「オゥアーッ!!?」<ピーッ!?
「お兄さん、そこは左にステップするべき場面。右に側転は失策」
「ピー蔵さんの方は、彼に気を引かれすぎです。地下からの強襲にも気を付けましょう」<ピィーッ!!?
「む、向こうは一体何をやってるんだ……?」
「気のせいじゃなければ、さっきアイツが宙を舞ってなかったか……?」
「深く考えるのは止めましょう、時間が勿体ないですから」
はてさて、打って代わってこちら側。
CHEAT君を筆頭にした面々の話ということになるのだけれど……うん、向こうは向こうですごいことになってるね、と私達は思わず視線をそちらに向けていたわけだ。
なお、お兄さんが空を舞う姿を見たダミ子君が死んだ目で「わー、とっても楽しそうですぅー」とか呟いていたけど、勿論全然楽しそうに聞こえなかったのは言うまでもないね。
まぁ、こっちはこっちで忙しいので、向こうを気にしているような暇はない……というAUTO君の言葉ももっともだったため、その内皆気にしなくなったんだけどね。
彼の悲鳴は既に単なるBGM、というわけだ。
さて、そういうわけでこっちの話を進めようってことになるわけだけど。
……うん、こっちもこっちで地獄が見えるよね、これ。
「……本来TASさんが三人掛かりでやることを、私達で分散してやる……ということですものねぇ」
「しかも、一番TAS君の互換になりそうなCHEAT君は、あくまでも裏方起用……と」
「その分相対する人数そのものは増えてるけどな」
そう、
一応、一人で戦うよりも三人で戦う方が速い、といういつもの彼女のパターンも考えられるが……やはり、彼女ほどの実力者であっても三人分の労力がいる、と考える方が普通だと思われる。
なにせ、単純な高速移動ではその内慣れてカウンターされるかも、みたいな話っぽいからね。
いやまぁ、向こうの動体視力を完全に振り切るくらいの速度なら、そういう心配もないみたいではあるけど……。
「TAS君がその方法を取らなかった以上、仮にやれたとしても割に合ってない──つまり私達がそもそも
「下手すると、MODの手伝いであちこち飛び回ったくらいの速度を常に要求する、みたいなことになりそうだよなー」
CHEAT君の語るように、恐らくそこで求められる速度は、地球全土の任務をサクッと片付けられるくらいのもの。
……必要となる要素とかも合わせて考えると、正直割に合わないどころの話ではない。
というか、下手するとそのための装備を用意する時点でCHEAT君がダウンしそうというか?
本人は「私がダウン?そんなわけあるかーっ!!」みたいに憤慨しているけれど……よくよく考えてみて欲しい。
そのレベルの速度で相手の周囲を飛び回るとなると、もう一々気にする方がバカらしくなる……ということを。
「……
「一瞬たりとも速度が緩まない上に動体視力も追い付かないとなると、闇雲に攻撃しても絶対当たらないだろう?……それはつまり相手をするだけ無駄だ、ってことだ。──回避盾を名乗るのに、それだと意味がないじゃないか」
「……あ」
そう、そもそもこの高速移動、目的は相手の撹乱──即ち回避盾を遂行するためのモノ。
ということは、少なくともわざと速度を抑えたりして隙を見せる……くらいのことをしないと、ヘイトを取り続けるのが難しくなるのだ。
だって相手は速すぎて、こっちの攻撃はまともに当たらない。
時々何処かに停止して休むのであれば、その休憩を狙って攻撃することもできるだろうけど……それは裏を返すと、その隙が
つまり、囮役の安全を優先するのなら速度を落とすのは論外であり、しかし囮役の安全ばかりに気を取られると、今度は
つまり、相手の攻撃に絶対に当たらない速度を維持するのなら、必然的に他の面々も同じ速度を維持させる必要が出てくるのだ。
そうでなければ、一番遅い相手をとりあえず攻撃すればいい……ってことになりかねないからね。
ということは、だ。
相手に絶対に追い付かれないようにする
そして更に、本来用意すべきものはそれだけではないので、作らなければいけないものが増え彼女の負担も増加し……。
「結果倒れる、と。俺からも忠告しとくけど、速度に関してはほどほどにしとけ。普通に全滅の気配がしたぞ」
「うわぁ」
最終的に、必要な装備が整わずに詰む、と。
ROUTE君からの補足もあり、思わず顔面蒼白となるCHEAT君なのでありましたとさ。