うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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人は見た目によらないし見た目によって性格が左右されるわけでもない

「なんか……増えたね?」

「まぁ、色々ありまして……」

 

 

 大体日が暮れる頃、というやつだろうか。

 行きはかっ飛ばしたが帰りまでかっ飛ばす必要はないだろう、とTASさんを説得し(隣でまたあの人がなんとも言えない顔をしていた)、ゆるゆると帰って来た俺達。

 街の喧騒はすっかり収まって、常ののどかな空気を取り戻していた。

 

 ……で、噂の『アニキ』さんはあの時襲撃部隊から一方引いた位置であれこれしていたようで、街の人達は顔を見ていなかったらしい。

 そのため、連れてきたこの人に対してまず一番に飛んできた言葉は、『なんで縛られてるの?』という身も蓋もないものなのであった。

 

 

「……趣味とかじゃねぇからな」

「へー」

 

 

 最早何度めやら、みたいなやり取りをうんざりしたように繰り返す『アニキ』さん。

 ……そんな彼?を遠巻きに見ているのが、物影に隠れているCHEATちゃんである。

 

 

「いや、どうしたの?」

「……口調被り甚だしい。いっそ静かな私を主体にした方がいいかな……」

「声小さいのは困るけど、口調被りを気にするならいっそ統合すれば?」

「今大分無茶苦茶なこと言ってることわかってるのお前???」

 

 

 ……どうやら、彼?のぶっきらぼうな口調が、現在の彼女の喋り方と被っていることに困惑しているらしい。

 

 こっちとしては知らんがな(もしくはAUTOさんとDMさんで既に通った道)って話なのだが、どうしても気になるのならもう一つのCHEATちゃんの顔・地味モードを主体にしたキャラにイメチェンすればいいのでは?……とアドバイスしておいた。

 まぁ直ぐ様なに言ってんだコイツ、みたいな視線が返ってきたわけだが。

 

 でも実際、うちに居る面々の口調を見比べた時、特徴的なのは地味モードの時のCHEATちゃんの方……ってのは間違いないと思うけどね。

 まぁ、そのままやられるとこっちが声を聞き取るのに難儀するので、できれば発声練習も一緒にやって貰うべきだと思うのだが。

 

 

「なにやってるんだテメェら……」

後輩からの(ひょうひゃいひゃひゃよ)理不尽暴力に(ひふひんほうほふひ)屈してるところ(ふっひへうほほほ)

「この口かっ!!このっ!このっ!!」

「ええ…………?」

 

 

 その後、母親さんとの挨拶を終えた『アニキ』さんからは、呆れているようにも驚愕しているようにも思える視線を頂くこととなったのでした。

 ……呆れるのはわかるけど、驚愕?

 

 

 

・A・

 

 

 

「わかっちゃダメだと思う」

「ですわね。呆れられるようなことは謹んで頂きたいものです」

「本当は?」

「呆れを通り越してしまうのが、最早デフォルトかも知れませんね」

「ひでぇ」

 

 

 すっかり日も暮れてしまったので……ということで、またもや母親さん達のお世話になることになってしまった俺達。

 

 いやまぁ、ドタバタした結果王女様の目的も結局達成できてないんだから、帰るに帰れないみたいなところもあるんだけどね?

 でもまぁ、なんか『アニキ』さんまで泊まることになってる辺り、色々おかしい気がするというか。

 

 その辺はいわゆる流れに身を任せ、みたいな感じなのだろうが……。

 ともあれ、俺としてはなんとなく気楽な感じではある。

 

 

「それはまた、なんでだい?」

「いやー、女性集団の中に男一人、ってのはやっぱり気を遣うというか……」

「なるほど。そりゃまぁ、気楽かもしれないね」

…………(=ФωФ))」<ジーッ

 

 

 なにせ、始めての男性ネームドキャラ?である。

 そりゃまぁ、今まで女所帯に男一人、みたいなものだったのだから喜びもひとしお、というか。

 

 まぁ、今までのメンバーと違って隠しキャラらしいし、なんなら滅茶苦茶敵対してたのでちゃんと仲良くなれるかなー、みたいな不安もなくはないのだが……。

 敵対云々の話を深掘りすると、そもそもCHEATちゃんの辺りからわりと今更、って話になるのでもう気にする必要ないんじゃないかなーというか。

 ……ん?ってことはCHEATちゃん互換キャラなのか『アニキ』さんって?

 

 

「いい加減にしろー!私は断固抗議するぞー!!」

抗議の内容が(ほうひおはひほうは)俺への暴力なのは(ほへへほほうようはほは)如何なものか(ひはははほほは)。……そういえば噂の『アニキ』さんは?」

「ん?先に風呂に入ってくる、と風呂場に行ったみたいだけど?」

「なるほど。じゃあ男同士の裸の付き合いでもしてくるかねぇ」

「……本当に同性の方がいらっしゃったのが嬉しかったのですわね」

「なんだかハーレム系作品の主人公みたいですぅ」

 

 

 はっはっはっ。

 なんとでも言えい、今の俺は上機嫌なんだ。

 

 というわけで、話もそこそこに着替えを持って風呂場に向かう俺。

 母親さんの家の風呂、まさかの露天風呂だから結構でかいんだよねぇ。……いやまぁ、正確にはおばあちゃんの家の風呂、ということになるわけだが。

 

 ともあれ、広い脱衣所に『アニキ』さんの服──ビシッと決まったスーツ的なやつ──があることを確認し、それの横に自身の着替えを突っ込んで服を脱ごうとして──、

 

 

「……おおっと、『アニキ』さんの服が」

 

 

 変に揺れたのか、棚からはらりと落ちて行った服をぱしり、と空中で掴む俺。

 そうして安堵したのち、ふと棚の中身に視線が吸い寄せられたわけなのだが……。

 

 

「…………サラシ用の包帯」

 

 

 スーツの下から見えたのは、多めの包帯。

 ……ヤクザ的な空気を醸し出していたので、傷口にでも巻いてたのかな?

 などと思いながら、空中で掴んだ服をその上に戻し……戻し?

 

 

「…………………」

 

 

 思わず地響きが聞こえてくるような(ゴゴゴゴゴゴゴゴ)、そんな幻覚に襲われながら自身が手を離したモノに視線を向け直す俺。

 ……ええと、ぶーめらんぱんつ、かな?だよね?そうだよね?まさか、ねぇ?

 

 冷や汗をダラダラと流し続ける俺の背後で、響いてきたのは風呂場から誰かが出てくる音。

 ぴしり、と固まった俺は、恐る恐る背後を振り返る……ことはせず、代わりに大声で叫んだのであった。

 

 

「──TASさん介錯お願い!」

「優しくですねわかります」<ドゴォ

「ひでぶ」

「………は?!え、なに?!なにこれ殺人現場か!??!?!」

 

 

 こちらの要請を受け、天井をぶち破って俺の頭にドロップキックをお見舞いしてくれたTASさん。

 それに感謝しながら意識を失う寸前に俺が見たのは、湯煙に隠れながらもダミ子さん級のやベー物をお持ちらしい『アニキ』さんがこちらを見て慌てる、うっすらとした姿なのであった。

 

 ……なんかTASさんが意味深な視線向けてきてたのこれかよ!!

 

 

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