うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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未来視同士の激突はTAS同士の激突のようなもの

(……本当に切腹するし、ちょっと目を離したら治ってるし、なんなんだコイツ……?)

(なんか滅茶苦茶見られてるんですが。もしかして俺まだ狙われてる?)

(変な勘違いが進行してる予感。面白……興味深い展開だから静観)

(かまぼこ大納言)

(((誰だ今の)))

 

 

 はてさて、ROUTEさんが限定的な未来視(選択肢)持ちである、ということがわかったわけだが。

 恐らく、それこそが彼女が隠しキャラであった理由なのだろうと、TASさんは発言する。

 

 

「あー……言うなればフラグを向こうが回避している、ということですものね。で、出会う未来が最初からないのだから、本来TASさんがなにをしても意味がない……と」

「流石に確率0パーセントは私でも無理。源氏は私に酷いことをした」

「それわかる人いるのかなー?」

 

 

 絶対に不可能なことを可能にする、というわけではないのだから仕方ない、と頷くTASさんである。

 

 ……端から見てると違いがわからないが、TASさんはあくまで仕様を全部読みきって悪よ……活用しているというだけのこと。

 CHEATちゃんのように本来できないことを無理矢理やる、みたいなのには向いていないというわけである。

 

 

「私的にはなに言ってるんだコイツ、って感じだけど……逆に言うと、今回の話は誰にも軌道修正出来なかったから起こったこと、ってことになるのか?」

「少なくともROUTEに出会えたのはそう。だからMODにはとても感謝している。ありがとう、やはり貴女は鍵だった」

「……褒められてるのかな、これ」

 

 

 そして、こうしてROUTEさんに出会えたのは、言ってしまえばこの流れが強制ルートのようなものだったからこそ。

 ……そういう意味では、TASさん的に(ここに連れてきてくれて)ありがとう!(拐われてくれて)ありがとう!!……みたいな感じだったわけである。

 うん……褒めてるとは言い辛いなこれ?

 

 まぁともかく。

 折角の隠しキャラ、折角の隠しルート。……その隅々まで舐め尽くす勢いのTASさんは、もはや俺達では止められない暴走機関車のようなものなのであった。

 

 

「むぅ、お兄さんは毎度毎度失礼。でも今回は許す。今の私はとても機嫌が良い」

(こいつこんなにニコニコすんのな、の顔)

(俺達もこの顔は初めて見たよ、の顔)

「……なんでもいいけど、さっさと風呂済ましちゃくれないかい?」

「おおっと、はーい」

 

 

 ……なお、その暴走は母親さんからの鶴の一声で、あっという間に停止させられたのであったとさ。

 家主には逆らえないからね、仕方ないね。

 

 

 

・A・

 

 

 

「そういえば、積もる話とかあったんじゃないんで?」

「……顔を見たらそれで十分、だってさ」

 

 

 他の面々が風呂に入ったり歯を磨いたりしているのを横目に、布団の準備をしていた俺はふと、縁側で夜空を見上げていたMODさんに声を掛けることに。

 ……ほんのりと『なんでサボってるのさ』的な責め句の意味合いもなくはなかったのだが、当のMODさん本人はボーッと空を眺めているままなのであった。

 

 なので一旦仕事を放り出して、彼女の隣に腰を下ろしたのだが……どうやら、大してなにも聞いてこなかった母親さんに対して少々思うことがあったらしい。

 

 

「……覚えていないけど、なにかがあることは確信している……みたいな感じかな。あとはまぁ、私が昔ほど性急でも頑なでもない、って部分もあるのだろうけど」

「昔は、っていうと……喧嘩別れみたいな感じだったんで?」

「まぁね。子供の頃に出ていったわけだけど、その時は今ほど落ち着いてもいなかったから」

 

 

 放り出した両足をぷらぷらと揺らしながら、彼女は当時を思い返している。

 

 ……いきなり居なくなった妹や、思い出の詰まった生家。

 されどそれを記録するのは彼女のみ、その場に居合わせなかった人々は、『そんなものは知らない』の言葉ばかり。

 

 幼子にそれへの反発を持つな、などと言っても無理があるだろう。

 だから彼女はその時に得た擬態の力を持って外へと飛び出し、今に至る……みたいな感じだろうか?

 まぁ、いきなり飛び出したわけではなく、不満が積もりに積もって飛び出した、という感じなのだろうが……どちらにせよ、互いに蟠りがあったはず、というのは間違いあるまい。

 

 それが向こうだけ勝手に解消されていて、こっちは抱え続けている……というのが不満なのだろう。

 無論、それが随分と勝手な物言いであることもわかるため、彼女はこうして縁側で不貞腐れている、ということなのだろうが。

 

 そんな彼女を見て、俺は小さく苦笑を漏らす。

 ……なんともまぁ、似た者同士というか。

 

 

「……いきなり笑うとはどういう了見だい?」

「知らぬは互いばかりなり、みたいな感じかな」

「はぁ?」

「あとでそっと様子を見に行けばいいよ、ってこと。……それより、いつまでもそこで燻ってると来ちゃいますよ?」

「来る?なにが……ってうべぇ!?」

「どーうーしーてーだーまーってーいーらーっしゃーいーまーしーたーのー!!!?」

 

 

 こちらの苦笑にムッとした顔をするMODさんに再度苦笑して、ヒョイと横に避ける俺。

 ……数秒前まで俺が居たところを突撃して行った王女様と、そんな彼女に抱き付かれて吹っ飛んでいったMODさんを見て再度苦笑を溢し、俺は再び布団の用意の仕事へと戻ったのであった。

 

 

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