うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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不審者として通報はされない

 女性の一人買い物、かつ服屋……とか、そんなん下手すると下手するやないですかい(?)

 それを男が隠れながら見てる、とか。どう考えてもストーカーやし変質者やないですか。へんたいふしんしゃさんやないですか。ワイ捕まりとうないで?

 

 

「お兄さんのキャラが今までになく変」

「いやだってだね?ここ肌着も売っとるやん、そんなんワイが見たらアカンやん?」

「肌着って呼び方に必死さを感じる」<ドッ

「なにウケとんねん自分……」

 

 

 なにが面白いのか、対して表情変化させずに腹を抱えるTASさんになんとも言えない気分になりつつ、本当に入って良いのか、と逡巡する俺。

 

 ……いやだってさ、相手からは認識されないような位置に陣取るし、周囲からも不審者だと思われないようになっている……って言っても、中学生そこらの女の子の服装選びを覗き見るのは犯罪みたいなもの、というか。

 さっきから言ってるように、肌着も取り扱っている店なので、そんなの隠れて見てるとか犯罪者というか即死刑というか。……いやじゃワシはまだ死にとうない……っ!!

 

 

「だから俺は逃げるぞTASゥーッ!……ほげぇ!?」

「だから、逃がさないって言ってる。諦めて?」

「なんでそんなに強硬なのキミ……」

 

 

 そんな必死さから、彼女の注意を掻い潜って背を向け走り出し……もとい、走り出そうとしたのだけれど。まぁうん、ご覧の通りいつの間にやら足元にロープが張られていたため、綺麗に顔面から地面に激突することに。

 

 ……いや、なんでそんなに頑ななのよキミ。

 別に単に相手の行動を見張るだけなら、キミ一人でもどうにかなるやん……?

 そもそもここが家、というわけでもないのだから、待ってればそのうち外に出てくるわけだし……って、ん?

 

 

「……ええと、そういうことなので?」

「そういうこと。私達がどうこうってわけじゃなく、彼女はここで着替えて裏から出る……ってことを繰り返してるってだけ」

 

 

 ()()()()()()()()()()、というのがもし間違いであるのならば。

 確かに、ここで店の外に待機してしまうのはアウトである。

 なんでそんなスパイみたいなことを?……という疑問はあれど、それも彼女が二面性を持つ人物である、ということを思えばわからないことでもない。すなわち──、

 

 

「……本当に配信者だったのか(困惑)」

「わりと有名。(ヴァーチャル)じゃなくて(リアル)だけど」

 

 

 着替え場所として、この店を利用しているというパターンだ。

 

 

 

・∀・

 

 

 

「よもや身内に配信者がいるとは……」

「はい、あの子のチャンネル」

「わぁ、意外と登録者が多い……」

 

 

 こそこそとはせず、堂々と店に入った俺達。

 服を物色するフリをしながらTASさんのスマホを見せて貰ったところ、大体六桁に到達するかしないかくらいの登録者数を誇る、CHEATちゃんのチャンネルがそこには鎮座していたのだった。……いやわりと普通に凄いな?

 

 

「登録者数が六桁あれば、生活に困らないくらいの広告収入があるとかないとか」

「やだ高給取り……しかしなるほど、あっちの姿だと有名人だから、絡まれたりしないように着替えをしてたってわけか……」

 

 

 うちの店に来ていたのも、格好からするとプライベートだったということになるらしい。

 

 ……まぁそこはともかく。

 さっきのお店は彼女の協力者か、はたまたチートを使ってのセーブポイントか。どちらかはわからないものの、彼女が派手な方と地味な方の自分をわけるための場所として利用している、ということに間違いはなさそうだ。

 

 ……ん?となると、彼女はあの姿で家に戻っている……?

 さっき買ってた食料品とかも持ったまんまだし。

 

 

「違う。恐らく配信用の場所と家とをわけてる」

「……中学生だよね?CHEATちゃんって?」

「チートを使って戸籍をごまかすのは俺TUEE系の基本」

「いやそりゃそうだけど」

 

 

 TASさんからは否定されたものの、どっちにしろ彼女が中学生にも関わらず部屋を借りている、ということになるわけで。

 ……わかいのにすごいなー、的な感想を抱きつつ、改めて彼女の方を見つめる俺。

 

 

「はろろー!今日も元気な私ちゃんだぜー!先日は酷い目に遭ったけど、めげずにぶつかっていくぜー!!」

「動画撮ってる……(困惑)」

「そう。それこそが今回の理由にして目的」

「はい?」

 

 

 やだ、早速お仕事してる……。

 配信者って動画撮って編集して、っていう一連の作業で一日が潰れる、なんて話も聞く職業だ。

 となれば、着替えてすぐ仕事を始めるというのは、寧ろ当たり前ということになるのかもしれない。……わりと有名なのか、道行く人に声を掛けられたりもしているようだし。

 

 そんな風に思わず感心していると、TASさんから気になる言葉が。……ええと、確か今回の目的というのは、CHEATちゃんとAUTOさんの家を確かめる、みたいな感じだったような?

 思わず首を傾げる俺の前で、スマホを操作した彼女がこちらに見せてきたのは。

 

 

「……ええと、『リアルTASさんとバトってみた』……ってあ(察し)」

「出演料を貰う。例外はない」<フンス

 

 

 わりと人気コンテンツになっている、TASさんとのゲーム対決シリーズ動画なのであった。

 ……あー。

 

 

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