うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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前提から投げ返せ!

 王女様が決死の覚悟を持って、冥界行を成功させようとしたことは理解した。

 

 ……が、こうなると気になってくるのが、さっきの墓守さんの言葉──彼女のそれは冥界行であるとも、そうでないとも言える……という台詞。

 こちらが見る限り、彼女は立派に冥界行を成功させた・ないしここから成功させようとしている、という風に思えるのだが……?

 

 

「そちらも順を追って話そうか。まず第一に、彼女は私達の姿も、声すらも届いてはいない」

「こちらの反応から推測していらっしゃるようですが……確かに、貴方達そのものを認識できているとは言えないようです」

 

 

 そんなこちらの疑問に対し、彼は先ほどと同じように一つ一つその理由を挙げていく。

 真っ先に例示されたのは、王女様が墓守さん以下半透明さん'sを認知できていない、という点。

 一応、周囲の反応や自身の体調などから、なにかが周囲に屯している……ということは認識しているようだが、それもあくまで『なにかがいる』程度のもの。

 

 裏を返せば、彼らが居る位置も、それぞれが誰なのかも認識できてはいない、ということでもある。

 墓守さんが昔の王族──冥界の主人であるのなら、恐らく彼女が探しているのは彼、ということになるのだろう。

 けれど彼女には彼が見えないので、求めるものを尋ねることも貰い受けることもできない、と。

 

 

「第二に、本来冥界行が許されるのは、王家の血筋の人間()()()()なんだ」

「……あー、私達がここにいることが間違いだと?」

「どちらかというと、君がいることが間違いだね」

「……私が?」

 

 

 次いで説明されたのが、冥界行のルールについて。

 

 なんでも、冥界行を行う時は王家の人間()一人でなくてはならないらしい。

 ……お供やら部下やらを引き連れるのは問題ないが、王家の血筋の人間が徒党を組むのは許されない、みたいな?

 

 これは、冥界行が基本的にその人物の死と隣合わせであるからこその決まり、ということになるらしい。

 冥界行が許される……正確には()()()のは王家の血筋の者だけであり、ゆえに何人お供を引き連れようとも、最終的にはその人物一人にのみ課せられる試練となる。

 

 だが、それが王家が徒党を組んで行うとなると……端的に言えば色々バグってしまうのだそうだ。

 具体的には、試練の難易度が徒党内の王家の血筋の人間の数の分だけ上がり、尚且つ人数分の試練が襲ってくるようになる……とか。

 難易度調整が無茶苦茶になり、結果として全滅する可能性が非常に高くなってしまうので非推奨、というわけである。

 

 

「因みに言っておくと、さっきの一団はまさにその制限を破って全滅した王家の人間だったりするよ」

「なんとまぁ……」

 

 

 そしてこれに附随する問題が、血脈を諸に細めてしまう……というもの。

 八割強で死ぬ、みたいな試練に王家の人間を大量投入、なんてしてたらあっという間にお家断絶である。

 そんなことは墓守さんも望んでいないため、予め複数の王族での冥界行は許可しない……という形になっているのであった。

 

 で、今回の場合だが。

 王女様が王家の血筋であることは間違いなく、ゆえに彼女が主体である……ということは疑いようもない。

 それだけならまぁ、他の面々は単なるお供として処理できたのだが……MODさんが遠縁とはいえ王家の血筋であるため、今回のこれを冥界行とは断言できなくなっているのだとか。

 

 

「……いえ、それはおかしいのでは?あくまでも複数の王族での攻略を()()()()()、というのがその誓約の主旨のはず。無理矢理に敢行することはできるのですから、今回の状況が()()()()()()()()()などという微妙なことにはならないのでは?」

「うん、いい着目点だ。確かに、先ほどの説明だと()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、という風にも解釈できてしまう。この誓約には強制力がないのだから、『どちらとも言えない』などという中途半端な状態にはならないはず……と言いたいわけだね?」

「え、ええ。そうなりますが……」

 

 

 そこまで話を聞いて、AUTOさんが疑問の声を挙げた。

 確かに、難易度の上昇だの試練の回数だののペナルティ的なモノがある……ということは間違いなさそうだが、同時にそれは行動を強制するものではない。

 ゆえに、今の状況は冥界行ではないかもしれない……なんて微妙な話にはならないはずなのだ。なにせ、強行しようと思えばできるのだから。

 

 つまり、この話から導き出されることは一つ。

 今回のこれが冥界行ではないかもしれない、というのは今まで述べたものとは別のベクトルの部分に理由がある、ということで──、

 

 

「そう。彼女のそれが冥界行ではない理由。それは、()()()()()()()()()()()()()からなのさ」

「────はい?」

 

 

 そうして告げられた理由に、俺達は思わず間抜けな顔を晒すことになったのであった。

 

 

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