はてさて、それからのことに語るべきことは──いや、結構あるな?
なにせ、その時まで完全に頭の中からすっぽ抜けていたが……今の俺達、王女様の誘拐犯である。
しかも現状、当の王女様は絶賛錯乱中。
……ROUTEさんの存在が相手側に知られていた場合は、それらに『誘拐の計画犯』の存在まで追加される始末である。
こうなると言い訳ができないというか、下手に言い訳をするとそのまま銃殺されそうというか?
いやまぁ、TASさんがいる時点で
その場合は
……崩す云々で思い出したが、件の遺跡はあのあと完全に崩落し、砂の中へと消え去ってしまった。
余裕が残っていれば内部の探検をしたい、と述べていたCHEATちゃんが特大級の悲鳴を上げていたが……過ぎたことは仕方ない、と気持ちを切り替えるように告げたらしこたま殴られた。解せぬ。
まぁ、そんなわけでして。
こちらとしては王女様をとっととお返しし、この国からとんずらしたい気持ちでいっぱいなのだけど。
「それができるのなら苦労はしない、というわけですね」
「ですねぇー……いやマジでどうしようかこれ?」
一先ず隠していたキャンピングカーの中に逃げ込んだ俺達は、現在脱出時に目を回してしまった王女様をベッドに寝かせつつ、今後の方針について話し合い中である。
……いや、目標は決まってるんだよ。王女様を返して日本に帰る、という目標は。
問題は、それを達成する最適な案が思い付かない……というだけで。
「まずやるべきなのは、
「彼女が消息を経ったのぉ、日本国内の話ですからねぇ」
一つ目の問題は、彼女の正気に付いて。
……いやまぁ、仮に現在正気だったとしても、それはそれで『日本国内から何故自分の国に戻ってきているのか?』という謎が残ってしまうわけなのだが。
それに関しては最悪、巷を駆ける敏腕スパイ・『Man Of Different』のせいにしてしまう……という解決方法が残されていると言えなくもない。
「彼女からの依頼である、という風に押せばなんとかなる……みたいな?」
「その話の信憑性を上げる為にも、是非とも王女様には正気を取り戻して頂きたいところですわね」
まぁ、今AUTOさんが言った通り、最終的な解決手段があったとしても、その前提段階で躓いているので意味がないのだが。
──それに、問題はそもそもそれ一つではない。
「……どう言い訳しようか、あの遺跡」
「今は眉唾みたいな感じって聞いたけど、あの墓守の言うところによれば周期的に冥界に頼り出すんだろ、あそこの人達。……最悪滅ぶんじゃね?」
いやまぁ、それに関しては今や明日、来年のようなすぐにやってくることではないと思うけど……とはCHEATちゃんの言。
そう、あのまま遺跡を放置するのはNG、というのはあくまでこちら側が発見し、そのまま強行した要素。
……言い換えると、向こうからすれば最低でも『他所の国の人間が、自国の重要文化財に対しての破壊工作を行った』という感じに見えてしまうわけなのだ。
王女誘拐に加え、更には自国の遺跡まで壊している……こんなのどうやって許して貰うんだ、みたいな?
しかもこれ、あくまで現段階だから
どっこい、その冥界へと続く道──遺跡は、ご覧の通り崩落済み。
……うん、遠い未来にこの国の滅亡が決まったようなもの、というか?
「やべぇよやべぇよ……」
「落ち着いて」<チョップ!
「いでぇ!……うん、俺は落ち着いた」
(それは落ち着いていない人の言い種では……?)
世界平和の為には、少数の犠牲は仕方ない……なんてことを言うつもりはない。
いやまぁ、TASさん的には『そっちの方が早い』のなら選択したいのかもしれないが、それでは後々見返した時にしこりが残るというか?
「なるほど、オペレーション・レスキュー。被害ゼロ縛りということ」
「え、ああうん、そんな感じ」
……いやまぁ、もうちょっとNPCに愛をあげて、って感じなんだけどね?
っていうかそもそもNPCって括りもこっちの勝手な区分で、実際にノンプレイヤーってわけでもないだろうけども。……何の話だ?
ともかく。
TASさんには記録だけでなく、その所業にも胸を張って欲しいところ。
その為には、こんなところで下手な前科など付けさせるわけにはいかないのだっ。
(前科……?)
(前科…………)
「みんなの視線が失礼。やはり頼れるのはお兄さんだけ」<ヒシッ
「ああそうだ、俺がTASさんを栄光の道に連れていってやるよ……!」<ヒシッ
(……冥界の瘴気に頭をやられたのでしょうか、この方)
なんか周囲からの視線が生暖かいけど、俺達は方針を曲げないよ!
……まぁ曲げないからといって押し通れるわけでもないんですけどね。現実は厳しい。