「まぁ、あくまでも後年そうであるとされた人物……というだけであって、神のような力を奮っていたわけでも、人間以外の存在であったわけでもないのだけれどね」
「なるほど、後世の人達から神の如く崇められた人物、ということだね」
「あー、ファラオとかみたいな感じ?」
その後、後世の人間達に『冥界の主人』と目された人物だった……という説明を受けたことで、どうにか気を取り直した俺達。
……いやまぁ、それでも相手が遥か昔の偉大な人物である、という事実に変わりはないわけだけど。
大丈夫かな?不遜とかなんとか言われて呪われたりしない?
「はっはっはっ。その辺りは彼女が居る分には問題ないんじゃないかな?」
「寧ろもっとうぇるかむ。色々試したい」
「……今のやり取りで聞きたいことが無茶苦茶増えたんだが???」
そんな俺の心配は、二人の気さくなやりとりで霧散するどころか加速する羽目になるのであった。
……ははははーおかしいなー俺は呪いなんて掛けてないよーとか言って欲しかったのに寧ろ今も呪いまくってるみたいなことを言われたような気がするなー(棒)
TASさんに至っては呪い大歓迎……みたいなノリだし、どうしてこうなった。……え?彼女がその辺り喜ばないわけがない?ですよねー。
ともかく。
この周辺の地域が冥界神話と関わりの深い場所であり、尚且つその神話の中身が冥界行の末財宝を手に入れて地上に戻ってくる……みたいなものである以上、この国の発展が常に地下と関わりの深いものであった、というのはほぼ間違いあるまい。
とはいえ、一時期はその神話も風化しかけていた、というのも間違いではなさそうだ。……資源国としてこの国が有名になったのがわりと最近、というのがその証拠である。
恐らくだが、神話は神話として大切にはするが、国の運営にはそれほど影響がない……みたいな時期が続いたのだろう。
地下資源というものは、発掘のための技術が発展しなければ手を付けられない……みたいなものも多く、当時の技術で掘り進められるところは掘り切ってしまったため、かつての栄光としての神話だけが残っていた……みたいな?
それがどこかのタイミングで再び地下を掘ってみよう、みたいなことになって、技術の発展により掘り進められる範囲が広がり──今現在の、特殊な資源を算出する国家としての地位を保てるようになった……という感じだろうか。
「うん、中々いい考察力だ。この国の王族は国の存亡が関わる時に、冥界行──すなわち地下への旅を行うことで、危機を脱する何かを得る……というようなジンクスとでも言うべきものを持っていてね?具体的には──近年だと彼女の曾祖母の祖母の代、ということになるかな」
「……ここで繋がるのか」
そんな考察に対し、墓守さんからの解説が加えられる。
……なんでも、この国が滅亡の瀬戸際にある時、王族はそれを回避する手段を見付けるために地下への旅を行うのだという。
神話における冥界行を彷彿させるそれは、上手く行けば国の滅亡を回避するための何らかの手段を得ることができるが、もし何も見付けられなければその者は命を落とす……とか。
また、それに関わる奇妙なジンクスが一つあり、初代である冥界の主人を除き、その冥界行を成功させたのはほぼ
……それが当代の女王なのか、はたまた姫なのかは問わないようだが。
ともあれ、この冥界行が時代の節目に行われていたということは間違いない事実。
そして直近でそれが行われたのが、王女様(と、MODさん)の曾祖母の祖母に当たる人物の代であった──ということもまた一つの事実なのであった。
で、これを踏まえての疑問が一つ。
「……王女様の
「ふむ、いい質問だ。答えはそうとも言えるし、そうではないとも言えるかな?」
「いやどっちだよ」
先ほどから会話に混ざれず、されどいきなり自身の事情だけが
……いやまぁ、わざわざこの場所を目指していたことと、以前の冥界行の成功者が彼女の曾祖母の祖母の代ということを思えば、わりとすぐに行き着く疑問というか。
というか、微妙にぼかされているが、当時冥界行を成功させたのは彼女の曾祖母の祖母である、ということはほぼ間違いないだろう。
成功の条件は女性の王族である、ということしか明言されておらず、
ならば、王女様と五親等離れたその人であっても、冥界行を成功させたのがここ百年の間……という可能性は零ではない。
なんなら、王族の女性の仕事は時代の王を産むこと……みたいな感じで、かなり若い内に子を産んでいた……とでもなれば、その年齢差はもっと縮まっていてもおかしくない。
そう考えると、以前の冥界行より百年程度──すなわち一世紀ともなれば、新たな滅亡の兆しが迫っていてもおかしくはない、ということにならないだろうか?
まぁこれ、言い方を変えると「今この国は滅び掛けている」という、結構失礼なことを言っていることになりかねないのだが。
「……いいえ、その通りです。今我が祖国は、存亡の瀬戸際に立たされているのです」
そんな俺の言葉を肯定するように、王女様は口を開くのであった。