うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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ショッキングなホラー体験はいかが?

「なにはともあれ、皆様無事に降りられたということで宜しいですか?」

「本当に無事だと思ってるのかよ……」

「(話が進まないので)よ・ろ・し・い・で・す・わ・ね?

あ、はい……

 

 

 遺跡の最下層と思われる場所に、なんとか到着した俺達。

 そこで一応点呼を取ったのち、改めて周囲を見渡すことになったのだが……。

 

 

「……なるほどなるほど。この階層はまだ最深部ではないんだって」

「何故それを知って……いや言わなくていい、なんとなくわかった」

「いやーそれほどでもー」

「言わなくていいって言ってるだろうがっ!!」

 

 

 ()()()()()()()のか、唐突にここは最下層ではない、という発言がTASさんから飛び出すこととなったのであった。

 ははははー誰から囁かれたのかなー?(白目)

 

 ……いやまぁ、一度目撃してる以上、ごまかすのも無理があるわけだが。

 そんなわけで、なんか久しぶりに聞いた気のする謎言語で話す半透明のお方である。……DMさん、お知り合い?

 

 

「いえ、知りませんが。……というより、これはそういう言語ではなく、あくまでも彼我の世界の差によって生じる一種のノイズ、だと思われますが?」

「なるほど。じゃあ調整したらみんなにも聞こえるかも」

「は?いやいや調整ってなにを……」

「ちょいさ」

「……ん?あれ、もしかしてこれ聞こえてる?」

「……出来ちゃったよ調整……」

 

 

 などと声を掛けたせいで、あれよあれよと言う間に意志疎通が簡単にできるようになってしまった。

 相変わらず傍若無人街道まっしぐらなTASさんである。

 ……それとROUTEさんがそろそろ驚き疲れてるから、加減してもろて。

 

 

「今のうちに慣れて置きませんと、その内酷いことに会うと思うのですが?」

「だからってスパルタ街道まっしぐらってのも教育によくないと思うわけだよ俺は」

(……ん?なんでROUTEの教育方針を巡って争ってるみたいになってるのこの二人?)

 

 

 なお、その辺りの話は周囲の反対多数で否決された。

 ……悲しいことだが、ROUTEさんにはぶっつけ本番で慣れて頂くしかないようだ……。

 

 ってなわけで、話を戻して。

 

 

「(なんだったんだ今の……)……ええと、それで?アンタは一体何者なんだ?」

「私かい?私はここの墓守みたいなものさ。盗掘者を惑わせて生きて返さないようにしたりとか、はたまた仕掛けを作動させて息の根を止めたりするのを生業としているよ」

「これ悪霊の類いじゃねぇかな?」

 

 

 気を取り直したROUTEさんの言葉に、心外だなぁと笑い声を挙げる半透明の人。

 なお、見た目的にも『半透明の人』としか言い様のないくらい特徴が見えない……具体的には身体的特徴もなにもない人型である、ということを一応ここに記しておく。

 響いてくる音声的には、多分男性なんだろうなぁとは思うのだが。

 

 

「なぁTASさん」

「ダメ」

「……まだなにも言ってないんだが?」

「言ってなくても見えるのわかってて言ってるでしょ?」

「むぅ……」

 

「……あのぉ~、お兄さんはいきなりなにを言い始めたんですぅ?」

「あー、多分だけど、つい最近夢があっさり散ったことが関係あるんじゃないかな?」

「……なんで俺の方を見ながら言うんだよ」

「夢破れた後の残骸みたいなものだから?」

「喧嘩売ってんなら買うぞテメェ?!」

「どうどう、ROUTEさんどうどうですぅ」

「俺は牛かなんかかっ!?」

 

 

 ……DMさんみたく連れて帰れないかなぁ、などという俺の提案は口に出す前に気って捨てられる。

 いつもなら乗り気なTASさんがこうして断ると言うことは……ううむ、あまり宜しくないということか。

 もしかしたら今現在フランクなだけで、実際はDMさんよりも禍々しい相手だったりするのかも?

 

 

「当人を置いてあれこれ話をするのは感心しない……というのは置いといて。一つ勘違いを是正するのなら、私はそもそもこの場所でしか成立しないものだ、ということかな?」

「ね?」

「なるほど、残念だ」

(なに言ってるんだこいつら、という顔)

 

 

 そんな俺の疑問は、半透明の人……もとい墓守の人本人の発言によって氷解する。

 

 いわゆる地縛霊の類いである彼は、そもそもこの場所以外では普通に成仏?してしまうらしい。

 それを聞いてまで無理矢理連れだそう、などという気は更々ないので、俺は素直にこの話を諦めることにしたのであった。

 ……徹頭徹尾微妙な顔をしていたROUTEさんはスルー。

 

 ともかく。

 唐突な思い付きがお流れになったのだから、これからするべきは本来やろうとしていたこと、ということになるだろう。

 ここは王族の陵墓だというが、はたして王女様はこの場所に一体どんな用事があるのか、そしてその用事はどうすれば果たされるのか。

 

 それを問い掛けようとした俺達は、しかしそうして王女様の方を向いた時に絶句することになるのであった。

 

 

「み、皆様何故私を見て驚愕していらっしゃるので?」

「……め」

「め?」

「滅茶苦茶取り憑かれてる!!?」

「はいっ!?」

「これがこんだいのむすめか」

「なかなかきがいのある」

「おれさまおまえまるかじり」

「へんなのまじってるぞ?」

「はっはっはっ。……仕掛けの始まりだねぇ」

 

 

 俺達が振り返った先。

 その先に見えたのは、先ほどの墓守の人と同じような姿のなにかに、まるで群がられているような格好になっている王女様の姿なのであった。

 ……率直に言ってキメェ!!?

 

 

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