うちの同居人はTASさんである。   作:アークフィア

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修行回なんだから楽なんてできる筈もなく

「……いきなり追加条件を付けるのは反則では?」

「それについては謝る。でも、CHEATが居ないとどうにもならない……というのは合宿的に宜しくないのも事実」

「まぁ……その辺りがあるからこそ、私も観戦側に移動しているわけですしねぇ」

「ぬぐっ」

 

 

 はてさて、突然TASさんから飛び出した「CHEATは裏方専念」の発言だが。

 何処か一つの役職にしか使えないとはいえ、CHEATちゃん一人加えるだけで戦闘がかなり楽になる、というのは紛れもない事実。

 となれば、それにより他者の成長を阻害する可能性……というのは少なからず考慮する必要があるのは間違いあるまい。

 

 いやまぁ、さっきから言ってるようにそこまで万能でもないので、言うほど楽になるかは疑問もあるんだけどね?

 でも彼女を前線に出すとダミ子さんは確実に不参加になるので宜しくないというか。

 

 

「え゛」

「どういうこと?……みたいな顔してるけど、ダミ子さんも普通に強制参加だからね?なんてったって前回の時は、俺も一瞬だけとはいえ参加したんだから」

「なっ、なっ」

 

 

 まぁ、あれだ。

 ぶっちゃけ俺もやったんだからさ、という同調圧力である。

 ……今回そっちに俺は参加しないので、前回の俺の立ち位置にダミ子さんが収まる形、というか。

 

 

なんでそんなことにっ!?というかお兄さん不参加っ!?ズルくないですかぁ!?」

「いやーはっはっは。君らがティラノ攻略してる裏で別のことやる予定なんだけど、それと代わりたい……っていうんならそれはそれでもいいけど?」

「ダミ子頑張ってティラノ倒しまーすぅ」

(恐ろしいまでの変わり身の早さ……!?)

 

 

 無論、そんなことを言えば反発が起こるのも当たり前なのだが……俺の代わりにTASさんと一緒に行動する?と問い返せばその声もあっという間に収まるのであった。

 ……いやまぁ、キツさの方向性が変わるだけで、どっちが楽ってこともないんだけどね?

 

 

「一応お尋ね致しますけど、そちらは一体何をなさる予定で……?」

「ん、ピー蔵の特訓。次代の支配者として、先代に恥じない実力とカリスマ性を身に付けさせる予定」<ピー!?

「……ピー蔵『そんなの聞いてないよ?!』って言ってない?」

「私の会話ログには何もないから問題ない」

「何というスパルタ教師……」

 

 

 因みに、俺達の側でやることはピー蔵の特訓である。

 ……DMさんもこっちには参加するので、恐らく酷く地獄めいた修行が繰り広げられることだろう。

 ピー蔵には挫けず頑張って貰いたいところである。

 

 

 

。゚( TAT)゚。

 

 

 

 そんなわけで、二手に別れ目標を達成するために動き始めた俺達。

 CHEATちゃんがひいこら言いながら必要なモノを用意する姿を背に歩き始めたこちら側は、暫く歩いた後に開けた場所へとたどり着いたのであった。

 

 

「ここなら安心。張り切ってピー蔵改造計画に着手できる」<ピー!?

「確実に『改造!?改造ってなに!?』って言ってるよねこれ」

「おっと口が滑った」

(絶対わざとですね……)

 

 

 TASさんに抱き抱えられたピー蔵が暴れているが、そんなの気にしないとばかりにいつもの無表情なTASさんである。

 ……いや、よくよく観察するとほんのり頬が赤くなっているので、今から行う修行()に高揚している……ということになるのだが。

 でもそんなこと、昨日今日に会ったばかりのピー蔵に察せられる筈もなく、単に真顔な彼女に恐れ戦いているだけに見えるのであった。……恐れ戦くべきであることは間違いない、というのがポイントである()

 

 ともあれ、こちらは彼を立派なティラノサウルスにするまで帰れないので、その辺りは心を鬼にして向き合う次第というか。

 ……というか、真面目に俺への修行も兼ねてるだろうから、キチンと取り組まないとそっち方面でも終わりが見えないというか。

 

 

「あら、そうでしたの?」

「そうでしたの。……どっちかと言うと、咄嗟の判断力とかの鍛練になるんだろうけど」

 

 

 不思議そうに聞き返してくるDMさんに、苦笑いを交えながら答える俺である。

 ……まぁうん、特殊な能力のない俺が彼女達とこれからも接していく場合、咄嗟の判断力が足りてないと普通に命に関わりかねないというか?

 無論、周囲もそれなりに気を使ってくれるだろうが……それこそおんぶにだっこみたいなものなので、頼りきりが宜しくないのは明白というか。

 

 あとはまぁ、ああしてTASさんに抱き抱えられているとはいえ、ピー蔵は普通に恐竜なので油断すると轢き殺され兼ねないという面もあるだろうか。

 向こうにその気はないにしても、この三人の中で一番貧弱なのは俺であり、突破しやすいのも俺であることは間違いないのだから、ピー蔵が逃げるのなら俺に向かって……ということになるのは容易に想像できるし。

 

 

「なるほど、そこで対処を誤ると普通に吹っ飛ばされる……と」

「TASさんがいる以上、死ぬようなことにはならないでしょうけど……死ななきゃ安い理論で何度もピー蔵と相対させられる可能性大、というか?」

「流石にお兄さん、私のことをよくわかってる」

ね?(涙目)

「……心中お察し申し上げます」<ピー?

 

 

 スパルタTASさんに容赦はない。

 なのでこれから俺は何度も吹っ飛ぶことになるんだろうなぁ、と思いながら苦笑いするのであった。

 ……おっかしいなー、涙が止まらねぇや……。

 

 

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