「……外に出たことを悟られないように裏手から出るように、との指示でしたが……MODさんは上手くこちらを見失ってくれているでしょうか?」
「まぁ、TASさんの予測だからねぇ。多分大丈夫だと思うよ?」
「なるほどぉ……?」
はてさて、すっかりと母親姿も堂に入って(?)来た俺達である。
目の前で行われる母親合戦には流石に辟易気味だが、街の人側に混じってる分には特に疑われる要素もあるまい。
そんなわけで、どこかに紛れているMODさんが居ないかを探しているのだけれど……。
……うん、今のところそれっぽいのは見当たらねぇな!
「いやまぁ、俺らが見たところで判別できへんやろ、ってのも確かなんだけども」
「そうですねぇ~」
「基本的にはお母様任せ、ということになりますわね」
まぁ、そもそもMODさんの変装を俺らが見破れるのなら、こんな回りくどいことをする必要もないのだが。
……そういう意味では、相手より先に
正直、か細い糸過ぎて手繰り寄せられる気の余りしない俺達なのであった。
「……とりあえず、巻き込まれないように離れるか」
「そうですわね……」
こちらとしても、目の前の集団がどちら側なのか?……みたいなことは判別できないため、手伝うのにも無理があるだろう。
そういうわけで俺達は集団から離れ、街の外縁部を確認することにしたのであった。
はてさて、そんな一団を眺めながら、MODは一つため息を吐いた。
「ううむ……やっぱり私を捕まえるための策、だったか。……多分あれは彼とAUTO君、それからダミ子君かな?……TAS君が主犯でないのなら、これをやっているのはDM君とCHEAT君、ということになるわけだが……やっぱり向こう、なのかなぁ」
嫌だなぁという顔をしながら、広場の喧騒から離れた祖母の家の方に視線を向ける。
……なんとなーくだが、じりじりと広場の激突の中心が、そっちの方に動いていっているような気がする。
つまり、件の襲撃者達はあの王女様のいる場所へ、じりじりと気付かれないように移動しているということ。……そう遠くないうちに、祖母の家が戦いの中心になることは目に見えていた。
できれば、そうなる前にこれを止めたいのだが……流石に、MOD一人ではこの喧騒を止めることはできまい。そういうのは他のメンバーの役目である。
ならば他の人に手伝って貰う、というのが正答なのだろうが……余程上手く誘導しないと、こちらを捕まえるのを優先して来そうな気がひしひしとしているため、どうにも選び辛い選択になっていたのだった。
……いやまぁ、結局のところMODが母親に会いたくない、というわがままを通しているのが問題なのであって、ことここに至ってはそれくらい無視して手伝いを頼む、というのがベストではあるのだが。
「……会いたくない」
MOD的には、まだそのわがままを優先してしまう、してしまえる状況なわけで。
恐らくは致命的なその時まで、彼女は自分の我を通すのだろう、ということがありありと見てとれたのであった。故に──、
「捕まえた、ですぅ」
「……?!」
ふわり、と己に覆い被さってきた相手に、意識の虚を突かれたMODは、呆気なく捕まってしまったのであった。
「……え?いや、は???」
おーおー、困惑してる困惑してる。
……いやまぁ、外縁部に行ったはずの俺達がここにいる、って時点で意味がわからんだろうし、更には完璧に変装しているはずなのになんで?……みたいな疑問が脳内を締めているのだろうが。
「いやまぁ、話としては単純でね。──エフェクト張り付けてないのに見た目が同じ、なんて相手が居たらバレるに決まってるでしょ、そりゃ」
「は──」
この母親さん増殖計画、身も蓋もないことを言うと上から見た目を被せているだけである。
……確かに、そのプログラムを走らせたままだと、違いがわからなくなるのは自明の理。
だがそれは、あくまでも俺達の目から見た時の話である。
プログラムで行っていることなのだから、
「……い、いや。だとしても、それを判別するのはDM君のはず。そもそも観察して、
「あ、やっぱり?……TASさんが『今のMODはこちらが使っているホログラムのデータの癖とかも再現できる』とか言ってたから、そうなんだろうなーとは思っていたんだけど」
「……!?」
とはいえ、それで見付かるような間抜けなら、こっちもこんなややこしいことはしなかった。
……何故なら、今のMODさんは昔と比べて変装技能が向上しており、
それこそホログラムを投影している本人でも『……あれ?これどっちだっけ?』と困惑するような再現度。
ゆえにそれは、本来絶対に見付からないはずのものだったのである。
「じ、じゃあどうやって……?!」
「そりゃもう、このプログラム自体は
「!?!?」
……もう驚き疲れて来たんじゃねーかな、とこっちが困惑するくらい、驚愕の顔を見せているMODさん(ver.母親の姿)。
とはいえこれも、
「……ま、まさか」
「そのまさかですぅ。……ダミ子ちゃんじゃなくて、貴方の母親でした♪」
そう、母親の姿をしているダミ子さん、ではなく。
そこにいたのは正真正銘、彼女の母親その人なのであった。