうわけで、敵前逃亡したMODさんをさっさと差し出すのがベストなのでば?……みたいな気分になっていたのであった。

 ──多分、行く宛もないので車の中にいるだろうし。

 

 そんなことを思いながら、停めてあったキャンピングカーの中に乗り込んだ俺達は。

 

 

「……あれ?居ないな……」

「本当ですねぇ?どこいっちゃったんでしょうかぁ?」

 

 

 どうせ中のソファーで寛いでいるんだろう、と思ったMODさんの姿がどこにもないことに、思わず首を傾げることとなっていたのであった。

 

 

「ふぅん、誰か居るはずだったの?」

「ええまぁ、あと一人ほど……ってうぉわっ!?

「はっはっはっ。ビックリしすぎじゃないかい君ぃ?」

 

 

 そうして内装を見渡す俺達の耳朶を打つ、聞きなれぬ(さっきまで聞いてた)声。

 思わず飛び退いた俺を面白そうに眺めながら、彼女──MODさんの母は、先ほどまでの俺達のように、車の中をしげしげと眺めていたのであった。

 

 ……やっぱりこの人俺達には荷が重いって!!

 

 

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