さて、二人の家を見付ける、という話も終わった次の日。
……え?AUTOさんの話が丸々飛んだって?
いや飛んだんじゃなくて、ものすごくあっさり終わった……ってだけの話でね?
前半のCHEATちゃん関連のあれこれに比べると、拍子抜けするくらいにあっさり終わってしまったので、語ることがないのである。
……ああいや、そういえば最初にAUTOさんと顔を合わせた時に、TASさんが「やべっ」みたいな顔をしていたような気はしないこともないけども。
結局、その日のうちにはなんにも起きなかったので、多分気のせいだったんだろうな……という風に認識したわけである。
まぁそんな感じなので、今日からは平常運行・いつものように普段の生活を過ごそうと……?
「うわびっくりした。今日は朝早いんですねAUTOさん」
「…………」
──したのだが。
いつの間にか部屋の中にいたAUTOさんの姿に、昨日の今日でなにか物申したいことでもできたのかな?……なんてことを思ってしまったのだった。
……基本的に色々キッチリしている人だけど、この時間帯にうちに居るのは珍しいなー、なんて感想も抱きつつ。
「大変なことになってしまった……」
「おっとおはようTASさん。今日はパンとご飯どっちがいい?」
「パンで。……!!?!?」
「おおっと?どうしたのTASさ……ああ、AUTOさんか。今日は朝早くからいるから、なんというかビックリしちゃうよね」
「ちちちち、ちがう?!」
「ん?ちがう?」
まぁそれはそれとして、今日の朝食の準備担当が俺だったということもあって、特に気にせず朝食の準備をし始めたわけでして。
そうしてあれこれ準備をしているうちに、いつもなら寝惚け眼で起きてくるTASさんが、なにやら深刻そうな(と、言ってもやっぱりあんまり表情に変化無し)顔をしたまま居間に入ってきて。
いつものように
……ううむ?彼女らしからぬというか、珍し過ぎて槍でも降りそうな感じというか。
思わず首を傾げる俺の足元にすがるようにして、首をぶんぶん振っているTASさんはと言うと。
「ふ、フラグの順番を間違えた……!!」
「……はい?」
突然、よくわからないことを口走り始めたのだった。
「つまり……どういうことだってばよ?」
「本来、彼女に遭遇する前にちょっとやらなければいけないことがあった。それが偶然崩れてしまって……」
なんとも珍しいこともあるものである。
どうやらTASさん、今回は
話の内容が要領を得ないので、なにをどう失敗したのかはわからないが……ともかく、彼女が目に見えて慌てるほどの失敗が発生した、ということに間違いはないようだ。
……AUTOさんを見て慌て始めた辺り、その失敗の影響がAUTOさんに出ている、ということになるのだろうが……ええと、なにか問題ある?彼女。
一応、この時間帯にうちにいるのは、おかしいといえばおかしいけれども。
「その……
「……ふむ???」
……残像???
いきなりよく分からない単語を並べられて、思わず首を傾げてしまう俺。
いや、残像という言葉自体の意味はわかる。
残る像というように、高速移動をした時などに網膜に焼き付く一種の虚像、とでも言うべきものだということはわかるのだ。
……時々TASさんが高速移動をする時、尾を引くように引き連れていたりするので、存在の認知自体は普通にしていると言える。
だが、その言葉と現状が結び付かない、というか。
だってほら、触れるし。……反応しないんだけど、これ本人……うわ睨まれた(?)
「ええと、どう説明すればいいのか……分身?……いやでも別れてるわけではないし……」
視線がこちらに向いたことに、一瞬ビクッとしてしまったが……いやこれ、こっちを見てないな?なに見てんのこれ?
思わず繁々と彼女を観察し始めた俺に対し、TASさんはおずおずと、どこか言い淀むような様子で説明を続けている。
が、うまい言い回しが見付からないのか、その言葉は途切れ途切れ。……ここから彼女の言いたいことを察するには、それこそいつもの彼女くらいの閃きが必要となるだろう。
……要するに俺にはお手上げ、ということである。お兄さん対してスペック高くないからね、仕方ないね。
「自分で言うんだそれ……って、あ」
「ん?なにを見て……おっと片付け忘れが」
肩を竦めた俺に、じとっとした眼差しを向けてきていたTASさんは、突然なにかに気が付いたように一点を見つめ始めた。……視線の先にあったのは、以前彼女が引っ張り出してきたキューブ型のゲーム機で遊んでいたソフトのパッケージ。
大人気ヒゲの配管工のペーパーなRPGシリーズの都合二作目、それが俺の足元に転がっていたわけだが……それを見つめていた彼女は、これだと言うように手をぽん、と叩き。
「そう、イツーモ
「なにが???」
突然、意味不明な単語を繰り出してくるのだった。