うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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TASさん三人に勝てるわけないでしょうが

「……それにしても、ペットボトルロケットと輪ゴムガンとは……小学生の夏休みの工作、みたいな感じですわね」

「はっ!つまり夏休みの小学生はティラノサウルスのヘイトを買うのに最適……!」

「貴方は一体何を仰っていますの……?」

 

 

 

;・A・

 

 

 

「それで?三人に分身したうちの一人の役目は分かったけど、その他二人の役目は?」

「アタッカーとディフェンダーです、サー!」

「誰がサーだ誰が」

 

 

 べしり、と頭を(はた)いてくるCHEATちゃんに対し、ようやく調子が出てきたな……と思わず鼻下を擦ってしまう俺である。

 そうそう、こういうテンションでこそCHEATちゃんだ、みたいな?……まぁ、言われた本人は「うっさいわ!」とまた頭を叩いてきたわけだが。

 

 ともあれ、前回の話の続きである。

 三人に分身したTASさんのうちの一人が、ティラノからの攻撃を誘引する回避盾の役割をしていた、と告げたわけだが……その他の二人が何をやっていたのか、というのが気になってくるのは当たり前の話。

 ゆえに、今度はそっちの話になるわけなのだが……こっちは更に要求技能が高くなる、茨の道となっていたのであった。

 

 

「と、言いますと?」

「ヘイトを買ってるとは言え、ダメージを与えるような攻撃を繰り出したら、瞬間的にそっちにヘイトが変わる……ってのはわかるだろう?」

「まぁ、そうですわね。自身に張り付くように飛び回る小虫が目障りなのは間違いないでしょうが、それ以上に自身に明確なダメージを与えてくる相手の方が脅威度は上なわけですし」

 

 

 今AUTOさんが言ったように、自分の周りを絶えず飛び回るハエや蚊が鬱陶しいのは確かだが、自分に明確に傷を与えてくる相手と言うのも、それらとは別ベクトルで鬱陶しいことは間違いないだろう。

 というか、傷の程度によっては自身の生死に関わってくる可能性もあるわけで、対処の優先度はそちらの方が遥かに高いのも確かである。

 

 無論、それらの前提を考慮した上でなお鬱陶しい、という動きを囮役のTASさんがすることでヘイトを稼いでいたわけでもあるのだが……そうなると、どうしても戦闘時間が長引くことになってしまう。

 何故ならば、与えるダメージが大きいほどヘイトを他の相手に移すことが難しくなるからだ。

 

 

「自身へのダメージを考慮してなお鬱陶しい……みたいな感じじゃないと、とてもじゃないけどヘイトを稼ぐなんてできるわけがないしね」

「野生動物はそういうのに敏感と聞きますしぃ、言葉面以上に面倒なのはなんとなく察せられますぅ」

「そうそう。なので、戦闘が長引くのが嫌なTASさんは、ヘイトを固定しないギリギリのダメージが出せるアタッカーと、一瞬向いたヘイトを『こいつに攻撃するのは割に合わない』と思わせられるだけの、堅牢な防御を持つディフェンダーを使うことで突破したのです」

「えっへん」<ドヤッ

「更に言うは易し行うは難しぃ、みたいな発言が飛び出しましたですぅ」

 

 

 では、そんな状況をTASさんはどうやって回避したのか。

 ……答えは単純、ヘイトを奪えなくなるギリギリラインの火力が出せるアタッカーと、反撃で飛んでくる攻撃が()()()()()()()()()()()()ほど堅牢なディフェンダーを用意することで、『一先ずこの鬱陶しい羽虫を叩き落としてからだ』と相手に思考させることにしたのだ。

 

 ええ、ダミ子さんの言う通り「それができるなら苦労はしない」みたいな話ですね()

 

 ……まず、相手がキレないギリギリのダメージについてだが、これもTASさん特有の見極め力によるところが大きい。

 誤差の許されぬギリギリの限界を追求しきったそれは、与えるダメージの値もそうだがそれによって削られる持久力についてもギリギリを攻め切っている。

 

 スタミナにしろ残り体力にしろ、下手に削り過ぎると破れかぶれになる可能性があるからだ。

 ゆえに、相手に自棄っぱちを起こさせない程度に余裕を持たせつつ、最後の一撃はきっかり削り切れるように体力・持久力の調整を行う必要があった。

 

 更に、囮役を落とすより攻撃役を落とすことを優先されては元も子もないので、相手が反射的に攻撃して来た時にそれを完璧に防ぐ役も必要となる。

 この場合の『完璧』とは、攻撃した結果相手が腕や関節を痛めるレベルのもの、ということ。

 ……一撃食らえば確実に死が見えるそれを、相手に易々と繰り出さないように躊躇させるだけの防御力が必要になるわけだ。

 

 この時点で矛盾点バリバリだが、更にこの防御力で攻撃役への攻撃を全てカバーする必要もある。

 咄嗟の判断力、更には相手の攻撃に割り込む瞬発力、更には攻撃を受けても容易には突破されないだけの持久力や体力も必要となってくるわけで。

 

 それら全てを、TASさんは『攻撃を受けた時にその流れを上手くいなして相手を自爆させる』という形で成立させて見せた。

 さながら、守護騎士TASさん……みたいな感じだろうか?

 

 無論、その神業もTASさんの能力あってのこと。

 まともに真似しようとするとまず筋肉と体力作りから始める必要性がある、くらいの話になってしまうわけで。

 ……真面目に参考にするなら、TASさんの特殊性全てをチートで代用したくなるレベル、というか?

 

 

「というか、それらをなんとか再現できても、ダメージを与えるための武器の用意も中々に無理難題じゃないかい?」

「……あれ?もしかして今回の私、馬車馬のように必死に働かないとダメなやつ……?」

「あっ、一つ言い忘れてた。CHEATは武器防具作成以外は手伝い禁止ね」

「なんか無茶苦茶言い始めたんだけど???」

 

 

 なお、それらの話を聞いた上で更にTASさんから飛び出したリクエストに対し、皆が宇宙猫と化していたが問題しかありません()

 

 

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