はてさて、ちょっと調子に乗っていたCHEATちゃんに対し、TASさんからの物理的なツッコミが入ってからしばらく。
奇妙な小動物を加えた俺達一行は、当初の予定通り合宿を始めることとなっていたのであった。
「ところで、合宿とは言いますが具体的には何をする予定なのでしょうか?」
「基本的には基礎体力の強化から、個人の技能を磨くことまで様々。……大雑把に言うと、それぞれのロケーションに合わせたことをする予定」
「ロケーションに合わせた……、ねぇ?」
それってもしかして、
……と聞き返せば、彼女は不思議そうな顔をこちらに向けてくるのだった。
これはアレだな、『何を当たり前のことを言っているの?』って感じの顔だな!……マジかよ。
「……その顔からすると、君はここがどういう所なのかあたりが付いている、ということで良いのかい?」
「まぁ、ほぼ確実に以前……というか前回来たとこの一つだろうなぁ、と」
「ああ、そういえば恐竜に追っ掛け回されたとかなんとか、仰っていらっしゃいましたわね……」
別に冗談だとは思ってなかったが、来るにしてももっとクライマックスだろうと思っていた……みたいな顔をするAUTOさんとMODさんに半笑いを返す俺。
いやだって、ねぇ?……
「……?……!そそそそういえば、トンネルを何度か抜けるとぉ……みたいなこと言ってましたですぅ!?」
「はっはっはっ……ダミ子さん大正解」
「うぎゃー!!?ですぅ!!」
そう、ダミ子さんの言う通り。
あの時の俺とTASさんは、何度かトンネルのようなものを抜けることにより、元の俺達の世界へと帰還を果たしていた。
それは見方を変えると、ここにいる俺達も
なお、その時にトンネルを通過した回数は二回。
……すなわち、少なくともあと一つは異世界への移動を挟む必要がある、ということになるわけで。
「……そういえば、恐竜云々の話は聞いた覚えがあるけど、もう一つの方の異世界については精々『ペットボトルロケットで速度を貯めた』くらいの話しか聞いた覚えがないね。……もう一つの異世界はどういう感じのなんか滅茶苦茶ガタガタ震えてる!?」
「いやはははまさか俺が怖がってるなんてそんなことははははははは」
「未だかつてないほどに動揺していらっしゃいますわね……」
いやははは。なんでもう一つの異世界についての話をしたことがないのかとか、そんなの俺がその世界について思い出したくもないから……なんて、そんなことはこれっぽっちもありえなななななななななななななな……。
……おほん。
まぁうん、ちょっとフラッシュバックする記憶が
それに関してはともかく。
まぁ、この世界──もう面倒臭いので『恐竜ワールド』と呼ぶけど、ここも大概危ないがその次の世界も危ない、というのは間違いあるまい。
……え?そんなに危険なら迂回ルートでも探したらいいのでは、だって?それが出来れば苦労はしないんだよなぁ……。
「それはまた……一体どういうことなのでしょう?」
「帰りの時って、どう足掻いても
「……ああなるほど、そういうことでしたか」
「なになに?勝手に納得するなってばDM」
「ああ、これは失礼を」
そんな俺の言葉に質問を返してくるのはDMさん。
そして、その問いに返す言葉は先の通り。……勘の良い一部のメンバーはそれだけで理由に気が付いたようだが、その辺りの勘はあまり宜しくない、CHEATさんとかダミ子さんはわからなかった様子。
そんな彼女達に、DMさんは優しげな笑みを浮かべながら答えを教えてあげるのだった。
「まず、異世界渡航技術をあまり使いたくない……という前提はわかりますね?」
「ああうん、例えあれこれ使えばやれるとしても、
「その通り。ですので、異世界に飛んでからも帰り道にその様な技術を使うことは原則許されません。……ですが、ちょっとした抜け道があるのです」
「抜け道?」
「ええ。一度目の跳躍──この場合はここに来る際のものですが、それは最低でも二つの世界を挟んだ先にある異世界へと飛ぶ、というもの。この距離を故意に飛ぶ場合、世界は私共を『異世界渡航技術を持っている』と判断するでしょう」
「だから偶然を願った……って話だよね」
「そう。そして今回私共は、その二つ分の世界をどうにかして移動しなければなりませんが、
「……まさかぁ、一つ一つ移動していけばオッケー、だなんてことはぁ……」
「はいダミ子様、それが正解にございます」
「もしかして距離の問題なんですかぁ!?」
「はい♪」
……うん、教育番組かなにかかな?
そんな風に半目になる俺の前で、DMさんの解説教室は順調に進んでいるのであった……。