「アニキー!!必ず、必ず敵討ちに行きますからねー!!」
「喧しい。コイツらの気が変わらない内にさっさと行きやがれ」
「うぉおぉん、アニキの犠牲を無駄にするなテメェらー!!」
(……ナンダコレ)
一昔前のヤンキーとかヤクザの映画かな?
……みたいなやりとりが目の前で繰り広げられているわけなのですが、皆様如何お過ごしでしょうか?
俺は現在絶賛混乱中です()
……いやまぁ、この状況に手引きしたのは俺なのだから、一応なんでそうする必要性があったのか?……というのはわかっているのだけれど。
それにしたって、細かい部分はまだわかってないため、微妙に首を捻らざるを得ないというか。
そんなわけで、こっちに中指立てたりブーイングしながら去っていく男達を見送った俺達は、改めて一人残された相手──彼等に『アニキ』と呼ばれた相手と向き合ったのであった。
「……で、俺はこれからどうなるんだ?できれば一思いにやって欲しいんだが」
「意外と言えば意外だった。でも確かに、言われてみればそれはそう、という感じ」
「……いや、こっちの話に答えて貰いたいんだが?」
「諦めて下さいまし、こういう時のTASさんはまず人の話を聞いていませんわ」
「マジかよ……」
相手は既に観念した、という風情で最早抵抗する気もないようだが……思えば、
王女様が不思議そうな顔をしていたのも、ここまで諦めが早い人物には見えなかった……ということを車内で認識したからであろう。
実際、車内から出てきたばかりの時、この人物はやる気に溢れていた。
それが変わったのは、この人物がTASさんを視界に入れてから、である。
……となれば、その時になにかがあった、ということだろう。
思えば、準備が良すぎたり状況に対応するのが早かったり、ちょくちょく気付くタイミングはあったように思う。
「あー、なるほど。つまりはこういうことか。この人、
「そう。更に言うと隠しキャラ。こんなところにいるとは思わなかった」<ワクワク
「……あ?隠しキャラ?」
そう、それらの要領の良さは、恐らくこの人物がなにかしらの能力を持っているがゆえ。
……それだけならまぁ『この世界ってそういうアレらしいし、居てもおかしくないか』となるだけの話なのだが。
その次にTASさんが溢した言葉に、俺以外の面々は皆してTASさんに視線を向けたのだった。……え?俺?さっきなんとなく気付いてたからなー……。
「……んん?もしかして君、"先導者"かい?」
「その名前で俺を呼ぶってことは……テメェは"まんおぶでぃふぁれんと"か」
(平仮名……)
(今絶対発音が平仮名だったよこの人)
「……視線が鬱陶しいんだが?」
「我慢しなよ、捕虜みたいなものなんだし」
「……チッ」
はてさて、なんかMODさん的には知っている人、みたいな感じだったようだが……こちらとしては今のところ謎の人、という印象は拭いきれない。
なんならさっきまで敵対してたようなものなので、普通は悪印象が消えないはずなのだが……。
「いやー、確かに街では暴れてたし王女様を拐ったりもしてたけど?実際被害ってそれくらいのもので、なにかしら傷やら物的損壊があったわけでもないから、そこまであれこれ言う必要もないというか?」
「……イカれてんのかコイツ」
「御安心下さいまし、TASさんのせいでちょっと感覚がずれているだけですわ」
「……悪ぃ、酷なこと言ったな、謝る」
「はっはっはっ、なんでだろうなーこの気遣われてるのに胸が痛くなるのー()」
……うん。なんかこう、口調こそぶっきらぼうだけど、その端々から好い人感が滲み出てるというか?
実際に口にすると殴られそうな気がするので、言葉にはしないけど。……いや、状況的に殴ったりしたら周囲からタコ殴りに合うしやらない、か?
などと考えていたら、また相手から返ってくるなんとも言えない視線。
……呆れているのか戦いているのか、そのどちらかはわからないが、なにかしらこちらに理解のできない手段でなにかを認識している、という感じがするのは間違いではないだろう。
「そう、だから隠しキャラ。言うなれば私達は運命共同体……」
「おいバカ止めろ、物騒なもんちらつかせるんじゃねぇ!?」
(なにが見えてるんだ……?)
念のためロープで拘束されているこの人、TASさんの言葉になにやら過剰反応している様子。
……恐らくなにかしらを視ている、のだろうが……運命共同体っていうと、『嘘を言うな』とか『俺のために』とか、そんな感じのむせそうな話でも視たのかな?
……などと考えていたら、再び相手から返ってくる『マジかよコイツ』みたいな視線。
あーうん、なんとなくだけど、この人の能力わかったかもなー?
などと考えながら、俺達はキャンピングカーに乗り込み、再びMODさんの故郷である街へと走り始めたのであった……。