うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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探りを入れるは秘密の園

「……はい?二人の実家を探りたい?」

「そう。今回はスニーキングミッション」

 

 

 ある晴れた日のこと。

 洗濯物を二人で手分けして干していたところ、Tシャツのシワを伸ばしていた俺に、唐突にTASさんが声を掛けてきたのである。

 で、その内容と言うのが、AUTOさんとCHEATちゃんの家を見に行こう……というもの。

 

 ……人のプライベートを勝手に探るのはよくない、と思わなくもないのだが。

 彼女からこうして提案される場合、それはもはや決定事項のようなものであるというのも確かなため、こちらに否定権はなかったりするわけで。

 

 

「……ダンボールいる?」

「?そんな大きなもの持っていったら目立つよ?」

「なんでこういう時に限って普通のこと言うの君???」

 

 

 仕方なしに携行物についての確認を取れば、彼女から返ってきたのは『なに言ってるのこの人?』みたいな視線なのであった。

 ……非常識な人に常識語られてるんだけどー!?

 

 

 

・∀・

 

 

 

「はい、あんパンと牛乳」

(別方向に古い……!?)

 

 

 本格的なスニーキングの前にコンビニに寄る、という彼女を店の外で待っていた俺。

 暫くして戻ってきた彼女から、菓子パンと紙パックを渡された俺は、どうやら彼女はCHEATちゃんからの影響を受け始めているのでは?……と少しばかり戦慄する羽目になったわけだが置いといて。

 

 ともあれ、これで準備万端ということで、ようやく今回の目的を果たすために行動することができるわけなのだが……。

 

 

尾行(スニーキング)ってことは、二人を見付けるとこから始めなきゃいけないわけだけど……今日って二人はうちに来る日だっけ?」

「来ない日。二人にもプライベートはある」

「……ん、んん?なんかこう、この行動の根幹を揺るがしかねないこと言わなかった今?」

「気のせい。尾行スタート」

「リ◯クスタート、みたいな言い方するんじゃないよまったく」

 

 

 ツッコミ処満載の彼女の言動に辟易しつつ、改めて行動開始である。

 ……もし仮に件のゲームが実在したら、彼女は『ノーコン&最速でクリアする。バリバリ』とか言いながら突撃するのだろうか?

 そんなことになった場合、やはり俺が言うべきなのは『やめて!?』なのだろうか。

 

 

「……お兄さん、難しい顔してる」

「ああうん、見送りにはやっぱり黄色いハンカチなのかなぁ、って思っててさ」

「……私のことあれこれ言うくせに、お兄さんってわりとアレだよね」

「あれ?なんで俺ディスられてるの???」

 

 

 あと、見送りに黄色いハンカチ云々は、古いを通り越して最早化石……なんて風なツッコミを受けつつ、俺はあんパンを噛るのだった。

 

 

 

・∀・

 

 

 

「早速発見。これより尾行に移る」

「へいへーい」

 

 

 そんなこんなで暫く。

 最初に見付けたのはオフの日のCHEATちゃん。

 ……オフの日って付けると有名人みたいね?いやまぁ、実際有名人かもしれないけれど。動画配信者(Vtuber)っぽいし。

 

 ともあれ、俺達が近くに居ない時の彼女がどんな感じなのか、と思えば。

 

 

「……意外と普通だな」

「今日の夕食はハンバーグと見た」

「メンチカツかもよ?」

 

 

 なんともまぁ、至って普通に買い物をしている姿を、隠れているこちらに見せ付けていたわけなのである。……いや、見せ付けるっていうか、こっちが勝手に見てるだけなんだけども。

 野菜の袋を一つ持っては、何事かを呟きつつ暫く静止し、いやいやと首を振って元の場所に戻す……という行為も、少なくとも単に今日の献立に悩んでいる、という風にしか見えないだろう。

 

 

「む、どうやら萎びた野菜に、チートを使うかどうか迷ってる様子」

「さらっと読唇術するんじゃありません。しかしまぁ……オフの日だと良い子なのね、CHEATちゃん」

「どういう意味?」

「ご自分の胸に手を当ててよーく考えてご覧なさい、マジで」

 

 

 まぁ、TASさんが唇を読むことによって、どうやらお勤め品を買ってチートで綺麗な状態に戻すか否か?……を迷った結果の動きだった、と判明するわけなのだが。

 俺の横でムッとしている彼女(TASさん)なら、迷わずやってるだろうから良識のある良い子なのだな、なんて気持ちが湧いてくるのも仕方ない、というか。

 

 言われた側のTASさんは、「失礼な。できるのなら単品じゃなく全体にやるよ」などと、更に恐ろしいことを口にしていたわけなのだけれど。

 ……良かった、時間操作系のバグとかグリッチとか見付かってなくて()

 

 ともあれ、一品一品悩みながら商品を選んでいるCHEATちゃんは、こちらに気付く様子はまったくなく。

 そのまま、一通り必要な具材を時間を掛けて選んだのち、小さくため息を吐きながら彼女はレジへと足を向けたのだった。

 

 ……なお、俺達に関しては小さい子を監視している謎の二人組、なんて風に噂になりそうな気がするかもしれないが──いつもの如くTASさんがあれこれ調整しているため、特にそういう騒動が起きることはないしこれから起きることもない、と言うことをここで明言して置こうと思う。なんでかって?

 

 

「……なぁ、俺はここで待機してちゃダメ?」

「ダメ。私から離れると迷彩効果は消えてしまう」

「マジかー……」

 

 

 CHEATちゃんが次に向かったのが、服屋だったからだよ!……見事なまでの俺の社会的死亡フラグだと感心するが、問題はないな(白目)

 

 

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