うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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遠足ではないが気分は遠足()

「……本当に空を飛んでいますね……」

「ちくしょう厄日だ……」

 

 

 TASさんの無茶苦茶行動の極み初体験の二人がさっそくグロッキーになっているのを横目に、最早慣れきってしまった()俺達は、これからの行動を決めるための作戦会議を行っていたのであった。

 内容としては、向こうに着いてからどう行動するか……が比率として大きいだろうか?

 

 

「……とりあえず、彼女にはちょっと変装用のMODでも被せて置くべきかね?」

「そうですわね。ともすれば彼女を連れている私達が誘拐犯、などという認識になりかねませんし」

「あとは砂漠を横断しなきゃいけないんだっけ?徒歩で」

「流石に車は目立つから、どこかに置いとかないといけない。……向こうでもステルス使っていいのなら、このまま一直線だけど」

「ダメです」

「むぅ、お兄さんのいけず」

 

 

 一先ず決まったのは、王女様の見た目を変えること・それから目的地に向かうまでは徒歩になるということの二つだろうか?

 

 前者は、絶賛行方不明状態の王女様を連れている異国人……なんて、怪しいを通り越して誘拐犯そのものである。

 そりゃまぁ、見付かったら面倒臭いことになるのは目に見えているため、端から隠す方に向かうのは必然というやつだろう。

 

 後者に関しては、このキャンピングカーそのものは普通に砂漠の踏破が可能だが、それをすると流石に目立つ……というところが大きいだろう。

 無論、今みたいにステルス機能を有効活用すれば、見付からずに進めるかもしれないが……ROUTEさんのところの一団みたいに、迂闊にステルス機能を晒して真似をされる……みたいな事態は避けたいので却下である。

 相変わらず、扉を閉め切ってないとステルス機能が万全ではなくなるわけだし。

 

 

「全方向にステルスを発揮しようとすると、基本的には隙間を塞ぐ必要がありますからね。……ギリースーツのように、なんとなくごまかす程度であれば、多少適当でも問題はないでしょうが……」

「まぁ、それだとステルス機能としては落第だよねぇ」

 

 

 一応、ギリースーツ……いわゆる迷彩のように、周囲の環境に溶け込むというパターンも存在するが、それはそれで単一の環境にしか対応していない、という問題点がある。

 あれだ、森用の迷彩で海に隠れるのは難しい、みたいなやつ。

 

 今回は砂漠を横断するため、必要なのは土色の類いということになるが、これと決めてしまうと他の場所で使えなくなってしまう。

 ……あとはまぁ、迷彩系は近付かれるとバレる、という理由もあるか。

 

 それと、現代の戦闘機などに使われている方のステルス機能──レーダーなどの探索機械類から察知され辛くする、という方式については、そもそも最初っから搭載済みなので問題はない。

 ……なんで搭載されてるんです?(当然の疑問)

 

 

「なんでって……そもそも私の職業を忘れてないかい?」

「……そういえばこの人スパイだったわ」

 

 

 そっか、そういう目的でも使ってるのなら、探知されないようにするのは当たり前の……いや待てロケットとか飛行機とかの改造は、TASさんによるものだったはずだぞう???

 

 なんかおかしくないか、と問い返したところ返ってきたのは「最初にこのキャンピングカーを引っ張り出した時のこと思い出しなよ……」という言葉なのであった。

 …………なるほど、このキャンピングカーでカーチェイスしてたとかではなく、潜入用に使ってたってことね。

 オンオフできるんなら怪しまれることも減るってわけか。……減るのか?

 

 この辺りは突っ込んでもややこしそうなので、一先ず脇に置いて。

 ともあれ、キャンピングカーのまま砂漠を横断するのは無し、である。

 となると、昼間は灼熱・夜中は極寒の砂漠を歩いて踏破しないといけない、ということになるのだけれど……。

 

 

「……まぁCHEATちゃんが居るならなんとでもなるか!」

「そんなこともあろうかと、全天候対応フード付きマントを作っておいたぜ!」

「流石だぜCHEAT!そこに痺れるぅ~!!」

 

 

 うん、別になんの問題もないな!

 ……いやまぁ、単純に歩き疲れる可能性、ってやつもあるわけなのだが。

 とはいえ、気温や環境の厳しさに関しては、そういうのを考慮したアイテムとか作れるCHEATちゃんが居る時点でなんの問題もない。

 

 ならば問題となるのはやはり、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、ということだろうか?

 

 

「……そうですね。このメダルはあくまでも鍵。その場所へと誘う機能がある、というわけではありませんので」

「なるほど、そこまで親切ってわけてないんだな」

「あっても良さそうなモノですけどねぇ、目的地に向けて光がーとかぁ」

 

 

 そう、このメダルは件の目的地で使用するための鍵ではあるが、だからといってその目的地を示してくれたりはしないのだ。

 一応、国の倉庫を漁ればそれを指し示すなにかが見付かってもおかしくはない、とのことだったが……。

 ほら、今の俺達ってば暫定王女様誘拐犯だから、城なんかにのこのこ向かったら捕まるどころの話ではないというか……。

 なので、鍵だけ持って砂漠をさ迷う必要性がある、というなんとも言えない状態になっているのであった。

 

 なお、TASさんならなんとかなるのでは?……という問いに関しては、「それでもいいけど時間掛かるよ?」とのこと。

 ……TASさんの未来視って時間経過無しのはずなのに、時間掛かるとはこれ如何に?

 

 

「……なるほど、俺がここに居るのってこのためか……」

「?ROUTEさん?」

「向こうに付いたら俺に任せろ。多分なんとかなる」

「なんと?!」

 

 

 案内したくない理由でもあるのかと俺が首を傾げる中、声をあげたのはグロッキー状態からようやく復帰したROUTEさん。

 どうも彼女にはなにかしらの策があるようで、向こうに付いたら任せてくれとこちらに提案してくるのであった。

 

 ……別に構わないけど、選択肢が見えるってだけだと厳しくない……?

 

 

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