はてさて、ラジオ体操が恙無く終了し、データの収集も一通りの目処が立った頃。
再びおばあちゃんの話を聞きに戻った王女様への護衛としてTASさんとDMさんを残し、他の面々は周囲の探索へ。
……無論、意味もなく離れたわけではなく、どこかでこちらを見ているだろうMODさんの注意を引くための行動である。
昨日の今日で諦めているわけがない、と印象付けることにより、MODさんの警戒をできる限りこちらに向けるための策……ということになるだろうか。
そうしてMODさんの視線がこっちに向いているうちに、DMさん側から狼煙を上げる……というのが、今回の作戦開幕の合図である。
「うまく行くかなぁ……」
「行って貰わねば困る。このままMODさんだけ楽させてたまるかよ……」
「動機がすさまじく不純ですわね……」
DMさんから合図が来たら、すぐさま例のプログラムを起動する必要性があるため、CHEATちゃんが心配そうな声をあげるが……。
こちらとしてはMODさんを引き摺り出せなければ敗北も同然、是が否にでも勝たねばならぬので血気盛んに鼓舞する次第である。……まぁ、AUTOさんのツッコミも宜なるかな、って感じではあるのだが。
そんなことを宣いながら、街の中を練り歩く俺達。
ほとんど廃村に近い場所だが、あくまでも近いだけであって、ちらほらとは見える村民達と時々会話をしつつ、あちこちを回っていく。
「……朝の時も感じていましたが……意外と多いですわね、子供」
「こういうところで見るにしては、って注釈は付くけどなー」
そうして街を歩く中で、意外と目に付くのが子供達の姿であった。
廃村間近というには結構いるというべきか、はたまた夏休みにしては数が少ないというべきか……。
ともあれ、朝のラジオ体操の時に「やってるー」とばかりに集まってきた子供達・およそ十名ほど。
そんな彼等は、俺達の近くに寄ってきては「なにしてるのー」などと声を掛けてくるのであった。
「連れが話を聞いてて暇だから、周囲を見て回……む」
「おおっと、招かれざるお客様の登場……みたいな?」
「わわわ、あの時の奴らですぅ!?」
そうして会話をするうち、聞こえてくる喧騒の音。
視線を向けてみれば、いつぞやかに王女様を追っ掛けていた黒服の男達が、街の外からこちらに向かってくるのが見えた。
……どうやってかはわからないが、またもやこちらの足跡を追っ掛けてきた、ということになるらしい。
よもや発信器でも取り付けられているのでは?でもそれだとTASさんが気付いてないはずが……。
「……面白そうだから、って理由でスルーしてそう」
「あり得ますわね……で、どうしましょうか?お帰り願うにしても、この分だと諦めるつもりはないでしょうし」
「ではこうしよう。彼等も作戦の糧になって貰おう」
「……いやまぁ、出来なくはないけどさぁ?」
多分TASさんの差し金だな、と少しばかりげんなりとする俺達である。……多分レベル上げに丁度いいランダムイベント、くらいの扱いしかしてないなこれ。
そういうわけで、理由について考えることを諦めた俺は、これからどうするかを確認。
……対象が多いほどやりやすい、ということもあり、彼等も利用することを即座に決め、その準備のために行動開始。
一先ずは喧騒の方に走り寄り、適当に相手をあしらいながらDMさんの合図を待つことにしたのであった。したのだが……。
「……ここの人達なんかおかしくね???」
「あとでMODさんに詳しく聞く必要がありそうですわね……」
「なんとなくですけどぉ、『いや私も知らないよこれに関しては?!』とか言いそうな気がしますぅ~」
目の前で起きていることに、思わず目が点となる俺達。
……そう、今現在この場で起きていることは、思わず目を疑うモノなのであった。
いやまぁ、この世界って俺が思ってる以上にわりとフリーダム、ってことは知ってたけどさぁ?
そんな風に現実逃避を行う俺達の前で、巻き起こっていたこととは。
「
「いや分身でもなんでもなく単なる力業へぶぅっ!?」
「若いもんが年寄りに手ぇ上げるとは恥ずかしくねぇのかい!!」
「いでぇ!?寧ろこっちが暴力奮われ……いぎいっ!?」
「喧しい!人の話を遮るんじゃないよ!!」
「横暴だー!!?」
「「ふんっ!!」」
「夫婦の共同作業っ!?」
「……ふっ、鈍ってるかと思ってたよ、アンタ」
「そっちこそ、昔恋したまんまだぜ、お前」
「……ナニコレー(白目)」
「あれですわね。変な噂があっても残り続けたということは、
「……ドンダケー(白目)」
なんということでしょう。
横柄な態度で街の中へと侵入しようとした黒服達は村民の逆鱗に触れ、その全てが彼等に蹂躙されてしまっているではないですか。
その様は脳裏に『危険な場所に敢えて住み着くのだからそいつらも大抵危険物』という、ラスダン前の村の人がただの人のわけねぇだろいい加減にしろ、的な言葉を浮かび上がらせるモノなのでした。
……いや、マジでドンダケー。
なおこの蹂躙、こっちの状況を知らないDMさんからのある種のほほんとした合図が届くまで、実に一方的な形で続いたのでした。
……俺達のレベル上げの機会はなかったよ、TASさん()。