うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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先の話をしても仕方ないので、とりあえず今のことを気にすべきでは?

 はてさて、わざわざ二つの世界を経由して戻る必要がある……という話に対し、その理由は『一足飛びだとバレるから』という、なんとも気の抜ける推論が飛び出したわけだが。

 ……驚くことに、それが正解で間違っていない。

 もっとも、ダミ子さんは『距離』の問題と述べたが、実際には『時間』の問題だったりするので、完璧な正解と言うわけでもないのだが。

 

 

「時間……ですかぁ?」

「より正確に言うのなら、異世界渡航技術の利用時間。世界の判定基準には()()()()()()()()()()()()も含まれている。そこが一定の長さでない場合、まず違うだろうと弾かれることになる」

「神隠しってあるだろ?あれって世界中を探せば一日に数件は起きてるモノだけど、勿論異世界渡航技術を使って移動している……ってわけではないから、そういうのを端から弾くため……ってのが有力だな」

「はへー」

 

 

 いやまぁ、俺の説明もTASさんの受け売りなわけだが。

 ……ともかく、二つの世界を跨いで移動する、ともなれば必然移動に掛かる時間は長くなる。

 実際に移動していた俺達は、その辺りを認知することは出来てなかった気もするが……まぁ、その辺りはいわゆる視座の違い、というやつだろう。

 

 なので、()()()()()()()()

 こうすることにより、世界が定めた上限──神隠しと明確な異世界渡航との境目を潜り抜けることができる、というわけである。

 つまり、俺達は一気に帰らないのではなく、帰れない。

 世界に気付かれない為には、どう足掻いても最低二つの世界を攻略する必要がある、ということになるのであった。

 

 

「……いや待った。攻略ってなんだ」

「おおっと流石ROUTEさん鋭い。ですがその問いにはこう答えましょう。このメンバーの中に異世界渡航技術をお持ちの方はいらっしゃいますか?

「…………ああなるほど、アイツが満足するまでの時間、ってことか……」

 

 

 なお、攻略という言葉に目敏く反応するROUTEさんが居たりもしたが……この面々の中に異世界渡航なんて芸当ができる人なんてそう居ない、ということを教えれば小さく舌打ちをしながらも納得してくれたのであった。

 ……うん、そんなことできるのはTASさん(とCHEATちゃん)くらいのものだからね、仕方ないね。

 

 

 

・A・

 

 

 

「……では、CHEATさんにやって貰えば宜しいのでは?」

「いや無理無理!!そんなぶっつけ本番みたいなことはできませんっ!!」

「まぁ、一発成功以外全部即死……みたいなもんだからねぇ」

 

 

 なので、CHEATちゃんが不甲斐ないわけではない。

 単にTASさんが一発勝負に強すぎる、というだけの話である。

 え?TASさんのそれは明確には一発勝負ではないだろうって?

 記録に残らないのなら、何度やり直しても問題にはならないんですよ……。

 

 

「選択するまでは、今の世界になんの影響ももたらさない未来視……だったか。そりゃまぁ、こういう状況には一番向いてらぁな」

「いえーい、ぶいぶい。ぴーすぴーす」

「なんでいきなり煽り始めたのTASさん」

「?単に喜びの舞」

「どこで覚えてきたのそんなの」

 

 

 忘れなさい今すぐ、えー、みたいなやり取りを行いつつ、改めて彼女の能力に思いを馳せる俺。

 

 ……彼女の未来視には、類似のそれらと明確に違う点が一つある。

 それが、彼女の呼び名の理由──TASと同じことができる、という点。

 セーブ&リロード機能の代替に近いそれは、未来視を行うことで未来に影響を与えてしまう……という、本来全ての未来視が潜在的に抱えている問題を回避することができる、ある意味では画期的な機能である。

 ……まぁ、その為に必要とするのが『あらゆる全ての未来の同時予測』などという意味不明なものの時点で、リスクと利点が釣り合ってないわけなのだが……。

 

 ともあれ、TASに似たことができる彼女だからこそ、できることがある。

 ……そう、あらゆる場面において、常に初見で動いている()()()()()()()()()為に、初見殺しを()()()()()()()()ことができるのだ。

 

 今回のように、判断をしているのが世界であるためにこちら側がその基準を前以て掴む……ということが難しい状況では、彼女の能力はまさに特攻。

 ましてや、ミスれば即刻世界の変異を伴う……というような状態でもあるのだから、それはもう彼女以外の誰がクリアできようか?……というような話にまでなってくるのだが。

 

 まぁ、だからこそというか、都合が良いというか。

 一つ、彼女の弱点を晒さずに済む、みたいなところもあるのだが。

 

 

「弱点?」

「おおっと口が滑った。とりあえず、攻略云々はTASさんの趣味だけが理由ってわけじゃない、と思って貰えれば」

「お兄さん、ペラペラ話しすぎ」

「いひゃいいひゃい」

「…………?」

 

 

 いやまぁ、単にROUTEさんからTASさんへの印象悪化をできる限り避けよう、と思ったってだけなんだけどね?

 でもまぁTASさん的には知らせなくても良い、という話しでもあるので、素直に彼女の攻撃を受け続ける俺なのでしたとさ。

 

 

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