うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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あくまで偶然、あくまでたまたまを目指す

「そもそもの話、異世界航行技術が今の時点で完成してしまっている方が問題。今回の私達は()()他の世界に迷い込み、仕方がないからその世界で修行でもしよう……という方向性なのだからなおのこと」

「……貴方にとっての偶然とは、必然の言い換え以外の何物でもないというツッコミは必要ですの?」

「…………」

 

 

 そこで黙るなし。

 ……ともあれ、理論武装しながら偶然を装うTASさんはともかく。

 今回の合宿は、たまたま異世界に迷い込んだので戻る前にちょっと訓練でもしておこう、みたいなノリで行われるものである。

 たまたま外に出る用意をしていたら、たまたまその旅の途中で異世界転移に巻き込まれた……という言い訳の元に行われるモノであるため、間違っても自分からやりました、と言ってしまえるような状況にしてはいけないのだとか。

 

 ……いやまぁ、TASさんが関わってる時点で確信犯(誤用の方)なわけだから、正直詭弁にすらなれてない戯れ言の範疇のような気もするのだが……世界的にはそれで良いらしいので、文句を言う相手もいないというか?

 そんなわけで、俺達は微妙に自分をごまかしつつ、普通の旅に出るつもりで家を出発したのであった。

 

 

「……体裁を整えるために、最初に目指す場所はどちらに?」

「前回は無人島に行くのが目的だった。今回もそれを目指すけど、海路だった前回と違って今回は陸路で向かう」

「陸路で向かえる無人島は、普通無人島とは言わないのでは???」

「(バグ誘引のためには)その方が都合が良い」

「そういうものですか……?」

 

 

 で、家を出発した俺達が当面の目的地として設定したのが、前回ループで向かう先として定められていた無人島。

 前回はクルーザーで向かうことになったが、今回はこのキャンピングカーでそのまま乗り込むくらいの気概で挑む、とのこと。

 

 ……いや、AUTOさんの言う通り陸路で上陸できる無人島って、本当に無人島なのだろうか?……という疑問もなくはないのだが。

 確かに、現在そこに人が住んでいないのならば無人島、と言い張れなくもないのだろう。

 だが、陸路で他の場所と繋がっているのであれば、それはいわゆる陸の孤島の区分になり、廃村とかの()()()()()()()()()として無人島とは微妙に違うモノになりそうな気がするというか……。

 

 いやまぁ、TASさんに言わせれば『そういうややこしさがバグを誘引するのでとても良い』らしいのだが。……つまり普通にしてる分にはマイナス面しかないってことだな???

 そんな感じで、いいんだか悪いんだかと首を捻りながら車を走らせたわけなのだが……。

 

 

「……人多くね!?」

「むぅ、これは盲点。帰郷ラッシュに被ったみたい」

「あー、この間のあれこれのせい?おかげ?で時期がずれたってことかな?」

 

 

 なんかこう、やけに車の往来が多いような?

 それもそのはず、合宿のタイミングを図っているうちに、普通の人々の帰郷ラッシュのタイミングに重なってしまったようだ。

 そのせいで、渋滞に巻き込まれてしまった俺達は進まない車に少々イライラする羽目になったのであった。

 

 ……いや、マジで混んでるな今日?

 

 

「どこかお金の掛かるところに遊びに行くより、祖父母の家に行ってわちゃわちゃしてる方が安上がり」

「うーん、なんか世知辛い話が聞こえてくる……」

 

 

 なるほど、○京○ィズニー○ンドとか○ニバー○ルスタジ○とかに遊びに行くより、田舎の祖父母のところに遊びに行く方が安上がり……というのは決して間違いではないだろう。

 祖父母達も子供や孫が顔を見せに来てくれるのは嬉しいだろうしね。

 ……まぁ、今回の俺達にはまっっったく関係のない話なわけだが。今年は既に一回帰ってるしね!!

 

 

「どういう集まりなんじゃ?……とか聞かれるからもう暫く戻りたくないというか……」

「みんなで押し寄せたから変な顔してた。『取っ捕まるようなことしとらんじゃろうの?』って聞かれたりした」

「まぁ、いきなり孫が女の子ばかり連れて帰ってきたら、そうもなりますわよね……」

 

 

 そう、特に何も考えずにみんなで押し寄せた結果、良くないことしてるんじゃないかと疑われる羽目になったのだ。

 

 ……いやまぁ、気持ちはわかるんだけどね?その時はROUTEさんが居なかったり、用事で来てない人とかも居たわけだけど……それでもいつもの三人とダミ子さんは同行してたわけだし。

 四人ほど家族でもない女子を連れて帰郷してくる……とか、頭湧いてると言われても正直言い返せないし。

 単に仲の良い相手をいつものTASさんの流れで連れてった、ってだけなんだけどね!

 

 ……え?それはそれで今まで何度もTASさん連れて帰郷したことがあるのか、ってツッコミになる?そうですけどなにか?

 

 

(それも大概おかしいんですけどねぇ)

「……なにさダミ子さん。まだ食べたりないの?」

「そういうわけではありませんけど、貰えるのなら貰いますぅ」

 

 

 何故かダミ子さんから生暖かい視線が飛んでくるが、手元の皿が空になってる辺り口が寂しくなったんだろうなぁ、と思いながら予め買っておいたドーナツをそっと乗せてあげる俺なのであったとさ。

 

 

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