うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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半透明な人です、幽霊ではありません、恐らく

「せんとうたいせー」

「マジかよっ!?」

 

 

 唐突な群れ湧きに慌てふためく周囲を尻目に、呑気な声色のTASさんの号令が響く。

 敵……敵?である半透明'sは現在王女様の周囲に纏わり付いており、本人の顔を認識し辛くしてしまっている。

 

 ……いやまぁ、それだけなら単にこっちがやり辛い、くらいで済むのだが……。

 

 

「だれだこいつつれてきたの」

「しらん」

「おれじゃない」

「がじがじ」

「あ、頭がなんだか重く……」

「……ツッコミ処しかないんだが?」

 

 

 ご覧の通り、どうにも排除すべき相手はごく一部。

 ……なのだろうが、その一部が他の半透明に囲まれているため手出しができないというか。

 っていうか、仮にその一部に手出しができる状態だったとしても、こっちの墓守さんに触れない辺り、向こうも似たようなものなんじゃないかなーというか。

 雑にいうとこっちからの干渉不可能、みたいな?

 

 

「大丈夫。普通に掴んで投げればいい」

「うわー」

「ええー……」

 

 

 などと躊躇していたら。

 ずんずんと歩いていったTASさんが、おもむろに一人?の半透明を掴んだかと思えば、ポイッと周囲に投げ捨てたのであった。……いや触れるんかい!

 

 となれば、こっちとしてもやれることが出てくる。

 ……出てくるのはいいのだが……。

 

 

「……ねぇTASさん、今何人くらい纏わり付いてるかな、これ」

「さぁ?少なくとも十やそこらではない、ってのは確か」

「な、なんだか体ごと重くなってきたような……」

「がぶがぶ」

「むすめがたいへんだ」

「われらでたすけよう」

「……さわれなくね?」

「おかしいなぁ」

「すかる」

「もっとひとでをあつめよう」

「いいとも」

「……これ絶対なにかしらバグってるだろ!?」

 

 

 なんか、半透明の側でも混乱が巻き起こっているようで。

 俺は思わず『TASさんなにかした?!』と聞き返すこととなったのであった。

 

 

 

;・A・

 

 

 

「……よ、ようやく終わった……」

「頑張ったねー」

 

 

 数分後。

 ビビるダミ子さんまで総動員して、なんとか王女様に群がっていた半透明達を剥がし終えた俺達。

 当人は「あら?なんだか体が軽く……」などと呑気なことを言っていたが、最後の一人は本当に剥がすのに苦労した。

 なにせ諸に囓り付いてるんだもの。……なんか空気感も他の半透明と違ったし、なんだったんだあれ?

 

 あとはまぁ、取り憑かれてた本人が全然見えて無さそうだった、というのも気になるポイントだろうか?

 俺達側の人間は、最近加わったばかりのROUTEさんですら見えているというのに、彼女一人だけが彼らの存在感すら認知していない、というのはなにかしらの問題が起きているのだと感じざるを得ないというか。

 

 

「私のせいではない」

「……いや、まだなにも言ってn()「私のせいじゃない」……さいですか」

 

 

 なお、そういう問題を引き起こしそうな一番の容疑者であるTASさんはといえば、ぷいっとそっぽを向いて自分ではない、と主張していたのであった。……本当か~?

 

 

「彼女の言葉は間違っていないよ。……まぁあくまでも、王女が私達を視認できていない……という部分に付いてだけ、だけどね」

「……TASさん?」

「…………さっきの調整でちょっとやりすぎた。本当は単に言葉が認識できるだけにしようとしたけど、その先のパラメータまで操作してしまった」

「……具体的にはどこを操作したので?」

「物理干渉と半透明達同士の干渉用のパラメータ。リセットタイミングをミスった」

「密かにサブフレームリセットしてんじゃないよ!?」

 

 

 というかいつの間にリセットしてたし!?

 ……とまぁ、墓守さんの言葉により一部の問題がTASさんのせいだった、ということが判明したわけだが。

 それ以外の部分──王女様が墓守さんを含めた半透明達を視認できていない、という問題に付いては、どうやら別の理由が関わってきている様子。

 なので、その理由を知っていそうな墓守さんに尋ねてみたところ……。

 

 

「単純な話さ。彼女には霊感がまっっったくないのさ」

「……霊感?」

「そ、霊感。この国の人間としてはいっそ珍しいほどに、まったくこれっぽっちもないんだよ、彼女には霊感がね」

「ややややややややや、やっぱり幽霊だったですぅ!?」

「……いや、そこは今さら過ぎると思うんだが?」

 

 

 どうやら、王女様には一切の霊感というものがないらしい。

 それも、この国の人間としては珍しい部類に入るくらいに、まったく・一切・欠片もないのだとか。

 

 ……裏を返すとこの国の人達は幽霊と戯れられるのがデフォ、ということになるわけだが、なんでまたそんなことに?

 そう問い掛ければ、この辺りはそもそも冥界関連の話に事欠かない地域なのだとのこと。

 で、その辺りの話を裏付けるように、近年国の真下に地下空間があることが判明し、そこには無数の鉱物資源が眠っていたのだとか。

 

 

「ああ、例の資源の出所か。……冥界の主人が財宝の管理者である、みたいな話はたまに聞くけど、その伝説の元になったものがあったということか」

「まぁ、そういうことになるね。因みにだけど、この辺りでの冥界の主人が私だったりするよ」

「……唐突にとんでもないこと暴露するの止めない!?」

 

 

 そんな話の最中、目の前の墓守さんが冥界の主人本人であることが判明し、俺達は驚愕することになったのであった。

 ……いやフランクだな冥界の主人!?

 

 

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