何故そうなったのか、どうしてそうなったのか。
……詳しいことは不明だが、先代──MODさん達の曾祖母の祖母であるその人物は、冥界行の末に『世界は滅びるべきだ』と認識した。
そしてそれを成立させるために、自身の力を全て込めたノートを作り、それを次代に託した。
……恐らく、なんの対処もせずにいたらこのノートが起動し、世界を滅ぼそうとしたのだろう。
事実、先ほどまでの王女様は、このノートに操られたかの如く世界を滅ぼそうと……否、救おうとしていた。
この展開に俺達が介入しなかった場合、最終的にMODさんが永久離脱していたそうだが、それは恐らく彼女がなんらかの対処を行った結果なのだろう。
世界の平和と引き換えに消える……と言うのはカッコいいかもしれないが、残されるだろう側としてはなんと言っていいやら。
「あ、その場合の永久離脱は
「んー?なにがどうなればそうなるのかがわからんぞー?」
「溜まってるエネルギーを並行世界移動に全部投入する、って形で消費したから」
「……なるほど」
……実際、エネルギーさえあれば他所の世界に行けるのか?……という疑問は無くもないが、まぁTASさんの言うことだから出来たのだろう、多分。
MODさんにそういうパワーはないので……恐らく冥界のシステムを使った、とか?
以降冥界の驚異はなくなる……とかなら、その時エネルギーを暴走させて破壊した、とかかも。
……こうして考えてみると、そのイフルートのMODさんってば、あれこれやりすぎでは?
自己犠牲で世界を救うとか、もろに主人公かなにかにしか見えんのですが。
「でもそれだと困るから私がここにいる。ぶい」
「なるほど困るんだ。……具体的にはどう困るんです?」
「それは企業秘密」
「えー」
なお、TASさん的にはそんな劇的な犠牲は必要ない、とのこと。
……まぁ、母親さんとも折角普通に話せるようになったのに、ここで消えたりなんかされたら俺達気まずいどころじゃないもんね。TASさん的に問題なのはそこではないみたいだけど。
ともあれ、MODさんに任せきりにするつもりはない、というのが今回のTASさんの基本方針。
では、これから一体どうするつもりなのだろう?
「こうする」
「のわぁ!?え、ここで私が必要なんですぅ?!」
そんな疑問を溢せば、引っ張って来られたのはさっき投げ飛ばしたあと外で転がっていたダミ子さん。
戦場から離脱したのでこれ幸い、とばかりにひそひそと隠れていた彼女だったが、TASさんには通用せずあっさりと捕まってしまったのであった。
……しかし、ここでダミ子さんねぇ?
「ダミーを使ってなにかするとか?」
「あー、冥界のデータを書き換える……みたいな?」
「残念違います」
「……まさかとは思いますが、ダミ子さんに冥界のパワーを注ごうとか思っていらっしゃいます……?」
「え、なんですかぁ怖ぁ!?」
「違います」
あれこれと解決方法を探ってみる俺達。
敢えてのダミ子さんなのだし、彼女の特徴を活かしたなにかだろうと思っていたのだが……ううむ、悉く外れるなぁ。
先の二例以外も幾つか案を投げてきたものの、全てすげなくTASさんに切り落とされた次第。
こうなると発想の仕方を間違っているとしか思え……ん?
「ROUTEさん、ROUTEさーん?」
「のわぁ!?ななななななんだよっ!?」
「いや、なんでそんなに動揺してるんです……?」
一人議論に加わらず、そっぽを向いているROUTEさんに気付いた俺が、彼女に声を掛けたところ返ってきたのはこの反応。
誰でもわかるくらいに動揺しているのだが、一体どうしたのだろうか?
っていうか薄暗くて気付かなかったけど、よくよく見るとなんか顔が赤いような気が……?
「せいかいはっぴょー」
「おおっと」
彼女の変な様子に、思わず再度声を掛けようとしたところで、背後のTASさんから正解発表のお知らせが。
……気にはなるが、しっしっと追い払われてしまっては仕方ない……と、TASさんの方に視線を向ける俺。
「私がノートを入手する前に、ダミ子のことを詳しく調べられるととても困ることになっていた。そういう意味で、さっきのお兄さんはナイスアシスト」
「ん……いやまぁ、なんか『ダミコヲナゲナサイ』……みたいな声も聞こえたし」
「なんなんですかぁその、私の人権を無視しきったような囁き声はぁ!?」
「……ともかく。こうしてノートを押さえた以上、もはや
「……ん?隠す?」
なんか、雲行きが怪しくなってきたような?
そう首を捻る俺の前で、TASさんが天に掲げたのは──。
「いぉそ」<グキッ
「貴方様!?首が百八十度後ろに!?」
「必要なのは、ダミ子の付けてた
「え?……はっ?!い、いやいつの間、い、いやぁぁああああっ!!?」
はっはっはっ、俺は見てないぞー、神に誓って見てないぞー。
……さっきROUTEさんが顔を赤くしてたの、これがわかったからかよ!(吐血しながら)