……さっきのTASさんの発言のせいで、今彼女がノートに手を翳して何事かを呟いているのが、MODさん達の曾祖母の祖母さんに耳元で囁いて洗脳しているように見えてきたんだが?
「呪いを振り撒くのは止めないか!?」
「いやだって、あんなこと言われたら想像しちゃうじゃん!一度想像しちゃったら脳裏に焼き付くじゃん!衝撃的な光景すぎて!!」
「だからといってそれを周囲に喧伝するのはどうかと思いますわ……」
あと、単に遊びで言ったのなら問題はない……いやあるが、でも何かしらの効果を期待しての発言だったのなら、ここでスルーする方が問題があるかも、みたいな心情もなくはないというか。
いやまぁ、TASさんってTASはTASでもスピード重視ってだけではなく、スーパープレイ方面も嗜んでるので今回もそれの類い、などと言われたら反論できないわけだが。
そんなこちらの心情を語れば、他の面々は一瞬納得したのち「いややっぱり違うって!」と声を翻してくるのであった。
なお、後ろでみんなが騒いでいても、TASさんの手が止まるようなことはなく。
「──ん、完成。……って、なにやってるのみんな?」
「煩悩を振り払う為に座禅を一つ」
「そ、そう……(ドン引き)」
結果、TASさん以外のみんなが座禅を組んで脳裏から地獄の光景を追い出そうとする、という別種の地獄の光景が繰り広げられることになったりもしたが、幸いTASさん以外の面々がそのことに気付くことはなかったのであった。
……幸いか、これ?
「とりあえず、かんせいー」
「おー」
調整の終わったノートを掲げるTASさんに、他のみんなが拍手を贈る。
なんなら
ともあれ、完成したというのなら早速話を進めて欲しいところなのだが……。
「そのためにはセッティングが必要。具体的にはみんな配置に着いてほしい」
「……配置?」
どうやら、そんなに簡単な話というわけでもないらしい。
なんでも、他の面々を特定の場所に配置しないと問題が起きるとかなんとか……。
「……どういうこと?」
「メモリアドレスの問題。二百億光年先の宇宙に対して干渉するメモリと、こっちの配置がたまたま一致・もしくは連動してる」
「なんでそんなことに……」
TASさんの言うところによると、例えばこの部屋の入り口付近にDMさんを配置した状態で話を進めると、二百億光年先の宇宙で出来上がった双子惑星の軌道がずれるのだとか。
で、そうしてずれた軌道は双子惑星が衝突するコースに変化し、結果として二つの惑星は衝突してしまう……と。
そうなるとどうなるのか?分かりやすく言うとダミ子さん(の一部)が弾け飛ぶ。
「ひぃっ!?」
「件の双子惑星はダミ子と密接に結び付いている。最終的にはそのままだと困るから繋がりを断つ、までやろうとは思うけど……それが出来るようになるのは、今回の話が全部終わったあと。さっきの場合だと星が生まれて一日も経たない内にぶつかるから、全然間に合わない」
「うーん、予想図の絵面の酷さと被害が見合ってない……」
あと、今は分かりやすくダミ子さんの被害を例に出したが……件の惑星が崩壊する時に発生した衝撃波が、その内地球に深刻な被害をもたらす可能性もなくはないとか。
……二百億光年先の衝撃波がそのまま地球に伝わるわけではなく、その衝撃波が後々地球に関わる宇宙人達に被害をもたらし、それが後の禍根に繋がる……みたいな感じらしいが。
まぁ、その被害が実際に影響してくる時には、既に俺達は生きていないだろうとも述べていたのだが。
「でも、流石にその時期になるとタイムマシンとか出来ててもおかしくはない。それがおかしくないということは、未来から私達に責任を説いてくる人物がやってくるかもしれない、ということ。個人的にはそれも面白いと思うけど……」
「ノー!!今の時点でわりと問題まみれなのに、更に未来からの驚異まで増やすのはノー!!」
「……この通り、お兄さんが認めてくれないのでこのルートはなし」
「寧ろどうして認められると思ったのですか???」
……この通り、遥か未来の話だからと言って全く安心できないのがこの世界。
実際に未来から断罪者がやって来る確率はそう高くないらしいが、例え低かろうと面倒極まりない問題が残り続けるのは大問題である。
なので、必死にTASさんへ「ノー!!」を突き付ける俺なのであった。
ここで妥協したり迂闊に認めたりすると、後々不思議ガールズに
なんなら件の宇宙人も
そんなの俺のキャパを越えとるわ!!
「……そこまで来ると最早なんでもありですね」
「ある意味現状における『なんでもあり』枠の人が言うと説得力が違うなぁ」
既に命名法則から外れている人がいるから、その辺りの可能性が無いとは言いきれないんだよなぁ、と
なお、当の本人は照れたように頭を掻いていた。……いや、別に褒めてはないからね?