うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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必然と偶然の境目は人にはわかり辛い

 はてさて、まさに大運動会といった様相で繰り広げられた鬼ごっこ。

 終わるまで暫く掛かりそうだったので、残された面々は一先ず今日の寝床や食事の準備をすることにしたのであった。

 

 

「そういうわけだから、改めて聞くけど……本当に何もしてないのかい?君」

「どういうわけだよ……ってか真面目になんにもしてねーよ、つーかTASと比べんな、アイツみたいになんでもはできねーんだよ俺は」

「ふむ?」

 

 

 そんなわけで、一先ず焚き火にくべる枯れ木でも探すか……と森の中に入った俺とMODさん、それからROUTEさんの三人。

 そうして三人になったタイミングでMODさんが口にしたのが、『本当になにもやってないのか?』という、ROUTEさんへの疑問なのであった。

 

 当然と言うべきか、ROUTEさんは自身の関与を否定。

 ……そもそもの話、自身の能力はTASさんほど汎用性が高くない、と付け加えるのだった。

 

 

「君は確か、裏社会では『先導者』の呼び名を得ていたはずだが……?」

「確かに、何かを選択する必要に迫られた時とかは、俺の能力が有用であることは認めるさ。……けどな、何時でもどんな時でも選択肢がずっと見える、ってのはおかしな話だろうが?」

「……?(何言ってるのこの人、という顔)」

「いやなんだその顔???」

 

 

 ふむ?つまりROUTEさんのそれは、常時選択肢が見えるタイプのやつではなく、特定のタイミングで見えるタイプのモノだと?

 

 ……いや、それにしては前回の遺跡の捜索の時とか、わりと便利に使ってたような気がするのだが……?

 などと思っていると、彼女から補足が。なんでも、()()()()()()()()()()()()()()()ような場合に選択肢が現れるのだが、前回の時はその頻度が半端じゃなかったとのこと。

 恐らく、あの時は近くにヤベーの(TASさん)が居たからじゃないか、と彼女は語ったが……それにしては、今回は微妙な感じになってる気がするというか。

 

 まぁ、その辺りは彼女自身も感じていたことらしいが。

 前の時と比べて、今回は選択肢の発生回数が減っている……とかなんとか。

 

 

「……つまりそれって、TAS君が原因では無かったということでは?」

「いや、そりゃねぇだろ。アイツが右向くか左向くかで選択肢出されたりしてたんだぞ、前回」<エラブマエニカッテニヨソムキヤガッタケド

「時限選択肢……?」

 

 

 あれか、決められずにいると勝手に選択した扱いにされたり、はたまた制限時間ギリギリにならないと出てこない選択肢があったり、選ばないのが正解なので選ぶとミスるとか。

 ……聞けば聞くほど、アドベンチャーゲームのそれだなこの人の能力。ADVさんでも良かったんじゃね?

 

 

「そもそもその謎の呼び方自体意味不明なんだが?」

「え?いやほら、この作品はフィクション云々言うより、こうやって明らかに偽名を付けておいた方がごまかす必要性が減って楽というか……?」

「割りと真面目に何言ってるんだテメェ」

 

 

 ええい、そこは深く突っ込んだら負けなんだよ!気にすんな!

 ……ともかく、彼女の選択肢は割りと融通の効かないモノである、ということは間違いないらしい。

 その辺、ずっと選択肢表示しっぱなしで瞬時に選択して動いているようなものであるTASさんと比べられるのは、確かに嫌だろうなぁというか。

 同系統だけど相手の方が遥かに性能上なので、比べられると下位互換にしかならないというか?

 

 などと返せば、ROUTEさんの眉がぴくりと動いたのであった。

 

 

「……いやまぁ、確かにアイツと同列にされるのは困るが。……そんなに堂々と下位互換扱いされるのは気に食わねぇ」

「……おっと?ROUTEさん?」

 

 

 くっくっくっ、と哄笑をあげるROUTEさんに、思わず「やべっ、地雷踏んだ」と青褪める俺である。

 ……いやうん、実際は下位互換ではなく部分互換くらいなんだろうけど、ちょっと言葉が過ぎたというか。……焚き付けたわけじゃないよ?

 

 ともあれ、こちらの言葉にほんのり怒りを覚えたらしいROUTEさん、何やら深く息を吸ったかと思うと、突然ババッと謎のポージングを連発。

 端から見ると特撮の変身ポーズみたいな動きなのだが、よく見ると中空にある何かを触っているような……?

 そんな風に困惑する俺の前で、彼女の奇妙なダンスは加速し……ん?なんだこの音?

 

 それは小さいが、けれど確実に聞こえてくる音。

 風切り音のような、はたまた山の隙間を抜ける暴風のような、そんなごうごうという音がどこからか響いてくる。

 気のせいじゃなければ、地面もか細く揺れているような?

 

 そうして困惑する俺の前で、ROUTEさんは淀んだ瞳をカッと見開き、宣言したのであった。

 

 

「選択肢の応用ってやつを見せてやる!!世界の壁なぞ我が力の前には無力だと教えてやるぞっ!!」

「止めんかー!!?」

「いでぇっ!?」

 

 

 ──うん、どう考えても良くないことにしかならないので、飛び掛かってでも彼女の暴挙を止めた俺なのでしたとさ。

 なお、隣のMODさんはROUTEさんがポージングキメ始めた辺りで大笑いして使いものにならなくなった為、その辺りの地面で転がってます。なんだこの人!?

 

 

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