「まず、なんで高速移動が必要なのか説明!」
「ええと、相手の動体視力と瞬発力がかなり高いので、普通に避けただけだと途中で攻撃の軌道を変える……みたいな形で対応してくるからですね。そもそも素のスピードも結構速いので、できれば常に高速移動するのが望ましいですが……TASさんはその辺り見切っていたので、所々瞬間的に高速移動するだけで済んでいた、という次第でございまして……」
「それはまた厄介ですわね……いえ、そもそも恐竜相手に人が挑む、ということ自体が無謀なのでしょうが」
「一応、もしかしたら人間と恐竜が一緒に地上で暮らしていた……という可能性は無くもなかったみたいだけど、詳しいことはわからないからどういう関係だったのかもわからないしねぇ」
あれから数分後。
地面に正座させられた俺は、CHEATちゃん主導の尋問を受けている最中なのであった。
内容は勿論、前回この世界に来たときの話について。
……一応、前回と同じように進むとは限らない、とは忠告しておいたが……TASさんの口からティラノサウルスという固有名詞が出ている以上、前回相対した個体と同一である……と考えた方がいいだろうとは思っていたり。
なおその時の展開について、TASさんが分身して一人を囮にした、という話を先ほどしたわけだが……その時の攻撃の回避の仕方はどこぞの『身体が闘争を求めそう』な作品のあれだった、と述べておく。
……ブーストで急接近緊急回避繰り返す姿は、正直なんでこんなところで本格的な機動戦繰り広げてるんだろうなぁ、と宇宙猫になったりしたものである。
冷静に見るとそれを背中のペットボトルロケットありきでやってるものだから、ツッコミ所満載だったんですけどね!
なので、TASさんのTASたる所以あってこその戦闘方法だったのだから、正直彼女以外の面々が真似するのは止めた方がいい……と予め忠告しておく俺である。
「……まぁ、真似をしようとするとCHEATさんに装備を用意して貰った上で、私がそれを使う……みたいな方法しかなくなるでしょうしね」
「それで囮役が精々なんだろ?……というか私の負担高過ぎね?」
「まぁ、性質上武器とか防具とかの用意役としても優秀すぎるからねぇ、君」
操作技能はそこまで高いわけでもないので、単純に反射神経や咄嗟の判断を求められる作戦は不向きというか。
……いやまぁ、チート使えるのにその辺りまで完璧にこなせるのなら、そろそろTASさん越えられてもおかしくないので仕方ないっちゃ仕方ないのだが。
なお、チートにチートを重ねて自身の反射速度とかも一緒に上げればいいのでは?
……と尋ねたところ、「脳がオーバーヒートするわっ!!」と返されたことをここに記しておきます。
まぁうん、TASさん級の反射と判断を両立しようとすると、普通にフレーム単位の動きを常に求められるようになるんで仕方のない話ではあるのだが。
因みに、その辺りを鍛えるのなら修羅になるのがおすすめ、とTASさんから勧誘されていたりしたCHEATちゃんであるが、流石にそこまで人間止めたくないと引き気味でもあった。
……今さらその辺りを気にするのか、と思わないでもないが口にはしない俺である。だって殴られるのは嫌だからね!
だからほらROUTEさん、マジかよこいつみたいな目でこっち見ないでくださいCHEATちゃんに何考えてるのかバレるの
「お兄さんは全然懲りませんねぇ」
「我が人生に後悔はなし……」
「本当かー?本当に後悔してねぇのかー?」
嘘ですわりと後悔してます()
……まぁじゃれあいはこれくらいにして。
高速機動を維持する必要性について述べてきたわけだが、相手のティラノ君を撃破するのであればそれだけでは足りない……というのはなんとなく察せられることだろう。
何せあくまでも囮に必要とされる技能、でしかないからねこれ!
「前回の個体と同じタイプなら、軽機関銃くらいなら弾く皮膚の堅さと厚さを持ってますね」
「……つかぬことを聞くんだけど、前回のアイツって使ったの?軽機関銃を?」
「それ相当の火力、というだけ。一応これは囮役が自分にヘイトを向けさせる為の妨害でもある」
「絵面が完全にロボゲーな件」
問題のティラノ君にダメージを与えるのなら、せめてロケランくらいは欲しいところである。
前回は囮役のTASさんがライトマシンガンならぬ、ライトマシン
……いやまぁ、あくまでヘイトを取る為の行為なので、変にダメージ与えて激昂させてしまい、攻撃が分散してしまうのを避ける意味もあったのだろうなー、とは思わなくもないのだけれども。
でも輪ゴムが当たった岩が砕けてた辺り、結構な威力にはなってたよなー、とも思ってしまう俺なのであった。
なお、CHEATちゃんの言う通り囮役のTASさんの絵面が完全にロボゲーのそれだった、というのは間違いないこともここに記しておく。