うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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彼女は誰か、どこの誰か

 あのあと、女性はこっちが呆気に取られるほどに、あっさりと車から降りていった。

 なんでも、『まぁ、会いたくないって言ってるのを無理矢理、ってのはねぇ?』とのこと。……うん、誰がいたのか確信していらっしゃいますねこれは。

 

 そういうわけで、少なくともこの場所から離れるまでMODさんが出てくることはないだろう……と確信した俺達は、素直に彼女の家へと逆戻りしたのであった。

 

 

「……んで、そのままお夕食にお呼ばれした、と」

「王女様の話は終わってないし、だったらこっちも帰るわけにもいかないからねぇ」

 

 

 で、そのままなし崩し的に夕食を一緒に食べることになった、と。

 

 ……本来ならば一度キャンピングカーに戻った時、連絡でも入れてそっちでご飯を食べるつもりだったのだが……。

 そこに居るはずのMODさんが居なかったこと、およびいつの間にか母親さんに尾行されていたことから、こっちに戻る以外の選択肢がなくなっていたのである。

 恐るべきは母親の嗅覚、ということか。

 

 無論、先ほど触れたように王女様の話が未だ終わっていない、というところも大きい。

 今回の俺達は、彼女をここに連れてくるために行動していたのだから、それを蔑ろにするわけにも行かないだろう……みたいな?

 

 なお、居るはずの父親さんについてだが、仕事が忙しいとかで今日は戻らないとのこと。

 ……話を聞こうとしてくる相手が増えずに済んだと喜ぶべきか、はたまた傍らの時点でいっぱいいっぱいだと嘆くべきか。

 

 

「うん、とてもおいしい」<シュパパパ

「……とりあえず、TASさんの横暴を止めてから考えようか」

「そうですわね……」

 

 

 なお、出された料理を食べ尽くす勢いで箸を伸ばすTASさんへの対応が優先されたため、その辺りの話は有耶無耶になるのであった。

 ……やめなさいはしたない!王女様もお母さんもポカンとしてるでしょ!「いい食べっぷりだねぇ」って喜んでるのおばあちゃんくらいじゃんか!!

 

 

 

・༥・

 

 

 

「美味しかった。たまにはおばあちゃんの味というのもいいもの」

「そりゃようございましたね……」

 

 

 流石に料理を用意して貰った上になにもせずにいるのは、ということで皿洗いをさせて貰っている俺である。

 ……家とやってること変わらねぇな?と思いながら、洗い終わった皿を傍らのTASさんに渡せば、彼女はよく分からない動き(皿を片手で持ってもう片方の手で謎のポーズ)により皿の水分を吹き飛ばしていたのであった。……忍者かなにか?

 

 

「……うーん、占い師ちゃんの方は胡散臭い感じだったけど、こっちの子は胡散臭いを通り越して意味不明だねぇ。……どうやってるのそれ?」

技コマンドを選んでふきとばし(セレクト押したあと下下A)

「……うん、聞いてもよくわからないってことがわかったよ」

「むぅ、大分簡略化して説明したのに」

 

 

 なお、なにやら母親さんに気に入られた様子のTASさんである。見ていて面白い、とのこと。

 で、逆に彼女を警戒して近くの壁に隠れてしまっているのが、さっきまで彼女からの尋問(?)を受けていたCHEATちゃんである。

 ……そういえばこの子も、親についてはあんまり聞いたことなかったな。放任主義的なあれだから、こうやって構ってくる相手は苦手、みたいなやつかな?

 

 まぁ、その辺りの話を深堀すると、ここにいる面々のほとんどが両親の話一切不明、という微妙に闇深っぽい話になっていくのだが。

 ……特に描写の必要性もないので飛ばされてる、ってだけなんだけどね、マジで。

 

 

「ふむ……?その心は?」

「こんな理解不能少女達の親とか、大抵似たようなもんやろって思われかねないから」

「なんという雑な結論……」

 

 

 あとはまぁ、見ず知らずの男の家に上がり込んでる、って時点で向こうから良い目では見られないだろうなとかげふんげふん。

 ……その辺りはお約束ってやつだよ、うん。

 

 まぁ、相応に変な子が多いことも確かなので、もしかしたら「うちの子と普通に会話できてるとかわりと良物件なのでは?」とか思われてる可能性もあるが、そもそも彼女の両親達の出番は不明のため謎である。

 

 

「……そういう意味では、MODさんはわりと珍しいですわね」

「バックボーンとか家族とか、わりと色々判明してるからなぁ」

「キャラ付けがスパイだから、多分ギャップ狙い」

「それは一体誰が狙っているんですの……?」

 

 

 そこら辺突き詰めていくと、一人だけ生い立ちだの家族構成だの両親だのの情報が豊富なMODさんって、わりと珍しい立ち位置なのだなー、ってなるというか。

 ……当初年齢不詳だったような気がしたけど、ここに来たことで普通に高校生だってことが確定したりしてるし。

 

 本人的には謎多きスパイって感じのキャラクターなのに、こうしてあれこれ判明していくのは……なんというかTASさんの言う通り、一人でギャップ萌えでも狙ってるのかなー?

 ……などと思ってしまう俺達なのであった。

 

 なお、その話を受けてどこからか聞こえてきたくしゃみの音を追って、外へと飛び出していくお母さんというハプニングが起きたりもしたが、些細なことである()。

 ……いや、近くに居るんかい。

 

 

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