「……なし崩し的に遊んでしまいました……」
「……ヨシ!」
「ナニモヨクナインデスガー!?」
日もすっかり暮れ、いい加減帰るというAUTOさんとCHEATちゃんを見送るため、玄関までやって来た俺とTASさん。
CHEATちゃんは未だにおっかなビックリな感じだが、ある程度は気を許してくれるようにはなったみたいだった。
……うんうん、善きかな善きかな。
「……なにか違和感があると思っていましたが、そういうことでしたのね?」
「ん?なにが?」
「……CHEATさん、言っておきますけど中学生ですわよ?」
「うん?だからTASさんとは同い年……はっ!!?」
「高校生ですけど。これでも立派な高校生ですけど」
「いだだだだだ首がっ、首が変な方向にまががががが」
なお、自分で言ってた癖にTASさんの年齢を間違える、という痛恨のミスにより、俺の首が大変なことになったけど些細なことなので問題はありません。……ホントに?
まぁともかく。似たような境遇というか能力というか、そういう二人なのだから仲良く喧嘩しな?……みたいな気分になったのは本当の話。
なので、こうしてある程度はリラックスして貰えた、というのは成功の部類なのは間違いないのです。
「うわぁ、お節介焼きさんだぁ……」
「あれー?なんか知らんけど引かれてるー?」
「そもそも見知らぬ男性に勝手に交遊関係を広げられている……という、わりと通報案件ですもの、貴方様」
「一本(逮捕)、いっとく?」
「そんな気軽に勧められても困るんだよなぁ!?」
なお、三人からの反応は散々だった。……善意が相手に受け入れられるとは、必ずしも限らないんやなって……(白目)。
選択肢ミスったかなー、なんて思いながらバイトをしていた別の日。
いつものように暇な店内で、ボケーっと突っ立っていると。
「おおっと、ラッシャーセー!」
「うるせぇ!!」
「ラッシャーセー……」
「極端かよ!丁度いいとこを見付けろよ丁度いいとこを!」
「……ん、なんだCHEATちゃんか。ハイハイイツモノネー」
「いや勝手に作り始めんな?!」
入り口が開いて店内に入ってきたのは、派手な格好の少女が一人。
……まぁ疑うまでもなく配信者モードのCHEATちゃんだったわけだが、前回あれこれ言ってたからもう来ないのかと思ってた俺からすれば、なんというかちょっと意外な来訪と言えなくもない。
まぁ、今まで地味モードでしか来たことなかったのに、こうして派手モードでやって来てる辺りに、何かしらの意図というものを感じないでもないわけだが。
ともあれ、格好が変わっても食の嗜好が変わるわけではないだろう……ということで、いつもの彼女が頼んでいるハッピーなセットを手早く用意し始めたのだが……えー、なんで止めるんです?
「なんでもなにも、今日は別に飯食いに来たわけじゃないっての」
「ほう?こんな場末のハンバーガーショップに?飯も頼まずなにをしに来たというのかねCHEATちゃん。……まさかアレか、データを書き換えてこの店をエンディングフラグにしようと……!?」
「しねぇよ!?なんでそんなおっそろしいことしなきゃいけねーのさ!?……いや待て、言うな、なんかわかっちゃったからみなまで言うな」
「なにを仰いますCHEAT様、このような児戯であれば、TAS様は鼻唄混じりに実行なさいますよ?」
「言うなって言ったじゃんか!?……
なお、恐ろしいTASさんの企てについては、俺が泣いて土下座して謝ったことでどうにか回避した、ということをここに記しておく。やはり土下座、土下座は全てを解決する……!
まぁ冗談はともかく。
此度のCHEATちゃんが、ご飯を食べに来たわけではないのであれば、その目的がなんになるのか?……というのは、わりと気になる話。
なので、彼女がその本題に触れるのを待っていたのだけれど……。
(さっきから口を開いて閉じての繰り返しなんだよなぁ)
あーだのうーだの、なにかを告げようと口を開くものの、そこから言葉にならずに逡巡すること暫し。
見事な言い淀みっぷりに思わず拍手を贈りたくなるが、多分やったらぼっこぼこにされるのでやらない俺である。
ともあれ、かれこれこの行為を眺めるのも十分ほど、そろそろ時間帯がお昼時になるので、そろそろ頑張って欲しいなーと半目になり始めたわけだが……。
「……エエト,アリガトゴザイマス」
「ゴチュウモンデスネー!ポテトハイッショニイカガデスカー!」
「ふっざけんなよお前ぇ!!?」
「へぶぇ!?」
なんか小さい声でぶつぶつ呟いていらっしゃったので、マニュアル通りの接客を返してあげたら頬に真っ赤な紅葉ができた。解せぬ。
──なお、彼女が去り際にこちらに投げ付けていった手紙には、謝罪と感謝の言葉が記されていたことをここに記しておく。
「なるほどCHEATさんからの手紙。……錬成していい?」
「フラグ書き換えそうだからダメです」
「むぅ、ケチんぼ」