「……はっ!いやいや呑気に見送ってる場合じゃねぇ!追っ掛けねぇと!」
「ダミ子は意外と丈夫だから大丈夫だと思うよ?」
「そうなのかー」
「いやそういう問題じゃ
「えー」
「えー」
「ダメですわROUTEさん、TASさん相手に道理を説いても無意味ですわ」
「……これ俺が悪いのか!?」
多分そう、部分的にそう。
……とまぁ、すっかり怯える気分でも無くなった俺は、階段を転がって行ったダミ子さんを見て慌てるROUTEさんに対し、微妙に生暖かい視線を向けていたのであった。
なんていうかな、俺にもこういう時期があったなーというか、はたまた俺の代わりにツッコミをしてくれる人が増えたんだなーって気分になったというか。
まぁ、彼女も大概不思議組なので、その内慣れて『なんだいつものことか』みたいな反応になってしまうんだろうなー、みたいな一抹の寂しさも感じるわけなのだが。
「んなもん捨てちまえ!!いいからさっさと降りるぞ!」
「はーい。じゃあ、ていっ」
「え゛」
……なお、一人大丈夫だったのだから二・三人で同じことやっても大丈夫でしょう、がTASさんの基本原理である。
徐に蹴っ飛ばされた俺に合わせるかのように、先ほどまでちゃんとした階段だったはずの足元は何故か綺麗な斜面に変化。
なんでそうなるんだよぉ!?
……というドップラー効果満載の悲鳴を挙げながら転がって行ったROUTEさんを筆頭に、残りの面々もころころと斜面を転がり始めたのであった。
……俺?無駄に洗練された無駄のない無駄なアクロバット走法によって、TASさんに玉扱いされて上(?)に乗られてますがなにか?
「満足」
「人をボール代わりに使った玉乗りは楽しかったかい……?」
「満足」
「うーん安定のTASさん」
玉にされた方としては堪ったものではないが。
……とはいえ、一歩一歩進んでいたのでは何分掛かったかわからない道程は、さっさと転がり落ちることでかなりの短縮に成功したのであった。
で、途中で転がるダミ子さんすら追い抜かしたので……。
「頑張れお兄さん、ふぁいと、おー」
「応援だけじゃなく手伝って欲し……うおぉなんか突然パワーが溢れる!!?これは一体!!?」
「え、知らない……」
「ドン引きするの止めない!?この状況でそういうことできるの君しかいないよね!?」
「ちっ、バレたか」
一番最初に底にたどり着いた俺達(主に俺)は、後から転がってくる面々が壁に激突しないようにキャッチすることになったのであった。
なお、TASさんは体が小さく受け止めるのは無理があるので待機である。……本当に受け止められないんです??
まぁ、見るからに小さい子にそういうことさせるのもあれなので、俺が受け持つことそのものには文句はないのだが。
……なんでこう、こっちの内心を読んだかの如くニッコリ笑うのは止めてくれんかTASさんや。小さい言うたのは謝
「バカなこと言ってないの。来るよそろそろ」
「へいよー。……おっ、いつの間にか順位が変わったんだな」
TASさんからの愛の鞭?的なハリセンを頭に受けつつ、改めて斜面の方に向き直る俺。
そうして見上げた先に見えたのは……。
「……うーん、このまま加速して空へと離陸する……くらいはしそうですわよね、TASさんですと」
「その時歴史が動いた、みたいなことを言い出すのは止めない?」
先頭を華麗に転がってきたのは、我らがAUTOさん。
正確には、転がるっていうより高速側転って感じだったが……どちらにせよ余裕を持って降りてきていた、というのは間違いないだろう。なんか不穏なことを言ってるのはスルーである()
いやまぁ、今回のあれこれがチームではなく単騎での遺跡攻略だったら、まず間違いなく使ってただろうなーとは思うわけだが。
そんなことを考えている内に、次のメンバーが転がり落ちてくる。
「うぉっあぶねっ!?」
「ああ、CHEAT様が壁に大穴を!」
「なんという加速力。流石はCHEAT」
「そこはせめて心配しろよ!私の無事を!!」
「あ、生きてた。流石はCHEAT」
「持ち上げ方が雑すぎるわぁ!!」
次いで先の見えない斜面から飛び出して来たのは、低空飛行しながら降りてきたDMさんと、そんな彼女が追従していた相手であるCHEATちゃん、及びDMさんに背後から持ち上げられるようにして一緒に降りてきた王女様の三人。
……DMさんと王女様はともかく、CHEATちゃんの方は咄嗟の事だったせいか前転──いわゆるでんぐり返しで転がっていたので、こちらが驚くくらいの速度が出ていた。
よって俺が受け止め損なったのは別に俺のせいじゃない、以上。怪我も無さそうだし問題はないな!
「は?ってウワーッ!!?」
「大きな岩がCHEATちゃんの開けた穴に吸い込まれた!?」
「見た目岩だけど、あれ多分MODさんだよね」
「む、無茶苦茶やりやがる……」
「おっとROUTEさん、お疲れさまです。ダミ子さんもついでにお疲れー」
「あ、扱いが酷いですぅ……」
などと言っていたら、どこかの誰かが「温い!」とでも思ったのか。
追撃のように転がっていったのは、
その大岩はさっと避けた俺達の間を抜け、そのままCHEATちゃんが埋まっている壁の穴にホール・イン。
……声的に多分MODさんの変化した姿だと思われるが、だったらまぁ大丈夫だろうとスルーする俺達である。
そういうわけで、今回の斜面レースはトップTASさん、最下位ダミ子さんという結果に終わりました。
また次回もお会いしましょう、さようなら~。
「終わらすなぁ!!」
「あ痛ぇっ!!?」
「……そもそも、何故皆様転がり落ちる必要が……?」
「その方が楽だから?」
「そのようには見えませんでしたけど……」