うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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盗られたなら取り返す、倍取りだ!(?)

「なるほど……もしステルス機能が実用化されているのだとすれば、時間を気にせず日本を離れることも可能かも知れませんわね……」

「ってことは、早急に追い付かないとダメ、ってことか……」

 

 

 向こう側が思ったよりハイテクシステム搭載してるかも?

 ……ということが明らかになったことにより、こちら側に時間的な余裕はあまりないことを知らされた俺達。

 となると、どうにかして向こうを足止めするか、はたまたこちら側が加速するしかない、ということになるんだけど……。

 

 

「……流石に無理です。電子系の妨害と言っても、あくまで周囲の通信をジャミングできるだけ。……相手の車両を行動不能にしようとするならば、最悪EMPが必要になりますが、そのような装備の持ち合わせはありません」

「あったらやってた、みたいなこと言うの止めない???」

 

 

 EMPってあれでしょ、めっちゃ高いところで核爆弾を起爆すると滅茶苦茶強い電磁波が出るってやつ。TASさんがたまにやってるシューティングとかで使われてるの見るよね。

 んで、その電磁波が精密機械に誤作動だったりショートだったりを起こさせたりする……ってやつ。

 

 あれゲームだから一時的に機能が使えなくなる……みたいな影響で済んでるけど、実際やられると大抵の電子機器おじゃんになるって聞いたぞ俺。

 一応原理的には核とか使わないもっと小規模なやつも作れるとかって聞いたけど、どっちにしろ手段として過激的過ぎるわっ。

 

 みたいなツッコミをしたところ、当のDMさんからは首を傾げられる形となったのであった。

 ……相手が事故って止まりましたが王女様は無事なので問題ありません、みたいなことやらないでねマジで?

 

 

「……EMPはともかく、なにかしら相手を妨害できるような装備はないんですの?こう、トリモチランチャー的なものとか」

「AUTOも大概攻撃的なこと言うよね……先行させてるドローンは、そもそも映像投射用のに急造でジャミング装置取り付けたやつだから、それ以外の攻撃性能とかはないよ。……映像投射機能に関しても、そもそも他方向から違和感なく映像を投射しようと思うんなら一機じゃ無理、数機で当たるのが普通……って辺り、相手の視界をごまかすのには使えないし」

 

 

 AUTOさんからはもう少し安全な停止方法はないのか、みたいな声が飛んでくるが……飛行物体に余計なモノをくっ付けるのは中々に難しいこと。

 ジャミング積んであるだけマシだと言ってくれ、みたいなCHEATちゃんの言葉が返ってくるのだった。

 ……それはそれとして、視界を妨害するのは結局事故の元だから止めようね?

 

 

「ふむ、なるほど。ということは、現状誰も打開策を持ってないということ。──だけど私は違う」<キリッ

「……嫌な予感しかしないんだけど?」

 

 

 そうして面々がどうしたものかと唸る中、満を持して声を挙げたのがそう、我らがTASさんである。

 ……正直に言わせて貰うと、すっっっごい不安です。なんでかって?見ろよあのTASさんのキラキラとした(当社比)顔。

 あれ絶対、「この時のために用意しておいた手段が使える」ってワクワクしてる顔だぜ?そんなん不安になるに決まってるでしょーが。

 

 

「むぅ、お兄さんってば酷い。私はただ、この状況を打開できる策を無償で提供してあげよう、って言ってるだけなのに」

「タダより高いものはない、って教わらなかったんですかねぇ……?」

「知らない。そんな言葉は私の辞書にはない。タダなら最後まで使い潰すだけ」

「言いきりやがったよこの子」

 

 

 なお、当人はこの様子である。

 ……ああうん、下手するとこの機会が来ることを狙っていた、までありますねこれは。

 となると、彼女の提案を突っぱねることは事実上不可能。

 俺達は素直に彼女の策を受け入れるしかない、ということになってしまうわけで……。

 

 

「ええい、こうなりゃ自棄だ!時間的な余裕があるわけでもないし、悪魔でも神でも天使でもなんでも相乗りしてやるよぉ!!」

「えっ?」

「……いや、最初から相乗りしてるじゃん、みたいな顔しないで貰えますかDMさん?」

 

 

 ……実際に身内に神が居ると話がややこしいなこれ。

 まぁともかく、こうなってしまったからにはTASさんに任せるしかない、というのも確かな話。

 ゆえに俺達は(半ば嫌々ながら)彼女の提案を受け入れることになり──、

 

 

「では、お言葉に甘えて。──コール。高速航行モードに移行

「…………へ?」

 

 

 ──瞬時に後悔した。

 無機質な彼女の声が車内に響き渡ると同時、辺りの様子が一転しておかしくなっていく。

 

 この機械の擦れあう音はなんだ(ぎゅいーん)

 金属製のなにかが噛み合う音はなんだ(ぷっぴがん)

 というか、車内の内装が壁にしまわれて行くんだけどマジでなにこれ???

 

 

「わた、わたしのキャンピングカーがっ!?」

「い、いつの間にこんな改造を……」

「みんなに隠れてこっそりと。MODが車を離れてくれたのは僥倖だった」

「oh……」

 

 

 およそ一分後。俺達はキャンピングカーではなく、ロケットのようななにかの中に迷い込んでいたのであった。

 ……物理法則もなにもあったもんじゃねぇな(諦め)

 

 

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