「……さっきの笑みは忘れてくださいまし」
「さっきのとはもしかして、あの悪人めいた笑
「蒸し返すなと言っていますでしょう!?」
「おお、腰の入ったいいストレート」
いやー、軽率に拳とか飛んできすぎじゃないかね?……え?自業自得?そりゃごもっとも。
そんなわけで、景気良く殴り飛ばされた俺が、呆れた顔のROUTEさんに(お姫様抱っこの体勢で)キャッチされる、などのハプニングこそあったものの、これにてここでのフラグ集め、工事完了です……。
……RTAだとお決まりの台詞だけど、あんまり多用するべきでもないよなぁ、などと駄文を一つ。
ともあれ、やること終わったのならさっさと次の場所へ、といきたいところなのだが……。
「……MODさん?」
「…………いや、いいさ。今は時間が惜しいわけだし」
久々の帰郷……ではないが、久々の家族との邂逅である。
積もる話でもあるんじゃないか、と顔色を窺う俺だが、当人にはそのつもりはないらしい。
……ここでイベントが終わりなら、このままMODさんを置いていく……なんてこともできるのだが、生憎とイベントはまだ進行中。
その辺りが言い訳にもなって、彼女は母親との会話を拒否する形に──、
「あいだぁっ!?なんだいいきなり!?」
「おおっと、これは弁当カナ?(棒読み)飛んできたのは向こうの方からカナー?」
「はぁ?……あ」
──なるはずだったのだが。
どこからか()飛んできた包みがMODさんの後頭部にクリーンヒット。
思わずつんのめったMODさんが頭を擦りながら振り返れば、その先にあるのは彼女の祖母の家であり……。
「……ああ、いつか帰るとも。必ず、妹を連れて」
(……シリアスしてるところ悪いんだけど、色々と直前の条件があれなんだよなぁ)
見えないけどそこにいるはずの、母親に向かって小さく呟きを返すMODさん。
……シリアスな空気を滲ませているが、包みの中身が山盛りのおにぎりだったりする時点で台無しである。
ともあれ、いつかまたここに来ることを内心に誓うMODさんを促し、改めて俺達はキャンピングカーに乗り込んだのであった。
「それで?こっからどういう感じの行動になるのさ?」
キャンピングカーに乗り込んだのち、CHEATちゃんから飛んできた疑問の言葉。
このまま王女様の祖国に向かう、というのは間違いないわけだが、どういうルートを通るつもりなのかということだろう。
以前のループでは、そもそも王女様は目的のモノを見付けきれず、失意の内に帰国することとなったそうだ。
その時は消えた王女様を探索していた護衛達に彼女を送り届ける、というのがイベントの終わりだったのだろうが……。
「今回そのルートは取れない。何故か?MODが
それは選べない、と改めてTASさんが念押ししてくる。
なんでも、そのルートはMODさんを一人だけ生け贄にするのと然程変わりがないのだとか。
「……そういえば、永久離脱ってどこまでの範囲で?今回ループだけ?それとも
「その二択なら後者の方」
「……どういうこっちゃ?」
「詳しい話は(今は)秘密。でも取り返しの付かない選択肢ってことだけは間違いない」
ふと疑問に思ったのか、CHEATちゃんが『永久離脱』云々に付いて質問していたが……ううむ、聞く限りだと結構深刻な話になるらしい。
そんな重大選択肢をなんのヒントもなく置いとくなよというか、今までのループはその辺りずっとスルーしてたのかとか、色々と思うことはなくもないが……。
TASさん本人に話す気がない以上、こっちが知っててもあまり意味のないことなのだろうとスルーする俺である。
とにかく、素直に護衛さん達のところに向かうのは非推奨。
……となると、こっちが取れる手段も自ずと限られてくるわけで。
「そういうわけで、やって来たのはROUTE達を迎え撃った駐車場」
「……んで、そのまま暫くなにもせずに夜を待った、と。……なぁ、今俺の前にある選択肢が固定な上に、なんかイヤな予感しかしねぇんだがなにか知ってるか?」
「はははは、そのイヤな予感が正解だってことなら知ってますねー(白目)」
「マジかよ……」
ROUTEさんってタバコとか吸うんだねー。
……と、脳内で
辺りはすっかり夕闇に染まり──端的に言えば夜を迎えていたのであった。
さて、では話のおさらいである。
日本国を密かに出国しようとする場合、選ぶべき時間帯とはいつ頃か。
……そうだね、辺りが暗くなってからだね。特に深夜帯がベスト。辺りが寝静まった時間なら、警戒も緩みやすいってやつだね。
「そして用意するのはこのキャンピングカー・飛行モード」
「んなこったろうと思ったよチクショウ!!」
フィクションじゃねぇのかよ!!……と嘆く声もほどほどに、今俺達が乗り込んでいるキャンピングカーは、再びその様相を変化させていたのであった。
具体的には車体の横に羽が飛び出してる。なんならジェットエンジンまで付いとる。……だから物理法則はぁ!?
いやまぁ、いつもの未来技術……というやつなのだろうが、それにしたって限度があるというか。
いや寧ろ、この辺りの無茶を未来ではやれるようになっている、ということの方が驚きなんだが?
……などなどの雑多な嘆きを飲み込んで、最早
なお、今回初参加となるROUTEさんは、自身の未来視が故障していなかったことに大きな嘆き声を挙げていたのであった。
はははは、大丈夫すぐに慣れるよ()