うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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更新の余地がある。また機会があればやりたい<フンス

「……うう、酷い目に遭った……」

「うふふふ、燦々と輝くあれは、もしかして太陽でしょうか?──いいえ違いますわね。もしあれが太陽なら私達、こうして五体満足で居られるわけありませんもの。パッと蒸発して何も残りませんの、うふふ……」

(お、おう。王女様の精神が大分お労しいことになっておる……)

 

 

 突然の宇宙旅行、どうでしたか?

 ……などと聞けるような状態ではない二人の様子に、思わず冷や汗を流す俺である。

 

 地面にTASさんが空けた例の穴、どうやらそこを通る際にあれこれと物理保護とかを乗せていくタイプのモノ、だったらしいのだが……仮に命に関しては保証されていたとしても、突然宇宙空間に放り出されればそりゃ精神を病むのが普通……と言うものである。

 

 それに、二百億光年先ともなれば、恒星──すなわち光源があるかもわからない無明の世界。

 こっちからはモニター越しに彼女達が輝いているのが見えたが、向こうからすれば突然真っ暗闇に放り出されて上も下もわからなくなったうえ、いきなり視界が極光で満たされたわけなのだから堪ったものではないだろう。

 

 それらの事情を鑑みれば、この王女様の錯乱っぷりも納得できようというものである。

 寧ろ、MODさんが意外と大丈夫そうな方が意外と言うか?

 

 

「いや、私も思いっきり参ってるからね?なにせ無重力空間でシェイクされたうえで、さらには遠心力まで掛けながら転がされ回ったんだから」

「その辺に関しては不可抗力。内部に満たされた冥界のエネルギーを貴方達に触れさせ、さらにかき混ぜて励起させるまでしないと、星の生誕は成功しなかった」

「……今さらだけど、必要なことだったらなんでも許される……とでも思ってるのかいキミ?」

「?寧ろなんで許されないの?やらないとみんな全滅」

「うーん、TASさん特有の思考回路……」

 

 

 そんなMODさんだが、珍しくちょっと苛ついている感じでもあった。

 

 まぁ確かに?突然無茶振りされた挙げ句肉体的にも振り回された格好となるわけだから、彼女の怒りも分からないでもないのだが……。

 なんかこう、それだけに留まらない怒りの原因があるような気がする、というか?

 

 などと言葉を漏らせば、彼女は一瞬目を見開いたのち、バツが悪そうに頬を掻いたのであった。

 

 

「……あー、TAS君」

「なに?」

「……もしかしてわかりやすかったかい、私」

「そうでもない。お兄さん相手だと分が悪いだけ」

……そうかい

「???」

 

 

 ……この子達、なに目線で通じあってるの?

 なに、突然いちゃつき始めた、みたいな解釈でいいのこれ?百合の花なの?こんな辛気臭いところで?

 

 そんな風に首を傾げる俺に対し、MODさんは苦笑を。TASさんはいつもの無表情をこちらに向けてきて……。

 

 

「やべぇ~ですぅ~っ!!!」

「うごえっ!?」

「うわぁ」

 

 

 俺が口を開こうとした瞬間、襲い来るのは突然の腰への衝撃。

 耐えきれずに吹っ飛ばされた俺が目を回しつつ、なにが起きたのかを確認すれば、そこには俺の腰にしがみつくようにして抱き付いている、ダミ子さんの姿があったのだった。

 ……なんかデジャヴ感があるなぁ、と思いながら彼女を剥がそうと両手を上げて、

 

 

「私を剥がす暇があるならぁ、さっさと避難しましょうですぅ~っ!!!」

「ん?避難?……ってうお危なっ!!?」

 

 

 彼女が必死に叫んだ言葉に、思わず動きを止める。

 

 ……避難?どこから?ここから?

 そんな感じに首を捻った俺の横凡そ十センチほど外に、落下してきたのは大きな岩の塊であった。……いや危ねぇな!?

 

 突然なんなんだ、と俺が引き気味にそれを見ていると、微かに周囲から聞こえてくる音に注意が向く。

 なんというかこう……擬音にすると『ゴゴゴゴ……』みたいな感じの音がする、というか?

 

 

「つまり地響き?」

「そうそう、TASさんそれそれ。……地響きぃっ!?

「うわビックリした」

 

 

 いつの間にか近寄ってきていたTASさんの言葉に、思わず手を鳴らして『それだ』と頷く俺。

 ……頷いたあと、頷いている場合じゃねぇやと飛び起きるまでがワンセットである。

 

 改めて周囲を見渡せば、そこらに配置されていた半透明の人達はいつの間にか消え掛かっており、筆頭株であるところの墓守さんの姿は見当たらない。

 代わりに見えるのが、ここに集まっている面々以外の、他のメンバー……AUTOさんを筆頭とした幾人かが、出口に向かって走っていく姿。

 

 ──その背後をピタリとマークするように、天井からは先ほどの岩と同じくらいの大きさの──まぁ要するに天井の建材が落ちてきている、というわけである。

 

 ……はっはっはっ。

 つまりこれはあれだな?と思わず遠い目になりながら、視線を一定の方向──端的に言うとTASさんの方に向ける俺。

 その視線を受けた彼女は、珍しくにっこりと笑いながら、決定的なその一言をこちらに告げてくるのであった。

 

 

長くて()苦境な()戦いだった()……」

「やっぱり崩落エンドじゃないですかやだー!!?」

 

 

 ……うん、つまりは『TAS、ここでも許されません』ってことだな。

 いや笑い事じゃないんだが?(半ギレ)

 

 

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